「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 45

Episode 45「似た者同士」

 

遺跡の中を、五人で歩く。

 

崩れた石柱。

 

砂に埋もれた床。

 

どこを見ても古い建造物の跡だった。

 

アデルは時折立ち止まりながら、周囲を見回している。

 

何かを探すように。

 

黒瀬はその背中を静かに見ていた。

 

しばらくして。

 

アデルが振り返る。

 

「……そういえば」

 

「皆さん、何でこんな所にいるんですか?」

 

「旅人には見えませんけど」

 

黒瀬達は、自分達が別の星から来た調査隊である事を説明した。

 

ボーダーという組織に所属している事。

 

この星の調査中、砂嵐に巻き込まれて遭難した事。

 

通信機器も壊れ、帰る方向も分からなくなっている事。

 

アデルは静かに話を聞いていた。

 

「……なるほど」

 

小さく呟く。

 

「だからあんな装備だったんですね」

 

少し考え込むように視線を落とす。

 

そして静かに口を開いた。

 

「……それなら」

 

「近くに村があります」

 

全員が顔を上げた。

 

「村?」

 

「はい」

 

「ここからそんなに遠くありません」

 

アデルは少し申し訳なさそうに笑った。

 

「あまり長くは居ない方が良いですけど」

 

「短い間なら、村で休めると思います」

 

三上が奈央を見る。

 

奈央も小さく頷いた。

 

「通信機器の確認もしたいですし、一度落ち着ける場所は欲しいですね」

 

「だな」

 

三上が息を吐く。

 

「助かるわ」

 

アデルは少し安心したように笑った。

 

「良かったです」

 

その時。

 

黒瀬が静かに口を開いた。

 

「……さっきの話ですけど」

 

アデルが振り返る。

 

「勘じゃないですよね」

 

僅かに空気が止まった。

 

水瀬と三上も黒瀬を見る。

 

アデルは少し困ったように笑った。

 

「分かりますか」

 

「何となく」

 

黒瀬は静かに答える。

 

「俺も似たようなものなので」

 

アデルの目が少しだけ変わる。

 

「……能力持ちなんですか?」

 

黒瀬は頷いた。

 

「近くにいる人の位置が、何となく分かります」

 

アデルは数秒黙っていた。

 

やがて、小さく息を吐く。

 

「……やっぱり」

 

「何となく、そんな気がしてました」

 

そして周囲を軽く見回す。

 

誰もいない事を確認してから、小さく声を落とした。

 

「その話、あまり他ではしない方が良いです」

 

三上が眉を寄せる。

 

「そんなヤバいのか?」

 

アデルは静かに頷いた。

 

「こっちだと、そういう力を欲しがる人は多いので」

 

「便利な能力ほど、狙われます」

 

「利用しようとする人もいますし」

 

その声は、妙に現実味があった。

 

黒瀬が静かに聞く。

 

「……アデルさんも?」

 

アデルは少しだけ笑った。

 

「俺は、探し物の場所が何となく分かるんです」

 

「近くにある物ほど分かりやすいですけど」

 

水瀬が目を丸くする。

 

「凄い便利じゃないですか」

 

「便利ですよ」

 

アデルは頷く。

 

「だからこそ面倒なんです」

 

苦笑混じりだった。

 

「昔、色々ありました」

 

「それで、親からなるべく隠しておきなさいって言われてるんです」

 

「今知ってるのは妹くらいですね」

 

その時だった。

 

アデルがふと足を止める。

 

視線を落とした。

 

崩れた石柱の隙間。

 

砂の中へ手を入れる。

 

そして。

 

小さく何かを拾い上げた。

 

銀色の指輪だった。

 

「あ」

 

アデルの表情が少し緩む。

 

「……ありました」

 

水瀬が笑う。

 

「おお〜!」

 

三上も息を吐いた。

 

「良かったな」

 

アデルは指輪を大事そうに握る。

 

そして静かに頷いた。

 

「はい」

 

どこか、本当に安心したような顔だった。

 

やがてアデルが顔を上げる。

 

「じゃあ、村へ行きましょう」

 

砂漠の風が、静かに遺跡を抜けていった。

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