GS美神 タイム・スライダー   作:ゴールドアーム

1 / 7
プロローグ とある悪魔の憂鬱

 彼がそれに気がついたのは、ある意味必然だったのだろう。

 全てを知る自分にとっても刺激を与えるような規格外の存在を知った事。

 そんな彼は久々に仕事をしていた。

 仕事、というのは変かも知れない。

 正確な言葉を使うなら、『強制労働』が一番近いであろう。

 まあ、非常に楽しい報酬を貰えたので、少しは仕事をしてやるつもりであった。

 ただ、わざと全力を出さなかった。

 「これからは一月ごとだ」

 彼はそう言った。

 「一月ごとに、教えてやる。一月先をな。ヤバいと思ったら融通は利かせてやる」

 これは新しい遊びであった。この間の女ほどではないが、きっといろんな人物が来るであろう。あるいは一人の生贄を捧げてくるか。

 別に奴らの言うことを聞く必要はないのだ。それでも今までより、楽しい思いが出来るに違いない。

 何故最初から思いつかなかったのだろうか、とも思う。

 答は簡単だ。世の中にあんな面白い奴がいるとは、考えたことがなかったのだ。

 何しろ俺はすべてを知る者だからな。本来『予想外』というのは俺のあり方に反するものだ。

 だから俺の前に現れる奴は、常に同じ。知る通り。型にはまった反応。それだけ。

 だが、探せばああいうのもいるとなれば、当たりが百に一つでも根気よく試してみた方がいい。今の俺は力が制限されている分、こういう『予想外』をわずかながら得られるのだから。

 そう思ってした提案であった。

 

 結果は結構面白いものであった。あんまりぶっ壊すわけにもいけないから手加減したが、それが良かったようだ。

 人間というものは希望が見えるとそこにしがみつく。隙を見せたせいで、相手の反応に幅が出てきていた。

 踊らされているとも知らずに。

 そして今日は月に一度の仕事日。散々楽しんだあと、仕事に取りかかった。

 そこで初めて気が付いた。

 珍しく本気を出した。

 あらん限りの力を振るった。

 だがそれは逃れようのない宿命に近かった。

 その時浮かんだのは、あの女であった。

 通常の人間とは、どこか違う女。

 単なる力の有無ではない、何かの違いに非常に興味をそそられた女。

 それが知りたくなって要求を出してみたが、手ひどく断られた。

 断られることは分かっていたし、結果非常に面白い思いが出来ることも分かっていた。

 あれなら何とか出来るかも知れない。

 そして彼は言った。

 

 「えらいもんが見えた。美神令子を呼べ。さもないと世界が滅びるかもしれん」

 あとには走り去る音のみが響いていた。

 

 「時が止まるだと……冗談じゃねえ」

 彼はそう、つぶやいた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。