キングダム:穿紅の閃光 〜神速の槍と無敵の拳で中華を穿つ〜 作:キング・クリムゾン!!
ドオォォォォォォォンッ!!!!!!!!
介子坊率いる二万の黒き鉄流が、穿紅軍と玉鳳隊が敷いた防衛陣へと真正面から激突した。
平原に巻き起こる凄まじい衝撃波と、人と馬がぶつかり合う凄惨な金属音。魏軍の圧倒的な「数の暴力」は、まるで巨大な鉄の重錘となって、二千足らずの秦軍を文字通り押し潰さんと襲いかかる。
「押し込め! 雛鳥どもの防陣など、一息に踏み潰せッ!!」
介子坊直属の千人将たちが剣を掲げ、怒濤の勢いで兵を繰り出す。
「新兵ども、歯を食いしばれェ! ここで退けば、後ろの仲間が全員死ぬぞ!!」
最前線に立つ副将の鉄が咆哮する。その手にある『流水反衝・巨鉄盾』には、魏兵の槍撃や馬の体当たりが絶え間なく叩きつけられ、凄まじい火花が飛び散っていた。工匠の拓が施した鎔解流星鉄の装甲は、どれほど強烈な重撃を受けても火花を散らすだけで、一寸のヒビすら入れさせない。
「梁! 左翼の連動が遅れているぞ!」
「分かっています、鉄さん! 伝令、左翼第五陣は『柔流の構え』へ移行! 敵の突撃を受け流し、玉鳳隊の槍陣の射線を開けなさい!」
軍師の梁が冷静に戦術木札を動かし、旗を振る。穿紅軍の誇る『流水の陣法』は、ただ耐えるだけの盾ではない。大河の流れが岩を避けるように、敵の突撃の威力をいなし、その推進力を利用して敵自身を自滅させる剛柔一体の防衛陣。
穿紅軍が敵の突撃を受け流して生み出した一瞬の隙間へ、王賁率いる玉鳳隊の白銀の槍陣が、容赦ない波状攻撃を突き立てる。
「突け! 突け! 隙を見せた魏兵を一人残らず屠れ!」
王賁の愛槍が疾風の如く繰り出され、防陣に突っ込んできた魏の騎兵たちが次々と馬から叩き落とされていく。
「ふん、見事な連携だ。だが、この圧倒的な数の前で、その薄い防壁がいつまで持つかな?」
後方から戦況を見つめる介子坊の瞳は、冷徹そのものだった。二万の軍勢は、前陣が倒れれば中陣が、中陣が倒れれば後陣が途切れなく押し寄せる。まさに終わりのない絶望の連鎖。じりじりと、しかし確実に穿紅軍と玉鳳隊の防壁は削られ、包囲網は狭まりつつあった。
「貫様の正面、敵の精鋭重装歩兵、さらに三百が接近! このままでは防陣の一角が破られます!」
伝令兵が悲痛な声を上げる。
その時、漆黒の魏兵たちの前に、青き流星の如き覇気をまとった貫が、愛馬を駆って静かに進み出た。左腕の『超螺旋・流星管』が、キィィィンと高周波の駆動音を響かせ、周囲の空気を激しく振動させる。
迫り来る圧倒的な数の津波、そして本陣に鎮座する怪物・介子坊を真っ正面に見据え、絶望の戦場を切り開く真の将として、貫は马上、淀みのない声を平原へと響かせた。
「初めてお目にかかる。秦国軍総司令直轄、特殊遊撃千人隊『穿紅軍』を率いる千人将、貫(かん)だ。我が家に伝わる古流武術『流水岩砕拳』の呼吸法と、相棒の拓が命を賭して鍛え上げし左腕の『超螺旋・流星管』、あるいは『積層流星槍』を以て、目の前に押し寄せる魏軍の精鋭、その圧倒的な数の暴力ごと、正面から一人残らず穿ち止める。王賁、我らの防陣は折れぬ。耐えるだけの戦いはここまでだ。ここからは、我が超螺旋の穿光を以て、この絶望の包囲網を内側から強行突破する」
貫の傲る高ぶることのない、しかし戦場の絶望をすべて撥ね退ける絶対的な自己紹介の激。
その瞬間、貫の右腕が神速の連撃を放ち、積層流星槍が流星管の超回転エネルギーをまとって突き出された。
(流水岩砕拳・剛流奥義――超螺旋・流星爆連穿)
ドガバババババババァッ!!!!!!!!
放たれた槍の突きは、一本一本が強烈な竜巻を伴う光の嵐となり、防陣に肉薄していた魏軍の精鋭重装歩兵三百を、その鉄盾ごと文字通り「吹き飛ばした」。超螺旋の破壊力によって、魏兵たちの肉体と鎧が螺旋状にねじ切られ、前線に巨大な空白地帯が生まれ落ちる。
「な、何という男だ……! たった一人の槍撃で、我が精鋭部隊が消し飛んだだと!?」
魏の千人将たちが恐怖に顔を戦慄かせる。
「――全軍、今だ! 貫が開いた穴へ突撃しろ!」
王賁がその機を逃さず、愛槍を掲げて猛然と進撃を開始する。
「玉鳳隊、穿紅軍に遅れを取るな! 敵の中央を食い破るぞ!」
貫の放った一撃が、絶望の包囲網に大いなる風穴を開け、秦軍の反撃の狼煙が上がった。しかし、その戦況の劇的な変化を、後方で静かに見つめていた介子坊が、ついにその巨大な大刀をゆっくりと握り締め、愛馬を前へと進め始めた。本物の「怪物」が、ついに自ら動き出すのだった。
次回:第45話 不落の誓い、怪物の鉄槌