「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 43

Episode 43「遭遇」

 

青年が遺跡の奥とは反対方向へ駆け出す。

 

巨大なムカデ型トリオン兵が、それを追うように動いた。

 

「おい待て!」

 

三上が叫ぶ。

 

だが青年は振り返らない。

 

「早く逃げてください!」

 

声だけが返ってきた。

 

黒瀬は静かにトリガーを起動する。

 

「追います」

 

「だな」

 

三上も孤月を起動した。

 

四人が走り出す。

 

遺跡の通路を、巨大なムカデ型トリオン兵が高速で這い回る。

 

石床を削る音が響いた。

 

青年は崩れた柱を飛び越えながら逃げ続けている。

 

だが速い。

 

ムカデ型トリオン兵との距離が少しずつ縮まっていた。

 

「追いつかれるぞ!」

 

三上が叫ぶ。

 

その瞬間。

 

乾いた高音が響いた。

 

水瀬のライトニング。

 

弾丸が遺跡の壁を撃ち抜く。

 

石片が派手に弾け飛んだ。

 

「こっちですよ!」

 

水瀬が叫ぶ。

 

ムカデ型トリオン兵の複眼が、水瀬へ向く。

 

巨大な身体が勢いよく方向転換した。

 

「来るぞ!」

 

三上が前へ出る。

 

孤月を構える。

 

次の瞬間。

 

ムカデ型トリオン兵が真正面から突っ込んできた。

 

轟音。

 

三上が真正面から受け止める。

 

「っ……!」

 

重い。

 

想像以上だった。

 

巨大な顎が、三上ごと噛み砕こうと迫る。

 

床が砕けた。

 

だが三上は踏み込む。

 

「止まれっ!」

 

孤月を押し込む。

 

ムカデ型トリオン兵が咆哮を上げた。

 

その横から、再びライトニングが走る。

 

高速弾が複眼の一つを撃ち抜いた。

 

ムカデ型トリオン兵が大きく身体を揺らす。

 

三上が横へ飛び退いた。

 

直後。

 

巨大な顎が床を砕く。

 

砂埃が舞い上がった。

 

その時だった。

 

黒瀬が静かに前へ出る。

 

ムカデ型トリオン兵が複眼を向けた。

 

だが黒瀬は止まらない。

 

ゆっくりと距離を詰める。

 

二丁拳銃を構えた。

 

引き金を引く。

 

轟音。

 

連続した銃声が遺跡へ響き渡る。

 

弾丸が頭部へ叩き込まれる。

 

複眼が砕けた。

 

紫色の光が飛び散る。

 

ムカデ型トリオン兵が暴れた。

 

だが黒瀬はさらに踏み込む。

 

至近距離。

 

二丁拳銃を突き付けるように構えた。

 

そして、もう一度引き金を引く。

 

頭部が完全に吹き飛んだ。

 

ムカデ型トリオン兵の巨体が大きく揺れる。

 

そのまま轟音と共に崩れ落ちた。

 

静寂。

 

砂が落ちる音だけが響く。

 

青年が立ち止まる。

 

ゆっくりと振り返った。

 

倒れたムカデ型トリオン兵を見る。

 

黒瀬達を見る。

 

もう一度、倒れた化け物を見る。

 

「……え?」

 

呆然とした声だった。

 

信じられないものを見るような目で、青年は立ち尽くしていた。

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