魔法科高校の聖杯大戦争   作:けーやん

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昨日、FGOの奏章ピックアップガチャで念願のリリスを引き当てる事が出来ました。
しかし二枚引き。
これは聖杯を捧げなくてはいけませんね(使命感)。


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追憶編
西暦2092年8月①


「おい、これで全員だな」

 

「はい。追加の分も含めて此処に居るので全部です」

 

 廃墟となった倉庫で、リーダーと思われる男が部下に確認する。彼らの目の前に居るのは床に座らせた少女の集団だった。

 

 少女達の年齢は小学生から中学生くらいの10代前半。そして全員が身包みを剥がされ、下着姿で手足を金属製の枷で拘束されていた。

 

 それに対して男達の全員が銃火器を装備しており、明らかに異常な光景であった。状況的に、少年少女達は男達に誘拐された事は明白であった。

 

「早いところ保存作業に入れ。船使って依頼主(クライアント)へ運ぶせいで時間が掛かるからな」

 

「ですがボス、少しばかり楽しんでも良いでしょう。俺達働きっぱなしなんですよ」

 

「そうですよ。前払いとして褒美を貰ったって良いじゃないですか」

 

 『楽しむ』と言う単語に何人かの少女が察し、怯えて体を震えさせた。この場合、自分達を慰み者にする事を意味しているからだ。

 

「馬鹿が。そんな時間ある訳ないだろ。それに雑なお前達が遊んだら、折角集めた商品が傷物になるだろうが」

 

 我慢ならない部下達をリーダーが睨む。

 

「それは無いですよボス」

 

「こんな上等なの早々お目に掛からないですって」

 

「このロリコン共が。そんなに女が抱きたいなら報酬を受け取ってからにしろ」

 

 品のない会話をする男達に少女の1人が割って入る。

 

「貴方達の目的は何なのですか?」

 

「貴様は………『七草』の長女か」

 

 リーダーの男が話し掛けた少女を見て目を細める。美少女の集団の中でも一際整った顔立ち、小柄ながら均整の取れたプロポーション。上品なピンク色のレース生地の下着と相まって、彼女から可憐ながら妖艶な雰囲気が漂っていた。

 

 少女の名は『七草真由美』。日本の魔法師でもトップの家系である『十師族』の一つである『七草家』の血を引く若き魔法師である。

 

「目的は単純なものだ。日本の優れた魔法師を欲している人間から依頼を受けたからお前達を攫った。最も、依頼主(クライアント)が欲しているのはお前達と言うより、お前達の遺伝子だがな」

 

「それなら、他の子達は解放して下さい。攫うのは私だけで充分です」

 

 自分を除く全ての少女の解放を要求する真由美にリーダーの男が反応する。

 

「つまり、自分が身代わりになると?自分一人が此処に居る娘達全員分の価値があると言いたいのか?」

 

「私は『七草家』の娘です。この肩書きの価値は貴方方も理解されている筈ですが」

 

「このガキ、生意気な口聞きやがって!」

 

「よせ」

 

 真由美の言葉に激情しかける部下の1人をリーダーの男が静止させる。部下が落ち着いたところでリーダーの男は真由美に近付く。

 

「自分の身柄を捨てででも他を生かす選択を取るか。立派な考えだな。流石は日本の魔法師を束ねる十師族と言っておこう……………だが」

 

 リーダーの男は真由美を冷酷に見下す。

 

「魔法が使えない今のお前は他の小娘達と同価値に過ぎない。思い上がりも甚だしい」

 

 取引を拒絶された事に真由美は表情を僅かに顰める。そして次の手段を考えなくてはならない状況に内心で焦り出していた。

 

 すると、倉庫内の照明が突然消え、辺りが闇一色となる。

 

「照明が消えやがった」

 

「停電か?」

 

「落ち着け。直ぐに灯りを付けろ」

 

 少女達は怯える中、男達が灯りを付けようと移動する。

 

「"Time alter―(固有時制御・)double accel(二重加速)"」

 

「ッ!!警戒しろ!」

 

 突如若い男の声が聞こえ、リーダーの男が部下へ指示を飛ばす。しかし、聞こえてきたのは二度同時に何かが床に崩れ落ちる音だけだった。

 

「クソッ。何がどうなって───」

 

 リーダーの男が機関銃を構えながら警戒していると、後頭部に鉄の塊で殴られた様な衝撃を受けて、そのまま床へ倒れる。

 

 倉庫の照明に再び灯りが付くと、真由美達は目の前の光景に驚いた。リーダーの男と部下2人は床で倒れたまま気絶しており、代わりにフードを被った160cm程度何者かが1人立っていた。

 

「フゥ………」

 

 目の前の人物が軽く一息吐くと、被っていたフードを外して素顔を晒す。その正体は、自分達と変わらない中学生くらいの黒髪の少年であった。

 

 その顔立ちは浮世離れと言って良い程に整えられており、少年らしさを残しつつも、少年とは思えない色気のある容姿をしていた。

 

 少年の顔を見た少女達はこんな状況でさえも彼の雰囲気に当てられたのか、頬を赤く染め、鼓動が高鳴る。真由美でさえも思わず息を飲み込む程であった。

 

 少年は紫色の瞳で真由美達を見据えると、手首に黒いブレスレットが嵌められます右手を前に出す。すると、ブレスレットに青白い光のラインが走り、カシャカシャと音を立てながら変形していく。そして、少年の右手には一丁の拳銃が握られていた。

 

「大丈夫。ジッとしてて」

 

 少年はそう言って拳銃の銃口を真由美達に向ける。少年はそのまま引き金を弾く。すると、真由美達を拘束していた枷がバラバラに砕け散り、破片が床へ転がる。

 

「床で気絶してる男達の他に、外の見張りをしていた連中も片付けてある。直に警察も駆け付けて来るから、事情を話して保護して貰って」

 

「た、助かるの?」

 

「もう大丈夫なの?」

 

 説明する少年に少女達が戸惑いながら訊く。それを訊いた少年は頷く。

 

「うん。君達はもう大丈夫。お家に帰れるよ」

 

 少年の優しい声に、少女達は嬉しさのあまり涙を流す。漸く、自分達は自由になったのだと安堵する。

 

 そんな彼女達を他所に少年は倉庫から出で行こうとする。

 

「待って!」

 

 真由美は少年を呼び止める。

 

「貴方は何者なの?国防陸軍の魔法師なの?」

 

 自分と年齢が近い少年が軍属とは思えないが、たった1人で武装集団を制圧した実力はとてもじゃないが異常だ。自分達を助けてくれた少年が何者なのか、真由美は知りたくて仕方がなかった。

 

「ああ………別に俺は魔法師じゃないよ。いや、大きく分類すると魔法師なのかもしれないけど、俺自身がそう思っていないから」

 

「それじゃあ………何なの?」

 

 言葉を濁す少年に真由美は再び訊く。少年は少し考え、振り向いて答える。

 

「俺は………『魔術師』だよ」

 

 そう言い残し、少年は倉庫を去っていった。

 

 

◾️◾️◾️◾️

 

 

 西暦2092年8月2日。

 

 東京のとある郊外地に広い塀で囲まれた豪邸の様な日本家屋『衛宮邸』の台所で少年は朝食の準備をしていた。

 

 今日の献立は炊き立ての白米に味噌汁、焼き鮭にだし巻き卵、ほうれん草の胡麻和えと言ったザ・日本食の王道メニューが居間のテーブルに運ばれる。

 

「おっはよ〜〜〜!!志郎〜〜〜!朝ご飯なに〜〜〜!!」

 

 音を立てて廊下から現れたのは二十代前半の茶髪の女性。名は『藤村大芽』。大学三年生である。

 

「おはよう、藤ねぇ。毎回言うけどウチで朝飯食いに来なくて良いからな」

 

 朝からテンションの高い大芽に少年『衛宮志郎』が呆れながら言う。

 

「良いでしょ!それで、朝ご飯は?」

 

「米に味噌汁、焼き鮭とだし巻き卵、ほうれん草の胡麻和え」

 

「ザ・和食の王道!さっすが志郎!!」

 

「はいはい。準備するから少し待ってろ」

 

「は〜〜〜い!」

 

 まるで小学生の様な返事をする大芽に志郎は苦笑しながら2人分の朝食の準備をする。

 

「あ。この事件、解決したんだ。良かった〜」

 

「勝手にテレビ点けるなよ」

 

 居間のテレビで放送されていたのは昨夜に起きた少女集団誘拐事件だった。

 

「魔法師の家柄の女の子を攫ったんだって。怖いわよね〜」

 

「犯人も捕まったし、誘拐された子達も無事だったから良いだろ」

 

「志郎も気をつけなさいよ。知らない人に付いて行っちゃ駄目だからね」

 

「もう俺も中学生だから心配しなくて良いよ。寧ろ、藤ねぇも気を付けろよ」

 

「そうね!私みたいなキュートな女子大生は誘拐の的になるわよね!」

 

「キュー………ト?」

 

「何かしら?」

 

 志郎が何言ってんだコイツと言わんばかりの顔をすると、大芽が笑いながら迫る。

 

「いいえ。ほら、今日もテストがあるんだろ?さっさと朝飯食べて大学に行けって」

 

「そうだった!いっただきまーす!」

 

「はい、いただきます」

 

 直ぐに切り替えた大芽は大きく口を開けて朝食を食べ始める。そんな大芽に呆れながら志郎も箸を取って朝食を食べ始める。

 

 騒がしくも明るい朝が、今日も衛宮邸を照らす。




【入学編】の前に【追憶編】やっていきます。

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