オペレーター・スペースマリーン 作:SECOND
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Aceは戦闘の最中で状況を観察し、事態の打開策を考えていた。
レユニオン幹部のアーツらしき影響で凶暴化したレユニオン兵は手強く、このまま戦闘が長引けば天災が直ぐにでもチェルノボーグを襲うだろう。増援として呼んだニアール達ももう直ぐ到着するが、それでもレユニオンを無力化できるかは分からない。
(作戦目標はあくまでドクターの救出……無理にここで戦闘する理由は無い)
作戦の大目玉であるドクターは確保した以上、極端に言えばレユニオンは無視しても良い存在だ。今戦闘を行っているのも自衛の為であり、積極的に彼等に攻撃を仕掛ける理由は無い。
そう結論付けたAceは、横で同じく戦闘中のアーミヤへ叫ぶ。
「アーミヤ!! 俺の合図と同時に全員で煙幕弾を撒く、その隙に負傷者を回収して撤退するぞ」
「は、はい! …ですが、ヴァレリウスさんは――」
「ヴァレリウスには俺から話を付けておく。急がないと天災が来るぞ」
Aceは武器のハンマーを下げ、耳の通信機に手を当てる。
「ヴァレリウス、聞こえるか?」
『聞こえている。Aceよ、このままでは時間を浪費――』
「ああ、潮時だ。撤退する。お前には敵の撹乱と包囲網の突破を任せたい……できるか?」
Aceが彼に求めたのは、レユニオンの包囲網を突破し敵の動きを止め、オペレーター達の撤退の時間を稼ぐこと。
無論、彼を置いていく訳ではない。
だがヴァレリウスの力であれば、それを遂行しながら自分達と合流することができる、そう信じての要求だった。
『承知した』
彼から返ってきたのは、短い一言の承諾。
Aceは感謝を伝え、無線機伝いで叫ぶ。
「戦闘オペレーター総員、煙幕展開! 負傷者を援護しながら後退しろ!!」
彼の合図と共に、前線に立っていたオペレーター達が煙幕筒を取り出し、足元に叩きつける。
濃い煙が辺りに充満し、視界を奪われたことで理性を失ったレユニオン兵は錯乱し、周りへ無造作に攻撃を繰り出すだけの木偶の坊となった。
煙越しにオペレーター達が撤退しているのを見たヴァレリウスはAceの作戦通り、レユニオン兵の錯乱と突破を始める。
彼はレユニオン兵に纏わり付かれている状態で、大きく足を地面へ踏み込む。
「ぐあっ!?」
コンクリートに蜘蛛の巣状の亀裂が走った。
衝撃波にも似た振動が周囲へ伝播し、迫っていたレユニオン兵達がまとめて体勢を崩す。
さらにもう一歩。
砕けた地面が跳ね上がり、瓦礫と共に兵士達を吹き飛ばす。
メフィストのアーツで痛覚を鈍らされていても、立ち上がるまでには僅かな時間が必要だった。
『退け』
目の前のヴァレリウスを足止めしようと迫るレユニオン兵と、アーミヤ達を追撃しようとするレユニオン兵。
彼は短くそう言うと、ストームシールドのエネルギー場を展開し、それを身体の前で構える。
「な、何を――まさか!? 術師、奴を止めろ!!!」
まるでパトリオット率いる遊撃隊を彷彿とするその構えに、理性を失っていない指揮官のレユニオン兵が叫ぶ。
彼の指示で術師のアーツや矢がシールドに降り注ぐが、軽くエネルギー波を発生させるだけでまるで効果はない。
その刹那、ヴァレリウスが大きく踏み込む。
巨体が自動車のようなスピードで突進し、目の前のレユニオン兵をストームシールドが次々と吹き飛ばしていく。更に、ストームシールドにはエネルギー場が纏わり付いている。
死に至らなくとも、直接生身でそれに触れてしまった者達の惨状は想像に難くない。
彼が通った後には、崩れた路面と倒れ伏す兵士達だけが残る。
その隙を逃さず、ロドスのオペレーター達は負傷者を抱えながら街路を駆け抜けた。
Aceが最後尾を守り、ドーベルマンが後退する班を誘導し、アーミヤはドクターの傍を離れずに周囲へ意識を張り巡らせている。
「急げ! 止まるな!」
Aceの声が煙幕の中に響いた。
背後からはなおも怒号と呻き声が聞こえるが、距離は開いていた。ヴァレリウスが強引にこじ開けた突破口は短時間ながら確実に機能している。
やがて煙幕の外へ抜ける。
崩壊した交差路へ一行が出た瞬間、前方から複数の足音が聞こえ、ロドスのオペレーター達が反射的に武器を構える。
だが、次に響いた声がその緊張を解いた。
「こちらへ!」
金色の髪を揺らしながら、重装備のクランタの女性が駆け込んでくる。
後ろからは十数人のロドスのオペレーター達が続き、周囲を警戒しながら負傷者の元へ駆け寄る。
「ニアールさん!」
アーミヤの表情に安堵が浮かぶ。
「アーミヤ、君が無事で良かった。早く撤退しよう」
ニアールがアーミヤに微笑み掛け、それを見たAceとドーベルマン、他のオペレーターも安堵の表情を浮かべる。
続いて彼女はヴァレリウスとハルトを見て、僅かに警戒心を孕んだ視線を向けながら言った。
「……貴方達が異界の戦士か。噂には聞いている、作戦への協力に感謝しよう」
彼女の言葉のヴァレリウスは静かに頷き、ハルトもぎこちないがそれに続く。
続いて、ドクターにも目を向けた。
「そして、貴方がドクター……カジミエーシュの耀騎士ニアール。お迎えにあがりました」
「あ、ああ……」
ドクターも彼女の言葉に、覚束ないが答える。
「ドーベルマン、状況は?」
「レユニオンの部隊がここ一帯を封鎖している。包囲網は突破したが、敵の大半は依然健在だ。天災も直ぐそこまで迫っている……直ぐに撤退ポイントに急行した方が良いだろう」
「承知した――負傷者を中央に、重装オペレーターは前へ!」
ドーベルマンから現状を聞いた二アールは直ぐに指揮下のオペレーターに指示を出し、撤退の準備を始める。
増援の到着によって隊列が立て直される。
崩れていた呼吸が整い、散りかけていた集中が戻っていく。
だが。
「………?」
最初に異変に気付いたのはアーミヤだった。
街路を流れていた粉塵が、奇妙なほど静かに地面へ落ちる。
遠くで、何かが燃える音がした。
ぱちり。
ぱちり。
直後、じりじり周囲の空気の温度が沸騰するように上がっていき、街中から異音が鳴り始める。アーミヤ以外の全員も異変を察知し、周囲を見渡す。
「周囲の温度の異常変化を確認。何だ、これは」
ヴァレリウスが頭部ユニットに手を当てながら呟いた。
横に居たハルトもラスガンの引き金に指を掛けながらヴァレリウスに言う。
「
そのやり取りの直後、遠くの建物が爆炎に包まれた。
壁が、窓枠が、放置された車両が、街路樹の残骸が、何の前触れもなく赤く染まっていく。炎は意思を持つように道路を這い、瓦礫の間を舐め、空気そのものを焼くように広がっていった。
「この、アーツは………!!」
「資料で見るよりずっと厄介だな……!」
市内の建物が玩具のように砕かれ、炎に焼かれていく様に、二アールとAceは冷や汗をかきながら呻く。
「レユニオンの暴君……」
「――タルラ」
ドーベルマンとアーミヤがそう呟いた直後、一同の居る路地にも炎の奔流が流れ込む。あまりにも突然の事態に、殆どのオペレーターが反応出来なかったが、Aceとヴァレリウスは直ぐに皆の前へ出た。
「下がっていろ」
ヴァレリウスが短く言い、ストームシールドを構える。
炎の波がシールドとぶつかり合い、膨大なエネルギーを生み出す。漏れ出た炎をAceが盾で受け止める。
「………!」
あまりのエネルギー量に彼の足元の地面に亀裂が走る。
炎の波は止まらない。更に強く、多くの炎がヴァレリウスのシールドに集中する。エネルギー場が激しく揺らぎ、青白い光と赤い炎が衝突して火花のような粒子を撒き散らした。
熱が爆風となって周囲へ叩き付けられ、オペレーター達の身体が後ろへ押し流された。地面のアスファルトが泡立つように融け、瓦礫の表面が黒く焼け焦げる。
エネルギーフィールドにより偏向をずらされた炎の奔流は街路を形成する左右の建物を飲み込み、一帯を遮蔽物の無い荒野へと変えた。
炎が止み、高温によってゆらゆらと揺れる空気の中から人影が現れる。
「……これを受け止めるか」
目の前に現れた人物――レユニオンのリーダーにして、この場の最強のアーツの使い手、“暴君”タルラ。
彼女はストームシールドを持つヴァレリウスを一瞥し、まるで感情の篭っていない表情でそう言い放つ。
その直後、タルラが掌をヴァレリウスに向けた。
彼が寸前で反応した直後、彼女の掌から細い光線のようなものが放たれる。圧縮された火炎の筋がヴァレリウスのシールドとぶつかり合い、彼の身体は後方の瓦礫まで吹き飛ばされる。
「
「ヴァレリウスさん! そんな……!!」
今まで圧倒的な力を誇っていたヴァレリウスが吹き飛ばされたことで、ハルトやアーミヤ、他のオペレーター達に動揺が走る。
「青い巨人……報告が入った時は半信半疑だったが、本当だったか。興味深いが、今は不要な存在だ」
瓦礫の山に立ち昇る煙に目を向けながら、タルラが静かに言う。
そして、ロドス一行に視線を変えた。
「お前達は真に感染者の側に立つべきだった」
「感染者が何をした、無実の人々が何をした? 口先だけの理想論者――貴様らに、何ができる?」
彼女が一歩踏み出す。
その度に熱の波がアーミヤ達を襲い、オペレーター達が悲鳴を上げる。
「ここまでだ。思いは誰にも届かない。甘い夢は叶わない」
彼女が再び掌を向ける。
「私が好む結末を教えてやろう――滅びよ」
タルラがそう言い放った直後、再び炎の奔流が放たれる。
ヴァレリウスに向けられた細い光線のようなものではない、まさに炎の津波。
「ぐ、ぅ――!!」
「アーミヤ!!」
炎が全員を飲み込む寸前、アーミヤが自らのアーツで炎を防ぐ。炎がずらされ、一行を避けるように周囲へ散らばっていく。
「早く、皆さんと一緒に――うぅッ!!」
「無茶だアーミヤ! このままでは指輪が!」
あまりのエネルギーとアーツの負荷で、アーミヤは言葉を言い終える前に苦痛に満ちた呻き声を上げる。
ドーベルマンと二アールが説得するが、彼女は踏みとどまる。
「この身体が砕けても、私は………!!!」
その瞬間。
「よく耐えた、コータスの少女よ」
「ヴァレリウス、さん……?」
ストームシールドを構えたヴァレリウスが復帰、崩れ落ちそうになるアーミヤを片手で支え、もう片方の手でシールドを構え炎を受け止める。
直ぐにAceがアーミヤの元に駆け寄り、彼女を抱えながら後ろに下がる。
「……ほう?」
それを見たタルラが興味深そうに目を細める。
一方、ヴァレリウスは彼女の動きや能力を冷静に分析していた。
(多く見積もってもベータ級のサイカー……アルファ級には届かないが、現有戦力を考えると大きな脅威と見るべきか)
サイカー等級。
であれば、生半可な対応ではこちら側の犠牲を増やすだけ。
「全員、目を塞いでいろ」
低く響くヴァレリウスの声が、轟々と燃え盛る炎の唸りを押し退けるように戦場へ響いた。
背後にいるハルトは反射的に顔を伏せ、腕で目を覆う。
その様子を見たアーミヤ達も続いて顔を伏せた。
巨大なストームシールドが炎を受け止めている。厚い装甲板の表面は赤熱し、無数の火花が散っていた。それでも超人的な戦士は一歩たりとも退かない。
左腕で盾を支えながら、右手がゆっくりと腰のホルスターへ伸びる。
炎の壁越しに、その動きを見たタルラの眉が僅かに動いた。
「……?」
テラではまず見ない謎の物体。
黒鉄色の銃身の側面には冷却フィンが並び、内部では青白い光が脈動していた。まるで小さな恒星が閉じ込められているかのように。
「なッ……!?」
その瞬間、初めてタルラの顔に驚愕の表情が浮かぶ。
ヴァレリウスがその物体――プラズマガンの引き金を引いたのだ。
轟音。
銃口から放たれたのは灼熱のプラズマだった。
蒼白い太陽の欠片にも似た光弾が、発射と同時に周囲の空気を電離させながら進む。爆ぜるような閃光がタルラ炎の奔流を貫き、周囲へ青白い残光を撒き散らした。
まるで、巨大な槍が炎の海を突き破ったかのようだった。
焦ったタルラが急いで障壁を展開する。
プラズマ弾は障壁へ激突し、眩い閃光を撒き散らしながら押し留められる。
だが完全には防ぎきれない。
障壁の縁を削り取るように漏れ出た灼熱がタルラの腕を舐めた。
「ぐッ――!!」
肉が焼ける臭いが立ち上る。
ローブの袖は一瞬で炭化し、露出した腕の皮膚は黒く焼け爛れた。赤熱した血が蒸気を上げながら滴り落ちる。
障壁は辛うじて直撃を防いだ。
しかし、その代償は決して小さくなかった。
タルラの顔から余裕が消える。
炎の向こう側では、青白い蒸気を銃身から立ち昇らせながら、ヴァレリウスが微動だにせず立っていた。
ドクターの出番はきちんと作るつもりです(多分)
・
帝国内の通信と異能者(サイカー)の管理を管轄する省庁。彼等の役割は
・サイカー等級
前述のアストラ・テレパシカが危険度ごとに定めたサイカーの等級。低い順にシータ→イータ→ゼータ→イプシロン→デルタ→ガンマ→ベータ→アルファ→アルファ・プラスとなる。シータからイプシロン辺りはほぼ無能力から普通の異能(アークナイツでいうと一般術師くらい)となり、デルタやガンマ、ベータクラスとなるとネームドキャラクラス、アルファ以降は惑星や星系規模の脅威とされる。
※ここで注目すべきなのは、この等級が脅威の規模を基準としている点である。例にシーを出すと、彼女の能力は現実改変に近く、強さだけで言えば非常に強力であるが、筆者は彼女もタルラと同じベータ級になると予測する。というのも、ウォーハンマー40kのサイカーには規模が小さくても時空間歪曲や因果律操作、過去・未来改変等を行使する者が多くおり、強力さで脅威を見出すというよりは、彼等の能力がどこまで(都市レベルなのか惑星レベルなのか)影響するのかを深く見られるからだ。
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〈歪み〉を通じて通信などを行う、帝国には欠かせない人材の一つ。彼等は星間通信や命令の伝達などを行うため、アストロパス無しに帝国は成り立たない。そんなアストロパスだが、彼等は銀河から拉致または徴収されたサイカーが出自である。帝国によって集められたサイカー達はアストロパシック・トランスと呼ばれる儀式を受け、この儀式で黄金の玉座に座る皇帝の精神に触れることになる。多くの候補者は死亡するか精神を破壊され、生き残った者だけがアストロパスとなることができる。
今後の展開の方向性は?
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エレーナは僕が救います(救済ルート)
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暗黒の遠未来あるのは戦争のみ(鬱ルート)