【CERO-Z】P-LUG-MATTER (ぷ らぐ またぁ) 〈ふと気が付いたら、月で出会った少女とその運命を背負い続けることになっちゃった件〉 作:をよよ
「背負い続ける。君と、君との運命を」
それって 「PRAGMATA」じゃなくて、「P-LUG-MATTER」じゃね?
と着想を得て書き始めた二次創作です。
【各種ご注意】
※PRAGMATAロスの方向け
※オリキャラ。完全シリアスです
※CERO-Z相当:極端な暴力・人体損壊・子供トラウマ描写あり
※PRAGMATA本編(デフォルトエンド)を前提とした二次創作
※独自設定・独自解釈多数
※ホラー・SFサスペンス・ボディホラー要素あり
――近未来。
人類のあくなき渇きを癒すため、月面という銀の荒野に、ひとつの巨大な約束が交わされた。
それは資源獲得のための計画ではなく、文明そのものの延命装置として設計された構想だった。
月面基地計画『PURE』。
太陽の光を束ね、重水素を紡ぎ、星の火を人の手で飼い慣らす。
それは、地球圏における究極の再生可能エネルギー生産プラントであり、同時に人類が初めて“恒星の力を制御する”という禁忌すれすれの挑戦でもあった。
一民間大企業・ディロス社の主導により進められたその野心的な試みは、軌道エレベーターの第零次テストを成功させ、地球と月を結ぶ物流網の実用化すら目前に捉えていた。
誰もがその完成を疑わず、そして誰もが、それが歴史の転換点になると信じていた。
だが、天は傲慢なる約束に、沈黙をもって応える。
地球圏を襲った未曾有の太陽嵐。
それは単なる磁気嵐ではなく、通信網、観測衛星、そして月面とのリンクラインすら一瞬で焼き切るほどの異常なフレアだった。
その通過と同時に、月面基地『CRIB』との通信は完全に途絶した。
静寂に包まれた月面。
そこにあるはずの生存者の声も、異常を知らせるアラームも、地球には一切届かない。
ただ、冷たい無音だけが宇宙に漂い続けた。
数日が過ぎ、人々が最悪の結末を予感し始めたその時、ディロス社の管制室は、不気味なシグナルを捉える。
月面から発信され続ける、超長波(VLF)のハートビート信号。
システム上は「正常」を示し続けるその微弱な鼓動の奥底に、デバッグ領域へと隠蔽された、一つの不可解な断片が紛れ込んでいた。
{
"Source-type": "LunarBASE-CRIB",
"Operational": "normal",
"System_status": "OPERATIONAL",
……
"verbose": {
……
"dummy": "... --- ...",
……
"debug_code": "0x00A3_SOS_LAT19.5_LONG24.3_SOS"
}
……
}
救難信号としてはあまりにも単純で、しかしあまりにも異質な「SOS」。
それは人間が意図して発したものなのか、それとも機械が“救い”という概念を模倣した結果なのか、誰にも判断できなかった。
そして、そのコードと共に刻まれていたのは、月面基地のある特定の座標であった。
そこは『CRIB』の中枢区画に近く、通常のアクセス権限では立ち入ることすら想定されていない領域だった。
生存者はいるのか。
それとも、狂った機械が残した虚妄の血の跡に過ぎないのか。
真実を確かめるべく、ディロス社は即座に先遣隊の派遣を決定する。
月面環境への適応、未知の事故対応、そして最悪の事態における戦闘行動までを想定した、極秘の調査任務である。
調査船『ミューレス』に乗り込むのは、ベテラン隊長のアーサー。
現場判断に長け、数多の事故現場を生き延びてきた実務の象徴。
それに続くのは、新人のジャック。月面任務は初めてだが、過剰な理想と不安定な正義感を抱えた若きクルー。
中堅システムエンジニアのイアンは、この任務のシステム解析を支える役割を担う。
そして――軍人然とした凄腕のプロフェッショナル、ポラードがいた。
彼の素性は公式記録上ほとんど空白であり、ただ「例外事案対応要員」とだけ記されている。
その存在は、任務の成功確率を上げるためというよりも、“想定外が起きた時の保険”として配置されたものだった。
かくして、人類は再び月へ向かう。
静寂に沈んだ銀の荒野、その中心で待ち受けるものが、救いなのか、それとも別の何かであるのかも知らぬままに。
――今、夜の月面に調査船が降り立つ。