ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜   作:クズ吉

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プロローグ
第1話 1度目の人生


 2046年 神奈川県川崎市

 

 ピッ、ピッ、ピーッ!

 

 テレビの中で日本代表の選手達が崩れ落ちた。

 

 「くっそ、悔しいなぁ」

 

 今年で48歳になる俺は自宅で1人、テレビでW杯の試合を見ていた。

 

 「ゴホッゴホッぅ…ハァ…ハァ」

 

 俺ももう死ぬのか。医者に肺がんの末期で回復の余地はないと言われた。

 

 幼少の頃からずっとサッカーをやってきて健康体だったはずなのにな。 

 

「まぁなってしまったものは仕方がないか」

 

 最近は死期が近づき、今までの人生を思い返すことが多い。

 

 それは後悔の多い人生だった。

 

 小学生の時から自分がブサイクであることには気がついていた。

 

 同じサッカーをしていても俺より下手なクラスメイトのイケメンはモテるのに俺はモテなかったからだ。

 

 俺は地元のサッカークラブチーム、川崎バストーレの下部組織のチームに入っていたにも関わらず、一目置かれることなく女子に避けられるばかり。

 

 その後も川崎バストーレでトップチームへと順調に昇格してN1リーグでプロサッカー選手になった俺だったが、いくら女の子に告白しても受け入れてもらえない。

 

 「よくあの顔で告白したよね(笑)」と陰口が聞こえてくることもあった。

 

 まぁ今になって振り返ると俺が告白していた女の子は、みんな最高レベルに顔が整っていた。

 

 だから超絶ブサイクで不釣り合いな俺が告白したら、告白成功率は低くて当たり前だったのだろう。

 

 だが俺はその当たり前が恐ろしく理不尽に思えた。

 

 なぜイケメンはイケメンというだけで好感度が上がりやすく、俺はブサイクというだけで好感度が上がりにくいのか。

 

 思春期を越えても俺はこの問題に随分悩まされた。

 

 ただ救いだったのは年齢が上がるにつれ顔だけで評価する人の割合が減ったことだろうか。

 

 頭も良くないし低身長だし超絶ブサイクな俺の男としての唯一の武器はサッカーが上手いことだった。

 

 体感で俺のマイナス要素とプラス要素がようやく半々になったのが高卒プロサッカー選手になった時くらいだ。

 

 そして28歳のときにN1リーグMVPと得点王を取ってからはプラス要素が勝り、間違いなくモテ期だったといえる。

 

 ただしモテ期といっても近寄ってくるのは中くらいかブスの女ばかりではあった。

 

 俺は付き合うなら美女にしか興味がない男だ。

 

 どうしてわざわざブスとキスなどして気持ちよくなれるものか。

 

 そんな俺に天罰が下ったのだろうか。

 

 N1リーグのMVPと得点王になった俺は、ある超人気モデルの美女に恋をした。

 

 彼女は俺の試合を何度も観戦に来ていて、メディアの前でもファンだと言って俺を褒めてくれていた。

 

 これならいける。今度こそいける!

 

 MVPの俺なら、彼女に相応しいはずだ。

 

 連絡先を交換し、食事に行くところまでは良かった。

 

 「俺と付き合わない?」

 

 そう言った俺に返ってきた言葉は…

 

 「あの、すみません。あなたとそういう関係になるのは想像もつきません」

 

 結局駄目だった。

 

 その後彼女がプライベートでブサイクの俺に告白されたことを茶化していたのがSNSに流出して、大炎上していたのはいい気味だった。

 

 でも「ブサイクだからしょうがない」とか、「事実を言ったまで」とか俺を馬鹿にする風潮もあって、俺は悲しくて心を痛めた。

 

 不貞腐れた俺はそれを機にこの人生で女性と結ばれる事を諦めたのだった。

 

 人生で諦めたことといえばサッカーにおいてもある。

 

 海外リーグへの挑戦をすることだ。

 

 俺が28歳でN1リーグMVPと得点王を取ったあと、ベルギーのチームからオファーがあった。

 

 だが俺はそのオファーを断った。

 

 理由はその国のリーグのレベルが低いこと…

 

 じゃない。その時代ベルギーのリーグからステップアップして欧州5大リーグに移籍する選手は数少ないがいたのだ。

 

 年齢も海外移籍するなら遅いくらいでそのオファーが最後のチャンスだとなんとなくわかっていた。

 

 しかし俺には勇気がなかった。当時のチームメイトやサポーターに認められている環境から抜け出して、新たな環境に移る事が怖かったのだ。

 

 このサッカー人生に一応の満足はしている。

 

 しかしもしあの時海外に移籍していればステップアップして欧州5大リーグにも挑戦できていたかもしれない。

 

 そして海外リーグの選手ばかり選出していたあの頃の日本代表にも選ばれていたかもしれない。

 

 そんなもしもを考えると、人によく羨ましがられるこのサッカー選手人生もまだ出来ることがあったのではないかと後悔の念が湧いてくるのだ。

 

 

 

 

 「くそっ、来世は超絶イケメン高身長の海外サッカー選手になって、日本代表にもなって、世界一の男になって女どもを見返してやる!」

 

 

 

 

 女性と結ばれなかった事、サッカーでやりきれなかったこと、その2つの後悔を胸に男はこの世を去る。

 

 その後悔を晴らす機会が本当にもう一度訪れることを知らずに。

 

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