キングダム:穿紅の閃光 〜神速の槍と無敵の拳で中華を穿つ〜 作:キング・クリムゾン!!
魏竜が誇る「介子坊流の破壊の武」と、天険の要塞『黒狼城』。その圧倒的な防御力を前に、麓に陣を敷いた穿紅軍の軍師・梁と飛信隊の河了貂は、瞬時に一つの結論に達していた。
「時間をかければ本隊が来て包囲戦にできる。でも、昌平君の本隊が来る前にここを落とさなきゃ、魏軍の主力に横腹を突かれる……! 奇策を弄している時間はない、正面突破だよ!」河了貂が悔しそうに地図を叩く。
「ええ。ですが、まともに登城道を突き進めば、魏竜の思うツボです。城壁からの矢の雨と石落としで、千人隊など門に辿り着く前に全滅します。……ならば、方法は一つしかありません」梁が眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせ、本陣の前に立つ二人の将を振り返った。
「貫様、信様。敵が『絶対に破られない』と過信している、あの鉄甲の城門。あれを『衝車(しょうしゃ)』も使わずに、一瞬で消し飛ばすしかありません。それができれば、敵の防御戦術は根底から崩壊します」
「衝車も使わずに城門を、か……」信が大剣を担ぎ直し、ニヤリと笑う。「へへ、無茶を言うじゃねえか。だが、俺たちの戦場に『普通』なんて言葉はねえ!」
「……ああ。俺の『超螺旋』なら、それができる」貫が静かに一歩前に出た。その左腕に装着された『超螺旋・流星管』が、主の覚悟に呼応するようにキィィィンと高周波の駆動音を響かせる。工匠の拓が命を懸けて施した、回転による破壊力の極限進化。それを今、この巨大な城門にぶつける時が来たのだ。
「よし、作戦開始だ! 飛信隊が登城道の左右の伏兵を蹴散らす! 貫、お前たちは真っ直ぐ門へ突っ込め!」信の号令とともに、飛信隊が猛然と山道を駆け上がっていく。
「穿紅軍、前へ!! 鉄さん、新兵たちを頼む!」
「任せろ! 新兵ども、俺の『巨鉄盾』の傘に入れ! 一歩も遅れるな!」副将・鉄を先頭に、漆紅の戦甲をまとった穿紅軍が、黒狼城の正面へと突撃を開始した。
城壁の上から、魏竜の冷徹な号令が下る。
「愚か者が、正面から来おったか! 弓兵、弩兵、一斉に射ち下ろせ! 秦国の雛鳥どもをハリネズミにしてやれ!」
ヒュバババババババッ!!!!
天を覆い尽くすほどの黒い矢の雨が、急斜面を登る穿紅軍へと降り注ぐ。
「うわあああっ!」と怯える新兵たち。しかしその瞬間、最前線の鉄が『流水反衝・巨鉄盾』を天へと掲げ、流水岩砕拳の気を爆発させた。
「流れる水の如く、すべてを弾き流せッ!!」激突する矢の群れが、巨鉄盾の表面の竜鱗積層に触れた瞬間、その凄まじい反発波動によって軌道を狂わされ、四方八方へと弾け飛んでいく。鉄が作った「絶対の傘」に守られ、千の穿紅軍は一人も脱落することなく、ついに黒狼城の心臓部――魏国特製の『超厚装甲城門』の前へと到達した。
門の前に立った貫の前に、青銅と鉄で幾重にも補強された、厚さ数尺はある凄まじい巨門が立ちはだかる。
「……これだけの質量、確かに並の衝撃では揺るぎもしないな」
貫は静かに右足を一歩引き、腰を深く落とした。左腕の流星管を巨門のど真ん中へと向け、右手に握った『積層流星槍』を管の後方へとセットする。
城壁の上から、魏竜がそれを見下ろして大笑いした。
「ハハハハ! 狂ったか秦国の千人将! 衝車もなしに、裸身で我が装甲城門の前に立つとは! 矢兵、あの狂ったガキを集中砲火に――」
魏竜が言い終えるより早く、貫の全身から、青き流星の如き凄まじい気迫が立ち上った。管の内部の超緻密な螺旋構造が、限界を超えて高速回転を始める。
(流水岩砕拳・剛流奥義――超螺旋・流星一点穿)
新しく千の軍勢の命を背負い、不落の要塞の門を正面からこじ開ける秦国の新星として、貫は轟音渦巻く戦場の中心で、淀みのない、しかし天地を震撼させる声を響かせた。
「初めてお目にかかる。秦国軍総司令直轄、特殊遊撃千人隊『穿紅軍』を率いる千人将、貫(かん)だ。我が家に伝わる古流武術『流水岩砕拳』の呼吸法と、相棒の拓が命を賭して鍛え上げし左腕の『超螺旋・流星管』、そして『積層流星槍』を以て、貴様らが『不落』と過信せしこの装甲城門、その正面から跡形もなく穿ち砕く。魏竜よ、廉頗の遺伝子がどれほどのものか、我が穿紅軍が切り拓く新たなる時代の光の中で、とくと見届けるがいい!!」
貫の傲る高ぶることのない、しかし世界の理すら破壊せんとする絶対的な自己紹介の覚悟。その瞬間、貫の右腕が神速で突き出され、積層流星槍が流星管へと叩き込まれた。
ドガァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!!
流星管の内部で極限まで圧縮された回転エネルギーが爆発し、槍の穂先が超高速の「ドリル」と化して装甲城門へと着弾した。
直後、戦場にいた全員の鼓膜を破壊せんばかりの、凄まじい金属の摩擦音と爆発音が炸裂する。
「な、何だあの回転は……!? 鉄の門が、削られて……いや、ねじ切られていく!?」城壁の魏兵たちが腰を抜かす。
貫の放った超螺旋の破壊力は、分厚い装甲城門の分子結合すら引き裂き、門の裏側にある巨大な閂(かんぬき)ごと、中央から巨大な大穴を開けて「爆発」した。
バギギギ、ガガガガァァァンッ!!!
凄まじい風圧と鉄の破片が城内に飛び散り、魏国が誇る不落の城門は、たった一人の少年の『突き』によって、文字通り正面から木端微塵に粉砕されたのである。
開いた爆煙の向こう側、驚愕で硬直する魏軍の兵たちの前に、貫は静かに槍を引き、漆紅の軍旗を背に立ち尽くしていた。
「門は開いた。……穿紅軍、突撃!! 城内の敵を各個撃破せよ!」
「おおおおおおおっ!!!」門が破られたことで完全にパニックに陥った城内へと、鉄、雷、そして九百の新兵たちが津波のように流れ込んでいく。遅れて駆けつけた信も、「嘘だろおい! 本当に一撃でぶっ壊しやがった!」と大笑いしながら、大剣を振るって城内へと突入した。
「おのれぇぇぇ! 秦国の化け物どもがァ!!」城壁から飛び降りてきたのは、大斧を激しく振り回す猛将・魏竜。不落の城門を失い、退路を断たれた廉頗の遺伝子が、いま、狂乱の牙を剥いて貫と信の前に立ちはだかる。黒狼城の決戦は、最高潮の乱戦へと突入していくのだった。
次回:第38話 若き双璧の狂演、砕け散る大斧
次に書く二次創作小説の原作
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