「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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※ハーメルンの投稿仕様上、1000文字以上必要なため2話続けて投稿しています。


Episode4、Episode5

Episode 4「黒瀬隊」

 

個人戦帰り。

 

廊下を歩きながら、黒瀬が口を開く。

 

「……三上さん」

 

「ん?」

 

「そろそろ隊組みたいです」

 

三上が止まった。

 

「お、マジか」

 

「ランク戦やってみたいので」

 

「いいじゃねぇか」

 

少し考えてから、三上が言う。

 

「じゃあ俺入るわ」

 

「良いんですか?」

 

「むしろ放っとくとお前一生ソロだろ」

 

「否定できません」

 

三上が笑う。

 

「あと一人欲しいな。スナイパーとか」

 

「心当たりあります?」

 

「ああ。後輩で一人」

 

翌日。

 

休憩スペース。

 

女子隊員がジュースを飲んでいた。

 

「水瀬」

 

「あ、三上先輩」

 

ふわっとした声。

 

そのまま黒瀬を見る。

 

「誰ですか?」

 

「黒瀬」

 

「黒瀬くん」

 

少し考える。

 

「知りません」

 

「知らねぇの!?」

 

三上が思わず突っ込む。

 

「最近ちょっと有名だろ」

 

「個人戦あんまり見ないので」

 

水瀬は悪びれず言った。

 

「で、本題」

 

「隊組もうと思ってる。入らないか?」

 

水瀬は少し考えた。

 

「三上先輩いるなら良いですよ〜」

 

軽い。

 

「あとランク戦ちょっと興味ありましたし」

 

「助かる」

 

黒瀬が頭を下げる。

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします〜」

 

その直後。

 

「あ」

 

三上が止まった。

 

「……オペいねぇ」

 

沈黙。

 

黒瀬。

 

「知り合い、いません」

 

「俺も」

 

数秒後。

 

水瀬が小さく手を挙げる。

 

「いますよ?」

 

オペレーター室前。

 

「本当に私で良いんですか?」

 

秋月奈央が少し困ったように言う。

 

「お願いします」

 

三上が即答する。

 

「奈央なら大丈夫」

 

水瀬が言った。

 

秋月奈央。

 

水瀬の幼馴染らしい。

 

黒瀬へ視線が向く。

 

「黒瀬くん、ですよね。よろしくお願いします」

 

丁寧な口調。

 

しっかりした雰囲気だった。

 

黒瀬も頭を下げる。

 

「よろしくお願いします」

 

奈央は少しだけ隊の面子を見回した。

 

黒瀬。 三上。 水瀬。

 

そして何となく察する

 

「……なんだか大変そうな隊ですね」

 

「今からでも逃げるか?」

 

「三上先輩失礼です」

 

小さな笑いが起きる。

 

奈央が即座に返す。

 

「結はどう思う?」

 

「楽しそう」

 

「軽いなぁ……」

 

三上が頭を抱えた。

 

黒瀬が静かに言った。

 

「じゃあ、申請しますか」

 

こうして、 黒瀬隊が結成された。

 

 

 

 

 

 

 

 

Episode 5「初ランク戦」

 

 

転送前待機室。

 

「……緊張してきた」

 

三上が肩を回しながら呟く。

 

「三上さんがですか」

 

「お前は緊張しねぇの?」

 

「多少は」

 

「多少なんだよなぁ……」

 

その横で、水瀬が紙パックのジュースを飲んでいた。

 

「下位ってどれくらい強いんだろ」

 

「ピンキリですね」

 

奈央が端末を操作しながら答える。

 

「ただ、油断はしないでください」

 

「了解です」

 

転送開始。

 

視界が白く染まった。

 

市街地マップ。

 

建物が密集したエリア。

 

黒瀬は着地した瞬間、即座に路地裏へ入った。

 

「黒瀬、早ぇよ」

 

『奈央さん、位置』

 

「北側で二部隊接触。かなり近いです」

 

『了解』

 

返事と同時。

 

黒瀬の姿がカメレオンで消える。

 

三上が小さく笑った。

 

「始まったな」

 

開始二分。

 

早くも通信が飛ぶ。

 

『うわっ!?』

 

『どこから――』

 

乾いた銃声。

 

ベイルアウト。

 

実況席がざわつく。

 

『黒瀬隊、先制点!』

 

『速いですね……!』

 

モニターには、 建物陰から一瞬だけ現れた黒瀬の姿が映る。

 

至近距離。

 

ハンドガン連射。

 

シールドを割られる前に相手が落ちていた。

 

『接近が全く見えてませんね』

 

『カメレオンとの相性がかなりいい』

 

「……黒瀬くんすごいね」

 

水瀬がぼんやり言う。

 

奈央も少し引き気味だった。

 

「本当にいつの間にか近くいますね……」

 

『一人こっち来ます』

 

黒瀬の通信。

 

「結、見えてますか?」

 

「見えてる〜」

 

「撃てます?」

 

少し間。

 

「……でも位置バレますね」

 

『撃てるなら撃ってくれ!』

 

三上が割り込む。

 

「三上先輩がまだ遠いので嫌です」

 

『俺基準なの!?』

 

その瞬間。

 

パンッ。

 

ライトニング。

 

弾は敵のすぐ横へ着弾。

 

「うおっ!?」

 

敵が反射的に横へ飛ぶ。

 

その移動先。

 

路地裏。

 

カメレオン解除。

 

黒瀬。

 

乾いた連射音。

 

至近距離からのハンドガン。

 

「え――」

 

ベイルアウト。

 

『また黒瀬!?』

 

『どこいたんだよ!?』

 

実況席が盛り上がる。

 

『水瀬隊員の射撃で動かして、その先に黒瀬隊員がいました!』

 

『かなり連携取れてますね』

 

中盤。

 

既に黒瀬隊がリード。

 

三上が苦笑する。

 

「なんか黒瀬が全部壊してねぇ?」

 

『そんなつもりないです』

 

「余計怖ぇよ」

 

奈央が端末を見ながら言う。

 

「でも、結構理想的ですね」

 

「何が?」

 

「結が動かして、黒瀬くんが取る形」

 

「確かにやりやすいかも〜」

 

水瀬がのんびり答える。

 

その直後。

 

奈央が声を上げた。

 

「三上先輩、右!」

 

「見えてる!」

 

飛び出してきた敵へ、 三上が孤月で接敵。

 

真正面から斬り結ぶ。

 

「悪いな」

 

斬撃。

 

ベイルアウト。

 

「はぁ……やっと俺の点だ」

 

『お疲れ様です』

 

「黒瀬、お前絶対楽しんでるだろ」

 

『ちょっと』

 

「否定しろ!」

 

試合終了。

 

結果。

 

黒瀬隊、圧勝。

 

待機室へ戻った瞬間、 三上がソファへ倒れ込んだ。

 

「……下位だとお前止まんねぇな」

 

「マップ相性良かったです」

 

「そういう問題か?」

 

水瀬がジュースを飲みながら言う。

 

「黒瀬くん、ずっと後ろいましたね〜」

 

「いました」

 

「怖いんだよなぁ……」

 

奈央が苦笑する。

 

「でも、ちゃんと隊になってましたね」

 

その言葉に少しだけ空気が変わる。

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