ふう、此処までは良い、此処までは良いんだ。問題は次なんだよ。ラビット小隊の処遇を私に任されるようにする、ここが問題なんだ。とは言えこれに関しては対策も思いつかない。天に祈るだけだ。なんとか上手く行ってくれよ。
っと、そうそう。ヴァルキューレに突き出す前に全員をローブで縛らないとな。そうしないとラビット小隊とグルだと思われるかも知れないし、
ギュッ、ギュッ
事前に用意しておいたロープを使いミヤコ、サキ、モエを固くロープで縛る。これで動く事は出来ないだろう。さて後は……
「ミユさん、ちょっとこっちに来てください」
「は、はい?分かりました」
そう言ってミユがこちらに近づいて来てくれる。だけど…ちょっと、と言うかかなり震えてるな。まあ、仲間が一瞬でやられて行くのを見たら怖くもなるか、
「大丈夫ですから。ロープで縛る以外には何もしませんよ」
「ほ、本当ですか?痛いのは嫌なんです」
「本当です。だからジッとしておいて下さいね」
ギュッ、ギュッ
ロープを固く縛り私がミユを引っ張れるような形にする。これで大丈夫かな、早速ヴァルキューレに突き出しに行こう。
おっ、見えて来たな。サキ、モエ、ミヤコを引きずった私の視線の先にはヴァルキューレの鎮圧部隊が座り込み荒く呼吸をしている。今はラビット小隊にコテンパンにやられて休憩している所みたいだな、見た所かなり疲弊している。
ザッザッ
そのまま足を進め、どんどん鎮圧部隊へと近づいて行く。そして後70メートルと言った所だろうか、鎮圧部隊の人達がこちらに気付いた。こちらを見ては何やら騒いでいる。今言っても交渉は無理そうか?
そんな事を思いながらそれを遠巻きに見ていると、丁度五分後くらいかな。集団の中から部隊長らしき人がこちらに向かって来た。その顔には先程までの疲れた表情や驚いた表情は無くとてもキリッとしている。
「ラビット小隊の鎮圧、感謝申し上げます。私はヴァルキューレ警察学校鎮圧部隊、隊長〇〇と言います。それで失礼を承知でお聞きしますが貴方は誰でしょうか?」
「私は天楽アドラです。それとカンナさんと話させて下さい。彼女と話たい事がありますので」
「はっ、はい分かりました。すぐに連絡します」
プルプル、プルプル、ガチャ
「なんだ、ラビット小隊を捕まえる事に成功したか?」
「はい、成功しました。ですが私達では無く別の人に捕まえていただきました。それで、その人がカンナさんに話がしたいと言うので連絡した次第です」
「……そうか、分かった。その人の名前は何という?」
「天楽アドラさんです」
「分かった。アドラさんと代わってくれ」
「アドラさん、カンナ局長に繋げました。どうぞ」
そう言われてスマホを渡される。落ち着けよ、此処が一番大事なんだ。此処でラビット小隊を仲間に入れられるかが大きく変わる。
スゥー、フゥーー
よしっ
「代わりました、天楽アドラです」
「はい、天楽アドラさんですね。ラビット小隊を捕まえてくださり、ありがとうございます。それでお話しとは何でしょうか?」
「はい、お話しと言うのはですね。ラビット小隊の処遇についてです」
「ラビット小隊の処遇、ですか?」
「はい、実は私SRTをとても良く思っておりまして。あの人達、ラビット小隊を失うとかなり困るんです。ですから学籍を保存して処遇を私に任せて下さい。最低でもデモはやめさせると約束します」
「鎮圧をやってくれたのはありがたいのですが、流石にそれは出来かねます。私達にも規則がありますので」
「そうですか、ならラビット小隊を渡す事はありません。子うさぎ公園に戻してきます。捕まるよりはマシですからね、それとこれからは私が貴方達ヴァルキューレに牙を向くかも知れませんので気をつけてくださいね」
(ラビット小隊を単独で確保するような相手を敵に回すのは厄介だ。幸いデモはやめさせると言っていたし、ここは従っておいた方がいいか)
「す、少し待ってください。防衛室長に許可が出るか確認を取ってきます」
そう言われて電話がきられた。良い感じだな、カヤに相談しに行く所まで行けた。このままカヤが申請を通してくれたらOKだが……どうなるか?
心臓をドクドクと鳴らしながら今か今かと電話を待つ、待った時間は十分程度だったはずなのに、その時間はとても、とても長いように感じた。
プルプル、プルプル、ガチャ
来たか、さあどっちだ。
「お待たせしました。防衛室長に連絡をとって来たのですが、アドラさんに処遇を任せるそうです。ただ、その代わり私に会って話をして欲しいと」
ふむふむ、私に処遇を任せる代わりにカヤと会って話をしろと。これなら作戦は成功と言っても良いな。だけど話って一体何だろうか?
う〜ん、多分あれかな。連邦生徒会に対するクーデター、シャーレの廃部への勧誘。だって私は考えてみればラビット小隊を単独で目立った傷も無く確保した化け物だ。でもまあこれなら問題無い。
「分かりました、防衛室長に会って話をしてきます」
「その後はヴァルキューレ警察学校に向かっていただけると幸いです。アドラさんが防衛室長と話をしている間に私達の方でラビット小隊への尋問も済ませておきますので。その後にラビット小隊を引き渡します。そして処遇についてもアドラさんに任せます。ですがくれぐれもまたデモを起こさないようにして下さいね」
「分かりました。それじゃあ、きりますね」
「あっ、少しお待ちを。まだお願いがありますので」
まだ……一体なんだ?
「今すぐ連邦生徒会に向かうのでしたら、そこにいる鎮圧部隊にラビット小隊を連れてくるように伝えておいて下さい」
………なんだ、そんな事か。やっぱりさっきの話はなかった事にするとかじゃ無くてよかった。
「分かりました伝えておきます。それでは今度こそ」
「はい、話は終わりです」
ガチャ
それじゃあ、早速カヤと話をしにいくとするか。とっ、その前に電話返しておかないと。
「電話ありがとうございました。それと私は諸事情で連邦生徒会まで向かわなければならないので私の代わりにラビット小隊を連れてこいとカンナさんが」
「分かりました。私達が責任を持って連れて行きます、鎮圧部隊全員、ラビット小隊をヴァルキューレまで運ぶぞ、立て!」
そう言うと鎮圧部隊全員がビシッと並んで立つ、そしてキビキビとラビット小隊を連れて行った。かっこいいな、ヴァルキューレ。さてと私もアリスを迎えに行って、カヤの所に向かうか。
ザッザッ
鎮圧部隊といた場所を後にし、アリスのいる場所へと向かう。アリスは〜〜おっ、いたいた。道のベンチに座っているアリスが見える。早く行かないとな、結構な時間待たせてしまった。
「ただいまアリス、ごめんな長い時間待たせて」
「おかえりなさい、アドラ。私なら大丈夫です。それより次は何処に行くのですか?」
「次に行くのは連邦生徒会のビルだ。早速向かうぞ。あっ、これからもアリスには待ってもらう事が多いと思うから、先に帰っておいても良いけどどうする?」
「……それでも私はアドラに着いて行きます」
「分かった、それじゃあ行くか」
でっか…何この、なに?いやそりゃ連邦生徒会って言う馬鹿でかい組織の建物だから大きいとは思ってたけど此処までなのか。あれっ、これどうやってカヤに会えば良いんだ?まあとりあえず入ってみれば分かるか。
ウィーーン
入り口から中に入り大きな大きなロビーを見渡す。おっ、受付みたいな人がいる。あの人に聞いてみよう。
「すいません、私天楽アドラって言うんですけどカヤさんって何処にいますか?」
「天楽アドラさんですね、カヤさんならこちらの部屋で待っています」
そう言って受付の人が後ろにある地図を指さす。ここからだいぶ近いな
「分かりました。ありがとうございます」
そう言って教えてもらった部屋へと向かう。えっとここを右に曲がって右側の三番目の扉だから、あそこだな。さあカヤとのご対面だ。
コンコン
「どうぞ」
返事を貰えたので扉を開け中にはいる。するとそこには中くらいの大きさの机が一つと椅子が二つ、後は観葉植物だけの少し殺風景な部屋があった。
「こんにちわ、私は連邦生徒会防衛室長のカヤと申します。それで一体どちらが天楽アドラさんでしょうか?」
「私です」
「そうですが、では隣の方は少し席をはずしていただけますか。私はアドラさんと二人で話がしたいので」
「分かりました。アドラ、私は外で待っています」
ガチャ
そう言うとアリスは扉を開け外へと出て行った。二人だけって言う事はやっぱり碌な話じゃなさそうだな
「それで話とは一体なんですか?」
そう尋ねると、カヤはにっこりと笑いながら答えた。
「貴方私に協力しませんか?」
「協力とはどう言う事ですか?」
「私は今SRTを復校させる為に動いています。話によれば貴方もSRTを復校させたいのでしょう。どうですか、利害は一致していると思いますよ?」
「少し考えさせて下さい」
「はい、幾らでも待ちますよ」
(単独でラビット小隊を鎮圧できるその武力はシャーレ廃部のため非常に使える。それを仲間に出来るのなら幾ら待ってもお釣りが来ますらね)
まあ、予想通りの展開だな。原作を守る為に頑張ってるんだから、まぁ断るのは確定としてどう断るかな。下手な断り方してこれからも付き纏われたら面倒だし、何か上手い断り方は無いか?今は絶対に無理だと分かって、でも今後はどうなるか分からないような断り方…これなら行けそうか
「すいませんが断られせていただきます」
「……なぜですか?」
「私はこう見えてもやらなければいけない事が沢山ありまして、確かにSRTを復校させる事もその一つなのですが今はそれに余りリソースを割けないのです。ですからやらなければいけない事が少なくなって、カヤさんに協力できるようになったらまた連絡させていただきます」
それを聞くとカヤは心底残念そうな顔をした、しかしその顔を一瞬で笑顔に変え言った。
「そうですか、それは残念です。また協力が出来そうになったら是非連絡をください。私はいつでも大歓迎ですので」
「はい、それでは」
ガチャ
***
アドラの足音がどんどん小さくなっていく。それを確認したカヤ観葉植物の中から録音機と小型カメラを取り出した。
「どう思いますか、ユキノさん。彼女は私達の計画の役に立つと思いますか?」
「立つと思う、だがあれでラビット小隊を打ち破ったのは怪しいな。私がカメラから見ていて思ったがあの人はかなり強かった。でもラビット小隊を一人で倒せる程じゃない」
「ですが、事実として鎮圧部隊からはアドラさんが倒したと報告が上がって来ています。と言う事はあの人とラビット小隊はグルだったと言う事でしょうか?」
「いやそれはない。私の知る限りラビット小隊にはあんな知り合いは居なかった。だから、現状の可能性としては私があの人の実力を見破れなかったて言うのが一番あり得るんじゃないか」
「もしそれが本当だとしたら、貴方でも見破れない程の実力の持ち主と言う事ですか。これは是非仲間に入って欲しいですね。早くあの人の用事が終わると良いのですが」
実績「カヤとの邂逅」を入手しました