「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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閑話休題「水瀬と作戦室②」

閑話休題「水瀬と作戦室②」

 

翌日。

作戦室へ入った三上は、部屋の中央で固まった。

 

机の上。

綺麗に並べられた三冊のファイル。

 

しかも妙に本格的だった。

 

表紙にはタイトルまで書かれている。

 

《案① 秘密基地特化型》

《案② シンプル戦術型》

《案③ 折衷案》

 

「……何これ」

 

三上が嫌な予感を覚えながら聞く。

 

「作戦室のレイアウト案です〜」

 

奥から水瀬が普通に答えた。

 

「早ぇよ」

 

「昨日の夜作りました」

 

「寝ろ」

 

奈央が少し興味深そうにファイルを開く。

 

「あ、凄いですねこれ」

 

中には簡単な見取り図まで入っていた。

 

ソファ配置。

棚位置。

モニター角度。

照明。

観葉植物。

ラグの色。

 

果ては配線整理まで細かく書かれている。

 

三上が呆れた顔になる。

 

「本気じゃねぇか……」

 

「当然ですよ〜」

 

水瀬は真顔だった。

 

「作戦室ってかなり大事ですし」

 

黒瀬も静かに資料を見ている。

 

「……細かいですね」

 

「住みやすさ大事ですから」

 

「作戦室だぞ?」

 

水瀬は気にせず一冊目を開いた。

 

「まず案①なんですけど〜」

 

《秘密基地特化型》

 

部屋全体が少し暗め。

間接照明。

大型棚。

ソファ多め。

ラグあり。

観葉植物あり。

 

立体マップ投影機周辺だけ少し広く取られている。

 

「これは完全に私の趣味です」

 

「潔いな」

 

「秘密基地感重視ですね〜」

 

「いやまあ、嫌いじゃねぇけど」

 

三上が図面を見る。

 

「居心地良すぎて絶対ダメになるだろこれ」

 

「そこが良いんですよ〜」

 

「作戦室なんだよ」

 

奈央が少し笑った。

 

「でも、水瀬さんっぽいですね」

 

「ですよね〜」

 

次。

 

《案② シンプル戦術型》

 

空気が一気に変わる。

 

白と黒基調。

必要最低限。

大型机。

整理された棚。

動線重視。

 

「これは隊の雰囲気に合わせたやつです〜」

 

水瀬が説明する。

 

「三上先輩と黒瀬くんの好み分からなかったので」

 

「一般的に男の人でもオシャレって思える感じにしました」

 

「男の人って何だよ」

 

「いやでも、普通に良いですね」

 

奈央が頷く。

 

「使いやすそうです」

 

黒瀬も静かに図面を見る。

 

「……落ち着いてますね」

 

「黒瀬くんこういうの好きそうだな〜って思いました」

 

「まあ、好きです」

 

「予想通りです〜」

 

そして最後。

 

《案③ 折衷案》

 

「これは中間ですね〜」

 

秘密基地感を少し残しつつ、全体はシンプル。

 

暖色照明。

ソファもある。

 

だが配置はかなり整理されていた。

 

「個人的にはこれが一番バランス良いと思ってます」

 

三上が図面を見ながら頷く。

 

「……確かにこれが一番まとまってるな」

 

「ありがとうございます〜」

 

水瀬が少し嬉しそうに笑った。

 

奈央がふと気づく。

 

「でも水瀬さん、これ全部一人で考えたんですか?」

 

「はい〜」

 

「好きなので」

 

即答だった。

 

「こういう部屋考えるの、めちゃくちゃ楽しいんですよ〜」

 

三上が苦笑する。

 

「お前ほんとインテリア好きだな……」

 

「秘密基地好きなんですよ」

 

「まだ言ってんのか」

 

黒瀬は静かに作戦室を見回した。

 

まだ何も置かれていない空間。

 

けれど、水瀬の図面を見ると、不思議と完成後の光景が想像できた。

 

「……本当に作れそうですね」

 

黒瀬が静かに言う。

 

水瀬は少し得意そうに笑った。

 

「良い作戦室になりますよ〜」

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