アドラが気絶する少し前
「トドメです」
バンッ
銃声が響き渡り辺りがシンと静まり返る。その静寂に包まれた場所に立っていたのはアリスただ一人だった。アリスの周りには大量のヘルメット団員が転がっており、アリスの荒い呼吸からも先ほどまで激戦が繰り広げられていた事が分かる。
ドサッ
その時アリスが座り込んだ。かなり体力を消耗した様だ。早く体力を回復させようと目さえも閉じて、可能な限り休んである。しかしそれが不味かった。せめて一撃でもと、戦車の大砲をロケットランチャーを向ける生徒に気がつくことが出来なかったのだから。
現在
突き飛ばされたアリスは誰にやられたのかを確認するべく、先程まで自分がいた場所を見た。するとそこには
頭が真っ赤に染まった天楽アドラがいた。
「アドラっ、アドラっ、アドラっ」
しかし、いくら呼びかけてもアドラが目を覚ます事はない。そのアリスの必死な光景をみたヘルメット団員は満足そうな顔をして倒れた。
ギュッ
アドラをアリスがだき抱え、呼吸を確認する。
「アドラの呼吸を確認、対象の生存を確認、ですがこの何もしないと今日のうちには死ぬ」
それを確認したアリスの呼吸がさらに荒く激しくなっていく。しかし、いくら呼吸が荒くなってもアドラを離すことはなかった。そこにゴツメが入ってくる。
「アドラ、終わったかい?ってアリスどうしたんだい?」
「ゴツメ、アドラが、アドラが撃たれて、血が」
辿々しくアリスが答えるすると、それを見たゴツメは冷静に判断した。
「分かったよ、命が危ないんだね。とりあえず私包帯を探してくるからケイはアリスの隣にいてやって」
そう言うと、ゴツメはもう敵のいない倉庫の中を駆け回っていく、今ここにはアリスとケイの二人しかいなかった。プロトコルを実行しようと思えば最も簡単に実行することが出来るだろう。だからこそ二人はお互いに尋ねた。
「「プロトコルを実行しないのですか?」」
同時の質問に二人はたじろぐ、両方とも質問に答えようとしない。それほどまでにその質問の答えは重かった。だがいつかは決めなければいけないそんな答え、その静寂を打ち破ったのは同時だった。
「「しませんよ」」
「何故ですか?何故貴方はやめるのですかkey?」
「私は自分の使命、いえこんな物は自分の使命ではありませんね。私はこんなどうでも良い事よりゴツメとの生活を続ける事の方がしたくなりました。なので王女、私はこれから貴方にプロトコルの実行を手伝えと言われても手伝う事はないでしょう。それと王女、私の名前はケイです。keyではありません」
「そうですか、ケイ。貴方はもう私の従者ではない様ですね」
「そう言う王女は何故プロトコルをしないのですか?」
「そうですね、私には夢が出来たからです。私は自分の使命よりも夢を優先したくなりました。それと王女呼びはやめて下さい。今の私はアリスです」
「それはすいません、アリス」
「良いんですよケイ」
そして今アドラはと言うと
あれっ、真っ暗だ。何も見えない。私はまた死んだのか?ハッピーエンドには出来なかったのか?
うん?声が聞こえてくる。
「…………プロトコル……………ないのですか?」
プロトコル?また名も無き神々の王女が目覚めようとしている?ならこんな所でじっとしている場合じゃない。早く起きろ!止めるんだ!責任は私が取るんだろ!
イタッ、目が覚めたは良いがやっぱり撃たれたのは現実だったか。早くラッパを吹いて回復を
ぱふぅー
傷がみるみるうちに癒えていく。これで……イタッ、一回じゃ治りきらないか。仕方ない、あと何回か
ぱふぅー、ぱふぅー、ぱふぅー
よし、治った。それで今の状況は?立ち上がり辺りを見渡そうとする。しかし立ち上がる事は出来ず代わりに後ろから声が聞こえた。
「アドラぁ、アドラぁ、良かったです」
うわっと、これは……アリスに抱きつかれてるのか、よく見たらケイも目の前にいるな。何でこんな事になってるんだ?私はアリスを庇って倒れていたはずだ。
「なぁ、ケイ。アリスは何でこんな感じなんだ?」
「……それ本当に言ってます?貴方が死にそうになってたからですよ」
「そうか、大丈夫だアリス。私はずっと生きていくつもりだから」
「本当ですか?」
「ああ、私は死にたく無いからな。精一杯生きるよ」
「約束ですよ」
「ああ、約束だ」
はっ、そう言えばプロトコルはどうなった?それを止めるために死の淵から戻ってきたんだ……あれっ、でも特に何も起こってないな。プロトコルが実行されたなら空中にでかい機会が浮かぶはず、て事は……プロトコルが実装されていない?
「なあケイ、何でプロトコルを実行してないんだ?私が倒れてたんだから幾らでも機会はあったはずだ」
「私はそんな事よりもやりたい事が出来たからですよ」
へえ、ゴツメとの生活でそこまで変わったのか。流石私の親友だな。
「私は使命よりも大切な自分の夢が出来たからです」
落ち着いたアリスがしっかりとした口調で告げてくる。夢が出来たのか。私の選択は間違って無かったみたいだな。今のアリスにはしっかりと心がある様に見える。
「アリス、私に教えてもらっても良いか?」
「はい、私の夢はアドラと一緒に色々な事を体験してみる事です。アドラとの生活でこの世界には面白くて楽しいことが沢山あると分かりました。だから色々な事を体験して楽しんでみたいです」
「色々な事か、良い夢が出来て良かったな」
「はい、アドラのおかげです」
「あっ、そう言えば戦闘はどうなったんだ。今私達はヘルメット団本部と戦闘中だったはずだろ」
どうなったんだ、勝てたのか?まだ残党がいるなら早く、
「バッチリ勝てたよアドラ。作戦は大成功さ。にしてもあの怪我からもう生き返るとは流石だね」
ゴツメか、片手に包帯抱えてる辺り探してきてくれたんだろう」
「ああ、心配かけたな。私はもう大丈夫だよ。この通りピンピンしてる」
そう言ってサムズアップをする。
「それが出来るなら問題ないね」
勝てたんだな。よし、あとは私達が本部になるだけ。あれっ、どうやって本部になればいいんだ?
………足音が聞こえるな
「誰だお前?」
音がした方向へ声をかける。数秒後、さっき聞いたばかりの声が返ってきた。
「流石だな、私の足音を聞き分けちまうとは」
あいつは、本団長。もう起き上がるとか一体どんな耐久力してんだよ
「それで、何の様だ本団長?」
「いや、私達の敗北を伝えにきてな。さっき確認して来たが今起きている団員は私しかいない様だ。もう身体もボロボロだし四対一勝てる要素がねえよ。だから私達の負けだ。これからはお前たちゴツゴツヘルメット団が一番上だ。頑張りな。それじゃあ私はそれ伝えに来ただけだから、私の団の団員が起きたら私は〇〇にいるって伝えておいてくれ。いや全員がスマホもってるしモモトークでいいか、やっぱり伝えなくていいわ。それじゃあな」
「待ってくれ、この倉庫はどうするんだ?」
「それか、それなら私も前のトップから奪いとっただけだから知らねえよ。煮るなり焼くなり好きにしな」
そう言うと本団長は去っていった。ここってそんな代々受け継がれた場所だったのか。まあ、一番上になれたならいいか。それじゃあホテルに帰ってね……
「なあアドラ、これから打ち上げに行かないかい?こんな大仕事をしたんだしさ、いい店を知ってるんだ」
打ち上げか、最高だな。是非行きたい。
「いいな、是非行こう。楽しみだ」
「アリスはどうする?先に帰っておいてもいいが」
あの感じからしてもう一人で行動させてもプロトコルを実行しようとしないだろうしな。
「私も着いて行きます。未知の料理があるかもしれないので」
「ケイはどうするんだい、家で待っていてもいいよ」
「私も一緒に着いて行きますよ」
「そうかい、全員行くんだね。それじゃあ行くよ」
いやあ、楽しかったな。料理も美味しかったし。あの後私達はご飯屋さんに行き楽しく話ながら飲み食いして別れた。そして今私はホテルへとアリスをおぶって向かっている。途中で疲れたのか眠ってしまったのだ。
アリスの問題も解決出来た。戦力の問題も解決出来た。これで本当にパヴァーヌ編も終わりだ。後はエデン条約編とカルバノグ編だけ。
もう少し、もう少し頑張らないとな。
護頭ゴツメちゃん、皆さんはどう思いますか。
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もっと多く出して欲しい
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今までと同じくらいでいい
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余り出さないで欲しい