「ワートリ、ワールドトリガー」死角の銃手   作:黒星0214

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Episode 5.5、 Episode6

Episode 5.5

某日のランク戦終了後。

 

待機室。

 

「いや絶対撃てただろ今の!」

 

三上の声が部屋に響いた。

 

ソファに座る水瀬は、 のんびりジュースを飲んでいる。

 

「えー……でも危なかったので」

 

「どこがだよ!」

 

「位置バレしそうでしたし」

 

「いや分かるけど! 今のは撃ち得だったろ!」

 

水瀬は少し考える。

 

「……でも、外した時のリスクもありましたし」

 

「お前リスク計算が重ぇんだよ!」

 

奈央が小さく苦笑した。

 

「結、今日はかなり慎重でしたね」

 

「だって中位の人達すぐスナイパー探すんだもん」

 

「それはそうだけど!」

 

三上は机に突っ伏した。

 

「絶対取れただろあの場面!」

 

水瀬は悪びれない。

 

「あれは必要な牽制です」

 

「牽制以外も撃て!」

 

黒瀬が静かに口を開く。

 

「でも結さん、今日最後まで位置割れてませんでしたよね」

 

「そうそう」

 

水瀬が頷く。

 

「いやまあ、それは強いけど……」

 

三上も否定はできない。

 

今日の試合。

 

結果だけ見れば悪くない。

 

黒瀬隊は二位。

 

ただ問題は。

 

「結さん今日一発しか撃ってないですよね」

 

黒瀬が静かに言う。

 

「はい」

 

「しかもわざと外しただけだしな!」

 

三上が即座に突っ込む。

 

水瀬はのんびり答えた。

 

「あれは誘導用です」

 

中盤。

 

水瀬のライトニングを避けた相手を、 黒瀬が建物裏で仕留めていた。

 

完全に連携だった。

 

黒瀬が続ける。

 

「実際、結さんが生きてると相手かなり動き制限されます」

 

「……まあ、それはそう」

 

中位相手だと特にそうだ。

 

“どこかにスナイパーがいる”。

 

それだけで移動ルートが縛られる。

 

しかも水瀬は、 いつ撃つか分からない。

 

だから余計に怖い。

 

「点を取られないようにするのも戦術です」

 

黒瀬が静かに言った。

 

三上が深くため息を吐く。

 

「……お前らほんと堅実だな」

 

「悪く言えば地味ですね〜」

 

水瀬がのんびり言う。

 

「自覚あんのか」

 

奈央が小さく笑った。

 

「でも、黒瀬隊らしいですよね」

 

「らしい?」

 

「無理に突っ込まない所とか」

 

確かに。

 

黒瀬隊は爆発力はない。

 

派手さもない。

 

だが。

 

気づけば崩れない。

 

気づけば生き残っている。

 

そして。

 

気づけば黒瀬が後ろにいる。

 

三上がソファへ沈み込む。

 

「……なんか堅実すぎて怖ぇんだよこの隊」

 

「褒め言葉ですか?」

 

「知らん」

 

その横で水瀬が小さく首を傾げる。

 

「でも今日、一回も落ちてないよ?」

 

「そこは偉い」

 

奈央が即答した。

 

「奈央ちゃん優しい〜」

 

「結が慎重すぎるだけです」

 

「否定はできないですね〜」

 

黒瀬が静かに呟く。

 

「でも、自分は結さんの判断かなり好きですよ」

 

「黒瀬くん分かってるね〜」

 

「お前ら相性良すぎるんだよなぁ……」

 

三上はもう諦めたように天井を見上げた。

 

 

 

 

Episode 6「撃つ時は撃つ」

 

B級下位ランク戦、第三戦。

 

工場地帯マップ。

 

中盤。

 

試合は膠着していた。

 

「硬ぇな……」

 

三上が息を吐く。

 

『正面だと崩れませんね』

 

奈央が言う。

 

その時。

 

水瀬が小さく呟いた。

 

「……一人見えた」

 

空気が変わる。

 

「撃てるか?」

 

少し沈黙。

 

スコープ越し。

 

敵スナイパー。

 

移動。 停止。 確認。 また移動。

 

水瀬はまだ撃たない。

 

「いや今撃て――」

 

「まだです」

 

黒瀬が静かに言った。

 

『結さん待ってます』

 

「分かるのか?」

 

『撃つ時は撃つので』

 

数秒後。

 

敵が別方向を見る。

 

完全に意識が外れた。

 

水瀬。

 

「……今なら撃ちます」

 

イーグレット。

 

発射。

 

乾いた銃声。

 

遠距離。

 

敵頭部へ命中。

 

ベイルアウト。

 

『決まったーーー!!』

 

実況席が沸く。

 

「うおぉ……」

 

三上が素で声を漏らした。

 

『位置割れました?』

 

「まだです」

 

「よし」

 

水瀬が安心した声を出す。

 

「そこなんだよなお前……」

 

だが。

 

その一発で流れが変わった。

 

空いた射線。

 

黒瀬が入り込む。

 

ハンドガン連射。

 

ベイルアウト。

 

試合終了。

 

結果。

 

黒瀬隊、一位。

 

待機室。

 

「……今日のMVP結だろ」

 

「そうですか?」

 

「そうだよ!」

 

奈央が小さく笑う。

 

「でも、“撃つ時は撃つ”分かってきましたね」

 

黒瀬も静かに頷いた。

 

「かなり怖いです」

 

「味方なんだけどな?」

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