少年陰陽師の束の間の夢   作:紡縁永遠

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天狐編の後くらいの話です


幼児化した2人

 「どうしてこうなった…………」

 「まったくだ」

 

 十二神将最強の紅蓮と二番手勾陳は安倍晴明の孫安倍昌浩の部屋で、苦い顔をしながら、三歳くらいに縮んだ昌浩と同じく三歳くらいに縮んだ、わけあって安倍家にいる藤の姫、藤原彰子の面倒を見ていた。

 

 「「昌浩はともかく、肝が据わりすぎてる」」

 

 遡ること数刻前、安倍晴明が母晶霞という友を失った高淤の神が面白かったが、足りない、数日それで過ごせ。と、ありがたい、迷惑な術を昌浩と彰子にして言ったのである。二人とも三歳の着袴の時であり、最初は天一と天后が世話をしようとしたが、昌浩がよたよたと向かったのはもっくんだった。彰子も今まで助けてくれた者を理解しているようで、最初は戸惑っていたが、昌浩についていくように歩いている。

 一つ問題であるのが、もっくんの本性、紅蓮は十二神将最強、狂将騰蛇ということである。昌浩は紅蓮に面倒を見てもらっていたので問題はないが、騰蛇は子供に忌み嫌われる。言葉足らずな子供は全身で否定する。泣き叫び、熱を出す。だが、もっくんという物の怪の状態で世話をできる訳では無い、本性に戻ったところで遅れて気付く。ここには藤原彰子もいるのだと。

 

 「騰蛇!」

 「悪い……」

 

 十二神将の、二番手同じく狂将の勾陳が、本性に戻った危険性から叱責するが、遅れて自身も狂将であり、子供には威圧的だと気づく。

 

 「あ……」

 「…れ〜ん」

 「昌浩は相変わらずだが…」

 

 狂将が二人も顕現しているこの状況で、鳴き声が一切聞こえない。他の神将も唖然としながら彰子を見ると、紅蓮に向かって、正確には戸惑いながらも昌浩に向かって歩いていく。

 

 「これは……流石は彰子様、あの紅蓮を恐れないとは、お前らも見習わないか、」

 「いや、お祖父様、騰蛇のあれはどちらかと言うと本能と言うべきものかと、」

 「俺達がこれ見ていざ面と向かうと狂将どころでなく、玄武なども背筋が凍るというのに」

 「随分と臆病だのぅ、だが、これがあるから、昌浩は無二の光景であるわけだが」

 

 紅蓮が昌浩と彰子を見ている隣で好き放題に息子と孫の不出来を語る晴明、既に勾陳は抜け出すタイミングを見失い、不器用ながらそばにいる。

 

 「見鬼がなく、関わって来なかったが、晴明が後継と決めた理由が分かった気がする」

 「昌浩はともかく彰子姫もねぇ…ちょっと気持ちがわからないわ」

 「太陰はもともと騰蛇が苦手だからな、だが、確かに不思議なものだ。若菜様は、我々十二神将どころか式ですら恐れていたというのに」

 「あれは、どちらかと言うと昌浩がいるからだ。恐らく昌浩が離れたら紅蓮からは離れるだろう」

 

 事実、昌浩が紅蓮から他の神将の所に行くと、彰子もそれについていくように不器用に歩いていく。

 

 「昌浩が安全だと理解しているようだ。だが、肝が据わっているのは間違いない例え安心できるものがいても、恐怖が勝るのが世の常だ。しかもこのとき、姫は昌浩のことを知らない」

 「勾陳がそういうのなら間違いはないのかもしれんのう、儂は道長様にこの件を伝えておく、しっかり見ておけ」

 「分かりました」

 

 勾陳が晴明のもとに戻ってきたが、昌浩はそれを良しとせずに、勾陳の脚にしがみつく。

 

 「おい、はなせ昌浩」

 「無駄だ、俺を恐怖しない昌浩だぞ、勾の怒気程度で離れるか」

 「どういう意味だ騰…蛇……」

 「とうとう一人でも不安が消えたぞ……」

 「…………」

 「後継とその妻はこれくらいの胆力が必要なのか……」

 

 吉昌、成親、昌親は安倍晴明の後継には慣れなかった、成親が後継と言われていた時代もあったが、あとから生まれてきた昌浩がすべてかっさらって行ったのだ。その事に対して不満はない、それどころか昌浩の才を知るが故に納得していた。だが、この件を見て、何故後継であるかを再認識したのである。

 

 「確かに安全ではありますが……」

 

 そこに、道長を連れてきた晴明が、言いづらい事実に説明あぐねている。

 

 「何故止める」

 「現在、私の式神が面倒を見ています、ただ、姫の胆力というのを再認識したもので、普通この年頃ならば恐れて近づかない、最強二人が見ております」

 「ほう、ならば安心ではないか、」

 「こちらです」

 

 道長には見鬼がない、さらに子供の前のため少しでも漏れる神気を抑えようとしているため、顕現していたとしても直人どころか、見鬼を持った安倍家の人間でも視認しづらいものであったため、道長には虚空と遊ぶ二人が見えている。

 

 「姿を見ることは無理なのか?」

 「二人の見鬼が強いが故に見えている状態です、本来ならば子供は泣き、恐怖するそれでもよろしいので?」

 「かまわん、頼む」

 「紅蓮、勾陳」

 「「…………」」

 

 直人にも見えるくらいに神気を発する二人、狂将であり闘将である二人の神気はそばにいるだけで肌を突き刺す様な圧力であるが彰子は、泣くわけではなく、ただ一番安全と感じる昌浩の隣に移動する。

 

 「幼子同士何か感じるのでしょうな、しかし、彰子様の肝の座り方には驚かされてばかりです。勾陳と特に紅蓮とともにいる子供ど拒絶がなかったのは昌浩の他に彰子姫だけです」

 「そうか……」

 

 三日後にに、元の姿に戻った二人は、同じ部屋でもっくんを枕にしていたことに驚き、事情を聴いて唖然としたそうな

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