透き通る世界に響く雷鳴外伝:便利屋68の副社長は雷神の成り代わり 作:おやおや、おやおやおやおや
評価に色が付いたよ。やったね!
入学式当日。雲ひとつない晴れた空から降り注ぐ日光がほんのり暑く感じてきた頃、ゲヘナ学園の制服に袖を通して校門へと足を運んでいた
結局、あれから特訓を続けたが極ノ番や領域は会得出来なかった。領域はまだ結界術を学んでいないから、というのもあるが、帳でさえも下ろせなかったのは意外だ
結界術の才能が無いのかどうか分からないが、少なくとも誰かから学びでもしないかぎり領域は習得できないだろうと結論付けた
反転の出力もまあまあ、呪力の操作精度も問題なし。だいたいの生徒なら相手に出来るぐらいには強くなっていると思いたい所
……いや、それよりも問題なのは、高校で友達を作れるかどうか
このキヴォトスはどうやら、女性生徒しかいない。それ以外なら獣人やオートマタ等で、人の姿をした男性は俺以外に見当たらない
異性ばかりの所で、そもそも異性に対してまともに話せるかどうか分からない。異性と関わりがなかった前世を恨みたい
歩き続けて数十分、ゲヘナ学園の制服を着た生徒が多くなってきていた
周りを見てみれば、二人や三人、またはそれ以上の大人数で楽しそうに話をしながら登校している生徒が多数。腰や背中に携えている銃さえ無ければ、ただの青春のワンシーンと言えるだろう
そうしてゲヘナ学園の校舎であろう建物が遠目に見えてきた距離へとついに来た
ドーム程はあろうかと思う運動場らしきもの、無駄に広くて迷いそうな広場、奥にそびえ立つ八角形の縦に長い建物。学園にあるとは思えない建物がずらりと並んでいた
「……さて、二度目の高校生活と洒落込むか」
緊張と期待を胸に、近くにいた案内係であろう先輩に連れられ、その縺セま雜ウ繧?進繧√※縺?▲縺?謌代?縺ッ繧イ繝倥リ繧貞♂螟ァ縺ォ縲√く繝エ繧ゥ繝医せ繧偵ご繝倥リ縺ョ謾ッ驟堺ク九∈縺ィ
……
うるせぇよ、クソアマ
テメェの理念には飽きた
ここは俺の体だ、俺が何をしようと俺の自由
さっさと出てけ。テメェが
まずは俺を殺してみろよ
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次に目が覚めたのは、見知らぬ部屋のベッドの上だった
「……は?」
白い天井、そして漂う薬品の匂いからして、ここは保健室のように思える
学園に足を運んだ際に持っていたはずの赤い如意はいつの間にか握っていない。さらにどこか底知れない違和感を感じた
喩えるならまるで記憶の一部が消されたような、そんな違和感。どうやってここに来たのか、何故ここにいるのか、何も思い出せない
「あ、起きたんだ」
上体を上げ、ここから出ようと思った矢先にすぐ近くからそう声がかかる
隣を見てみれば、地面まで届くほど長い白髪を持った少女が、傍から見ても疲労困憊と分かるほどの様子で椅子に座っていた
「……えーっと、誰?それと、ここは?」
「……私は空崎ヒナ、風紀委員会の情報部所属。それで、ここはゲヘナ学園第一校舎の保健室よ」
「分かった、えっと……空崎?なんで俺はここにいるんだ?なんか、記憶が曖昧というか……」
「……どうやら成功してたみたいね」
「な、なんて?」
「いいえ、気にしなくていいわ」
「そ、そうか……えっと、それじゃあ聞くけど、なんで俺はここに寝てたんだ?記憶が正しければ、入学式に向かう途中だったはずなんだが……」
「端的に言えば、貴方は倒れたのよ。今まで眠ってたけど、今日目を覚ましたの」
「倒れた……?ま、マジ?てか、その言い方だと今って……」
「今は11月よ」
保健室の中を見渡せば、壁にカレンダーがかけられてあることに気づく。それが記していた日付は『11月』であった
「……マジかぁ……いやぁ、え、マジィ……?それじゃあ俺、高校生活の貴重な一年の大半を眠って過ごしたって訳?」
「……残念だけど、そうなるわね」
「ひぃん……悲しい……」
掛け布団を捲って、そのままベッドの縁に腰掛けるように移動する途中、空崎に問いかける
「……あ、そういや俺の如意とスマホは?起きた時に無かったけど、近くに置いてるとかか?」
「それなら風紀委員会が預かってるわよ。返して欲しいなら、色々な手続きとかがあって少し時間はかかると思うわ」
「そうなのか。それじゃあ取りに行きたいから、風紀委員会まで案内を──」
「ダメ」
案内を頼もうと口を開いた時、それを遮るように空崎が声色を変えてそう返事をした
空崎は何故か少し焦ったような表情を浮かべると、そのまま2回ほど咳をして気にさせないような動作をした
「……その、風紀委員会は今は忙しくて皆疲労してるの。そんな様子を見せたくないし、安静にしてて欲しいから」
「そ、そうか……分かった、なら、ここで待っとく」
「ありがとう。それじゃあ、なるべく早く戻ってくるから」
そう言うと空崎は椅子から降り、小走りで保健室から出ていった
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「失礼するわ」
「はーい」
律儀に3回ノックされた後に聞こえた空崎の声に返事をすれば扉が開き、空崎が部屋へと戻ってきた
「この赤い物と、白いスマホケースの物であってるわよね?」
「おう、ありがとうな」
空崎から如意を受け取り、その感触を確かめてから壁に立てかけ、スマホを開く
保健室のカレンダーを11月に変えただけ、と思っていたが、スマホでもしっかりと11月と表示されておりこれが本当なのだと少し絶望した
と、そんな時、ひとつのアプリに妙に通知が集中していることに気づく
ピンクの背景に、薄ピンクの桃のマークが施された『モモトーク』。そんなに交換した覚えは無いが、上限の99件を超えるほど溜まっていた
「(なんでこんなに溜まってんだ……?公式のアカウントぐらいしか……あっ)」
思い出した、というより気づいた
今の今まで眠っていたということは、俺と交流のあった者とも一度も顔を合わせてないことになる。そして、入学前に出会った者は──
「(陸八魔と浅黄……!!)」
案の定、モモトークを開いて上に出されていたのは陸八魔と浅黄のアイコン。開いて見れば数ヶ月前から『大丈夫ですか?』、や『連絡してよ〜』等の心配のメールが送られてきていた
8月下旬で止まっていたが、それまでは俺が眠っていることを知らずにずっと送り続けていたことになる
「(……やっべぇ……これは今から会って謝罪祭りするしかないわ)」
すぐさま二人に『今から会える?』と連絡を送り、返事も来て問題ない事を確認するととある住所を送ってからそのまま如意を握る
「すまん空崎!今から外出る!」
「え?あ、ちょっ……」
後ろから止める声が聞こえたが振り切るように走り出し、勢いよく扉を開けてから飛び出して行った
「……あの人、道分かるのかな」
普通に迷った
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何とか校舎から抜け出して十分。ゲヘナ学園の駅からすぐ近くの公園へと急いで走っていた
走りながら遠くから術式を使って中を見ていると、ひとつのベンチに座っている2人の姿。見覚えのある赤い髪と白い髪の少女二人
「誠に申し訳ございませんでしたぁあああ!!」
「!?」
「うっわ〜、見事なスライディング土下座。痛くないの?」
勢いを付けたまま土下座の体制へと移行し、額を地面に擦り付けるようにしながら速度を緩め、ベンチの目の前で停止した
足の隙間から見えるが、公園の地面に赤い線が一直線に引かれていた。痛い
「は、ハジメさん……」
「此度は私が眠っている事を知らせず、そちら方に多大なご迷惑をおかけして申し訳ございません。つきましては、私の指でお許し頂けますと──」
土下座から顔を上げ、精一杯の誠意を見せようとした矢先、体に来た衝撃によって言葉が止まる
その正体はベンチに座っていたはずの陸八魔。飛びつくように俺にしがみつき、鼻をすすりながら涙声で言ってきた
「よ、良かったぁ……わた、わたしっ……ハジメさんに、嫌われたと思って……っ。よかったぁ……」
「うっひゃあ、アルちゃん大胆〜!ハジメさん、こーんなにアルちゃんを泣かせたんだから、もう責任取っちゃうしかないでしょ?」
「……っ!な、泣いてなんかないわよ!と、というか責任って……!」
「その声で言われてもねぇ?クフフ〜」
「……あー、えっと……?その、悪かったな、陸八魔……?」
いきなり抱きつかれ、泣かれ、どうすればいいか分からない状況で、とりあえず陸八魔に謝る
ここまで心配されていたのか、そんなに思ってくれていたのかと考えると、温かさを感じると同時に慣れないような感覚が来る
固まっている間にも、ムツキがちょっかいをかけるかのようにニコニコと声を出す
「ねぇねぇハジメさん。ゲヘナ学園に学校の授業の一環で行った時にそこでハジメさんさ、アルちゃんに色々と言ったらしいじゃん?そこからアルちゃん、眠れなくなっちゃうぐらいにショック受けちゃっててさ」
「どういうつもりなの?」
「む、ムツキ……!そ、それは言わないって……!」
「……?俺に会った?それって、いつ……?」
「……え?」
「え?いや、とぼけてるの?いつって言われてもさ、あったじゃん、ゲヘナ学園の見学会」
「え、いや、俺ってずっと眠ってたはずだろ……?陸八魔に何か言った覚えもないし……」
「ね、眠ってた……?」
「……あれぇ?」
「……?」
「「……?」」
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「……えーっと、なんだ。つまり、俺は嘘つかれてたってことか?」
「そういう事だろうね〜、まーたハジメさん騙されちゃってるじゃん♪クフフ〜」
「笑い事じゃないわよ!でも、その空崎さんって人が、どうして嘘をついたのか気になるわね……」
「なにか思い出したらダメな事とかあるんじゃないの〜?例えば、ハジメさんのはっずかしい黒歴史とかっ♪」
「もしそれが本当だったら一生忘れていたいよ」
ベンチに腰かけ*1橙色に染まってきた空を見上げながら話を続ける
陸八魔から聞く限りだと、記憶が無い頃の俺は別人のように変わっていたらしい
強い口調を使い、常に殺気立ち、まるで人を人として見ていないような、そんな目をしていたという
まるで洗脳されて、無理やり人格を変えられたような、そんな感じだろう
「あー、考えてもなーんも分かんねぇな」
「だねぇ」
「その空崎さんに話を聞くってのが一番だと思うけれど、ハジメさんに隠すくらいだから簡単に話してもらえ無さそうなのよね」
「……めんどくせぇからこの話終わりにしねぇか?考えても分かんねぇ事は考えても意味ねぇし」
「そうだね〜、ムツキちゃんも考えるの疲れちゃったよ。こんな時は、甘いものが欲しいな〜チラッチラッ」
「……なんだその目は。そんな目しても奢らねぇからな」
「ぶー、ハジメさんのケチ」
「あのねムツキ?流石にハジメさんに奢らせてばっかりってのは……たまには私達も、ハジメさんに何かしないと……」
「あーいや、俺は別にそういうのは気にしねぇから大丈夫だぞ」
「えっ、気にしないの?気にしないのなら、私たちに甘いもの奢って欲しいな〜」
「……はぁー、しょうがねぇなぁ」
「やったぁ!ハジメさん大好きっ!」
「こーら、そうやって異性に対して簡単に大好きとか言っちゃいけません」
ベンチから立ち上がりながら言い、近くのカフェへと向かおうとしたが、ボーッとしているのか何故か陸八魔が立ち上がらない
「ほーらっ!アルちゃんも行くよ♪」
「なにボーッとしてんだ?早く行くぞ」
「え?あ、は、はい!」
その後、浅黄と後から遅れて後ろを着いてきた陸八魔と共にカフェで甘いものを堪能した
それと、何故か懐がめちゃくちゃ潤っていたので対した損害は無かった
──おまけ──
???「どうだった?ヒナちゃん」
ヒナ「……しっかり忘れてたわ。けど、少し忘れさせる範囲が広いと思うわ。彼、入学式当日の記憶すらなかった様子だったのよ」
サツキ「んー……雷帝に関する記憶失うようにやったつもりだったのだけれど……初めてだから、その辺は上手く調節していきたいわね」
ヒナ「……『NKウルトラ計画』、雷帝が研究してたものと同じ名前にするなんてね」
サツキ「マコトちゃんが、名前を被せて存在ごと上書きしちゃおうって話をしてね」
ヒナ「それはいい案ね……ここまで上手くいけてるけど、1つ懸念点があるとするなら」
サツキ「……何らかの拍子に、彼が雷帝に関する記憶を思い出すこと」
ヒナ「今まで雷帝の下についていた彼が、急に従わなくなったから、雷帝を失脚できた。もし、その消された記憶を思い出して、私たちの敵になるようだったら……」
サツキ「……考えたくないわね、それだけは」
ヒナ「そこに居るだけで反雷帝派の抑止力になってたもの、もし正面からやり合うなら大怪我じゃすまないと思うわ」
ヒナ「正直、風紀委員会と万魔殿で協力して監視するのが一番なのだけれど……」
サツキ「何が引き金で思い出すか分からないから、私は一旦放置が今はいいと思うのよね」
ヒナ「……まあ、そうするしかないわね」
サツキ「……さ、そろそろ戻りましょう。まだ雷帝関連の資料が残ってるから、その処理の続きをしなきゃならないもの」
ヒナ「分かったわ」
はい(はいじゃないが)
という訳で今回の作品は、本編であった一年生編はほとんどスキップです。まあ二章が来なかったらこの話はめちゃくちゃ変わってましたけど、ブルアカ様々やね