「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 41

Episode 41「砂嵐 」

 

翌日。

 

黒瀬隊は調査へ出ていた。

 

職員から指定された区域を回りながら、地形データや周辺環境を記録していく。

 

砂漠の中を歩く。

 

遮蔽物はほとんどない。

 

岩山が点在しているだけで、あとは砂が続いていた。

 

「昨日より暑くないですか〜」

 

水瀬がのんびり言う。

 

「気のせいじゃないと思います」

 

奈央が端末を確認する。

 

「気温上がってますね」

 

「地獄じゃん」

 

三上が額を拭う仕草をした。

 

もっとも、トリオン体である以上、実際に熱中症になるような事はほとんど無い。

 

それでも、不快な暑さそのものは普通に感じる。

 

黒瀬は無言で周囲を確認しながら歩いていた。

 

サイドエフェクトに引っかかるものはない。

 

静かだった。

 

しばらく歩き続けた頃。

 

奈央がふと空を見上げた。

 

「……あれ」

 

「どうした?」

 

「空の色、変わってきてます」

 

全員が視線を上げる。

 

地平線の向こう。

 

茶色い壁のようなものが、こちらへ迫ってきていた。

 

「何ですかあれ〜」

 

水瀬が目を細める。

 

次の瞬間。

 

奈央が声を上げた。

 

「砂嵐です」

 

「来ます!」

 

「マジかよ」

 

三上が舌打ちする。

 

「遮蔽物は?」

 

「岩山があります」

 

黒瀬が即座に動き出した。

 

「走ってください」

 

四人が駆け出す。

 

風が一気に強くなる。

 

砂が顔へ叩きつけられた。

 

「前見えねぇ!」

 

三上が叫ぶ。

 

風の音で声すら掻き消えそうになる。

 

砂が全身へ叩きつけられた。

 

「目が……!」

 

水瀬が腕で顔を庇う。

 

奈央も端末を守るように抱え込んでいた。

 

砂嵐は想像以上だった。

 

数メートル先すら見えない。

 

どこが前か。

 

どこが後ろか。

 

岩山がどこにあるのかすら分からなくなっていく。

 

三上が咄嗟に近くにいた黒瀬と水瀬の腕を掴み寄せる。

 

その瞬間、水瀬が強く三上の腕へしがみついた。

 

それに気付いたように、黒瀬も奈央の腕を掴む。

 

離れれば終わりだった。

 

四人は互いを支え合うように、砂嵐の中を進み続ける。

 

どれくらい歩いたのか分からない。

 

やがて。

 

少しずつ風が弱まっていく。

 

砂埃がゆっくり落ちていった。

 

四人が立ち止まる。

 

荒い息を吐きながら周囲を見回した。

 

だが。

 

そこにあった景色は、どこまでも続く砂だけだった。

 

奈央が端末を確認する。

 

「……通信が繋がりません」

 

「砂嵐の影響ですかね」

 

奈央がもう一度端末を操作する。

 

端末の画面には、ノイズのような表示が広がっていた。

 

「嘘だろ」

 

三上が周囲を見回す。

 

「帰り道分かるか?」

 

奈央が少し間を置く。

 

「……現在地が出ません」

 

沈黙。

 

三上が深く息を吐いた。

 

「……迷子か」

 

誰も否定しなかった。

 

見渡す限り、砂しか無い。

 

四人だけが、砂漠の中へ取り残されていた。

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