キングダム:穿紅の閃光 〜神速の槍と無敵の拳で中華を穿つ〜   作:キング・クリムゾン!!

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続きです。ゆっくりしていってね。


第33話:宿命の青き炎、魏国国境への進軍

昌平君より下された「千人隊への昇格」と、天険の要塞『黒狼城(こくろうじょう)』の隠密制圧任務。咸陽宮での謁見を終えた貫たちは、すぐさま郊外の駐屯地へと戻り、次なる大戦への準備に追われていた。

 

「おいおい、信じるかよ! 俺たちが本当に『千人隊』になっちまったんだぜ!」

 

突撃隊長の雷が、新しく支給された千人将用の上質な漆紅の戦甲を撫でながら、興奮を隠せない様子で叫ぶ。

 

「喜ぶのは早いぞ、雷」

 

軍師の梁が、新兵の編成が記された大量の木札を整理しながら冷静にたしなめた。

 

「急ぎ王宮から補充された九百人の新兵たちは、まだ穿紅軍の独自の集団戦術『流水の陣法』に馴染んでいません。黒狼城へ進軍する道中、実戦を交えながら彼らを真の穿紅軍へと叩き上げる必要があります」

 

「へっ、そのための俺の『流水反衝・巨鉄盾』だろ。新兵の盾兵たちには、俺の背中を見て学んでもらうさ」

副将の鉄が、拓の手によって完全に新生した鈍い銀光を放つ巨盾を背負い、不敵に笑う。

 

工匠の拓も、新兵たちの武器の最終調整に余念がない。

 

「全軍、出陣の支度を。飛信隊との共同戦線だが、先鋒の誇りは譲らん」

 

貫が『超螺旋・流星管』を左腕にカチャリと装着し、長槍を手にして全軍の先頭に立つ。

 

千の軍勢――。並べられた軍旗が風にたなびく様は、百人の頃とは比べものにならない圧倒的な圧迫感と、軍としての「威容」を誇っていた。

 

新しく加わった九百人の新兵たち、そしてこれから血の雨が降るであろう魏国(ぎこく)の大地に対し、新進気鋭の千人将として、貫は愛槍を天へと掲げ、己の誇りと覚悟を刻み込むように、淀みのない声を響かせた。

 

「初めてお目にかかる。秦国軍総司令直轄、特殊遊撃千人隊『穿紅軍』を率いる千人将、貫(かん)だ。我が家に伝わる古流武術『流水岩砕拳』の呼吸法と、相棒の拓が命を賭して、天の星の鉄より鍛え上げし左腕の『超螺旋・流星管』、そして『積層流星槍』を以て、我らの進路を阻む魏国のあらゆる軍勢、あらゆる堅牢なる城壁を、その正面から一人残らず穿ち止める。新たに我が下に集いし九百の同胞よ、我が槍の導く穿光に続け。我らが次代の秦国の覇道を切り拓くのだ」

 

貫の傲る高ぶることのない、しかし千人の命の重さを完全にその背に背負った、絶対的な将の覇気をはらんだ自己紹介。その凛とした声に、不安を抱いていた新兵たちの瞳にも一斉に熱い闘志の火が灯り、「応っ!!」という地鳴りのような咆哮が駐屯地に轟いた。

 

数日後。穿紅軍と飛信隊は、秦国東方の国境を越え、魏国の領内へと隠密に進軍していた。

 

周囲は切り立った岩山が続く天険の地。この先に、昌平君の言っていた重要拠点『黒狼城』がある。

 

「貫! 前方の渓谷、魏軍の先遣隊と思わしき一団を発見したぞ!」

 

物見に出ていた雷が、風のように馬を走らせて戻ってきた。

 

「規模は?」梁が素早く問いかける。

 

「約二千。魏の正規兵だ。しかもタチの悪いことに、全員が青い甲冑に身を包んだ重装歩兵と重装騎兵の混成部隊だ。どうやら、黒狼城への増援部隊らしい。俺たちの接近にはまだ気づいてねえ」

 

「二千の重装部隊か……。新兵たちの初陣としては、これ以上ない格好の壁だな」

 

貫の瞳が、静かに、そして鋭く細められる。

 

「よし、飛信隊が到着する前に、我ら穿紅軍の単独奇襲でこれを各個撃破する。鉄さんは新兵の盾兵を率いて渓谷の出口を完全に封鎖。雷は突撃隊を率い、敵の側面から一気に切り込め。俺が中央の敵本陣を正面から貫く」

 

「御意!!」

 

千人隊となった穿紅軍の、新たなる伝説の幕開け。

進化した貫の『超螺旋・流星管槍』と、鉄の『流水反衝・巨鉄盾』が、千の軍勢の力と合わさった時、魏国の大地にどのような破壊の嵐を巻き起こすのか。若き穿光たちの、魏国攻略における最初の激突が、今まさに始まろうとしていた。




次回:第34話 鉄壁の暴風、轟く巨盾の反衝
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