アウトロー・ア・ライブ!   作:便利屋箱推し先生

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便利屋のミニストーリーが神過ぎたので初投稿です。
陸八魔アルママ概念もっと増えろ増えろ・・・


幼女が生まれた日

「――はぁ、はぁ……。よし、これで追っ手は撒いたわね!」

 

ゲヘナのとある寂れた路地裏。赤のコートを翻し、陸八魔アルは偉そうに胸を張った。

……が、その呼吸は完全に上がっており、肩が激しく上下している。

 

「いや〜、アルちゃん今日もキレッキレの逃走劇だったね〜! クスクス、風紀委員会の娘たち、今頃あっちのブロックを探してるよ」

「アル、自慢げに言ってるけど、そもそも突撃する建物を間違えたのはあんたの指示ミスだからね……?」

「う、うぅ、申し訳ありませんんん! 私がもっと事前に周囲の爆破経路を確保していれば、アル社長にこんな無様な真似をさせずに済んだのに……! すみませんすみません、死んでお詫びを――ッ!」

「待ってハルカ、落ち着いて!私がミスしたのが悪かったんだから!」

 

浅黄ムツキが面白がり、鬼方カヨコが呆れたようにため息をつき、伊落ハルカがショットガンを自分の頭に突きつけようとする。

いつも通りの、いつも通りの便利屋68の日常。

 

――そのはずだった。

 

――パシッ。

 

「……ん?」

 

突如、乾いた小さな音が路地裏に響いた。

風で硬いゴミが跳ねたような、あるいは火花が散ったような音。しかし、カヨコとハルカの視線は鋭く地面へと落とされる。

 

アルたちの足元。アスファルトの地面が、まるで目に見えない不可視の“何か”によって、ほんの僅かに、円状に削り取られていた。

 

「……何? 銃撃……じゃないわね。弾痕がない」

「アル社長、下がってください! 敵の新型兵器かもしれません!」

 

ハルカが素早くアルの前に立ち塞がり、銃口を構える。

削られた地面の中心から、陽炎のような、あるいは紫煙のような「怪しげな光の残滓」がゆらゆらと立ち上っていた。それは便利屋68がゲヘナで巻き起こしてきた数々の騒動、硝煙、そして彼女たちが持つ固有の「神秘」が、奇跡的な確率で混ざり合って生じた歪み。

 

光はまたたく間に膨れ上がり、そして――。

 

「え……?」

 

光が弾けた後に残されていたのは、およそゲヘナの戦場には似つかわしくない、純白のドレスをまとった8歳ぐらいの幼女だった。

 

サラサラとした髪。

汚れを一切知らない、純粋無垢な瞳。

悪魔的なほど愛らしい、しかしどこか底知れない「精霊」の気配を微かに孕んだ、ふしぎな女の子。

 

「子供……? なんでこんなところに……」

 

カヨコが目を丸くする。

ハルカは困惑して銃口を下げ、ムツキは「おや〜?」と興味深そうに身を乗り出した。

 

きょとん、とした様子で座り込んでいた幼女は、目の前にいる4人の姿を、その澄んだ瞳に映す。

便利屋68の残滓から生まれた彼女にとって、この4人は最初から「魂に刻まれた家族」そのものだった。

 

そして、幼女の視線が、中央で一番派手なコートを着た、オロオロと戸惑う赤髪の少女の手元でピタリと止まる。

 

ゆっくりと立ち上がる幼女。トコトコと小さな足取りで歩み寄り、緊張でカチコチに固まっているアルのコートの裾を、小さな手で、ぎゅっと握りしめた。

 

幼女は満面の笑みを浮かべ、鈴の鳴るような声でこう呼んだ。

 

「――っ、ま、ママ……!」

 

「……はぇ?」

 

アルの口から、間抜けた声が漏れる。

 

「ママ! やっとあえた!」

 

「ママ……ッ!?!?!?!?!?」

 

路地裏に、アルの絶叫が木霊した。

心臓がバックバクと音を立てる。困惑する思考へ衝撃が走る。

思考はオーバーヒートを起こし、顔が真っ赤に染まっていく。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!? わ、私、ハードボイルドなアウトローであって、まだ、その、未婚だし、子供なんて産んだ覚えは、っていうか私まだ高校生よ!?」

 

「あはははは! すごいよアルちゃん、いつの間に仕込んでたの? 隠し子? 隠し子なんだね!?」

「ムツキ、からかうのはやめなさい。……でも、アル。心当たりは?」

「あるわけないでしょー!?」

 

パニックになるアルを気にも留めず、幼女は次にムツキを見る。

 

「ムツキおねーちゃん! むぎゅー!」

「わっ、お姉ちゃんって呼ばれちゃった! かわいい〜、よしよし、お菓子あげるね〜」

「カヨコおねーさん! お歌きかせて!」

「えっ……私のこと知ってるの? ……ていうか、ちょっと、抱き着かないで……あーもう、頭撫でるからジッとしてて」

 

カヨコは無愛想を装いつつも、完全に目尻が下がっている。

そして幼女は、最後におそるおそる後ろに隠れていたハルカを見上げた。

 

「ハルカちゃん! お花、いっしょにそだてようね!」

 

「ひゃ、ひゃあうあアア!?!? わた、私のような雑草の名前を、こんな天使のような子が呼んでくださるなんて……!?」

 

一瞬で便利屋68のメンバーを骨抜きにしていく幼女。

アルはまだ頭を抱えて「ママ……私がママ……? 悪くない響きだけど、じゃなくて!」とブツブツ呟いている。

 

「ねえ、ママ? わたし、ママと一緒にいたいな~」

 

きらきらした瞳で、じっとアルを見つめる幼女。

その純粋無垢な視線に向けられたアルは、ゴクリと唾を飲み込んだ。

 

(な、何よこれ……。明らかにただの子供じゃないわ。この子の後ろにあるヘイロー……微かに感じるこの力、ゲヘナのどの勢力とも違う。もしこの子をここに置いていったら、悪い大人たちに利用されちゃうんじゃ……)

 

そこまで考えた時、アルの脳裏に「理想のアウトロー」の姿が浮かんだ。

――非情にして冷酷。しかし、己のルール(家族)のためなら、世界を敵に回しても絶対に怯まない、ハードボイルドなボス。

 

アルはバッとコートを翻し、ふんぞり返って不敵な笑みを浮かべた。

 

「ふ、ふん……! いいわ、これも何かの縁よ。行き場のない迷子を拾って育てるのも、アウトローの嗜み(?)ってやつかしらね!」

「アルちゃん、顔がデレデレだよ?」

「うるさいわねムツキ! ……コホン。それで、あなたの名前は?」

「なまえ~? ん~とね、まだないの!」

 

一瞬あっけにとられるアル。しかし直ぐに再起動すると少女に対しこう言った。

 

「いいこと、あなたの名前は今日から『陸八魔アイ』よ! 私の、そして便利屋68の……大事な『家族』なんだから!」

 

「わーい! わたし、アイ! えへへ~ママ大好き!」

 

アイは嬉しそうに飛び跳ね、アルの胸に飛び込んだ。

「うわっとっと……」と受け止めるアルの顔は、すでに完璧に「優しいママ」のそれになっていた。

 

こうして、便利屋68に、純粋無垢で愛らしい小さな家族が加わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――神秘の高まりが観測されたので来てみれば・・・これは面白い事になりそうですねぇ、クックック…」




作者はストーリーエアプ先生なので今後の展開は未定です
未だにあまねく奇跡の始発点にたどり着いて無い・・・
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