『
彼が生まれてから、この世界には『
『能力者』たちの中には、当然その力を悪用する者がいた。窃盗、暴力、恐喝、強盗、殺人…どんどん凶悪化していく超能力犯罪に、同じく超能力を以て立ち向かう者が現れる。
いつしか、能力を悪用する者を『ヴィラン』、そしてヴィランに立ち向かう者たちを『ヒーロー』と呼ぶようになった…
(って、どこのアメコミだよ)
日本のA県K市、夜の街にてひとり、ビニール袋をぶら下げて歩く少女がいた。コンビニ帰りだろうか、袋の中身はいくつかのエナドリと何故か鯖缶。そしていくつかのラムネ菓子が入っている。
…まぁ、これが俺なんだが。
どこぞの『死の賭け』みたく第四の壁を超えて説明するのであれば、俺は所謂『転生者』というものである。以前はどこにでもいる、2026年の日本を生きていた普通の成人男性だった。
それがある日、雨の日の階段で転げ落ちたと思ったらこの世界に生まれ変わっていたと来たもんだ。しかも女の子。名前は、『
(…まぁ、なったもんはしょうがないよなぁ)
今更何を考えたところで現状が変わるわけでもなし、諦めて受け入れた方が楽だった。
そう考えているうちに、家の前に到着した。時刻は午前1時15分。両親はとっくにベッドの中。こっそり抜け出してきたので、玄関の鍵を開けて入ればドアベルで起きる可能性が出てくる。前世は成人男性とはいえ、今世はピチピチのJK。当然夜中の外出などしたら怒られる。
ので、
「…誰も見てないな、ヨシ。」
周囲に人がいないことを確認した俺は、物を持ち上げるイメージをする。すると、俺の身体を見えない何かが覆う感覚がしたかと思うと、身体がふわっと浮かび上がる。
…何を隠そう、俺も『能力者』なのである。能力名は『
…まぁ、だからといって、この力で何をしようとかそういったことはあまり考えていない。精々、遠くのものを持ってくるのに使うとか、両手が塞がった時にドアを開けるとか、使い道はその程度だ。テレビで見たヴィランの中には「『能力者』が自由に力を振るえる世界を作るのだ!」なんて言っている輩もいたが、俺からしてみればたまったもんじゃない。無秩序になるのが目に見えている。
そうして自室の窓まで浮かび上がると、そのまま鍵のかかっていない窓を開けて部屋に入る。
「ただいま〜っと…」
足音を立てないよう、宙に浮いたままスニーカーを脱ぐ。あとは証拠隠滅でスニーカーを玄関に置き直すだけだ。布擦れの音一つにまで気をつけ、静かに玄関まで向かう。
ガチャ…
「お か え り」
「あっ…」
…
……
………
「…大変、申し訳ございませんでした」
おそらく、今までで一番綺麗な土下座ができた。エナドリは2日に1本までと母に没収された。ちくせう。
登場人物紹介
性別:女
年齢:15
誕生日:2/22
超能力:有
能力名:『
能力概要:自身が知覚している生物含めた物体を意思のみで移動させる能力。最大射程、出力共に不明。使用の際にはブドウ糖等の脳の栄養を消費する。過度に使用すると思考能力が低下する。
詳細:現代日本からTS転生した元男。生まれつきの『