ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜   作:クズ吉

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第31話 U-17W杯part3

 ハーフタイム

 

 「相手に合わせて無理に繋ぐサッカーをする必要はない!シンプルにクリアするところはクリアする!ボールを持ったら前を見てロングカウンターを狙っていこう!曖昧なプレーが一番だめだぞ!」

 

 監督が全体の方針を告げた後、コーチ陣から個別の選手に細かな指示が飛び交う。

 

 メキシコに圧倒された前半だったが、ロッカールームに諦めムードはない。

 

 俺のカウンターゴールで希望が見えたのだろうか、闘う意志が皆には宿っている。

 

 この調子で後半にいこう。

 

 後半開始から右WGの交代で戸田雄大選手が投入されるみたいだ。

 

 

 後半

 

 KICK OFF!

 

 日本ボールで始まった。

 

 味方GKにボールを預け陣形を広げたら俺の所までロングフィードを飛ばす。

 

 今回も相手DFとの競り合いに勝った俺は味方ボランチにボールを預け、最前線にポジションを張る。

 

 ボールを受けた味方ボランチは相手FWのチェックを受けるが、それをフェイントで躱す!

 

 味方ボランチは左斜め前方にドリブルで進むと、左に少し流れた俺にパスを出す。

 

 俺はボールを受けるとすぐさま正面を向いて、味方左WGが裏抜けしようとしているのを確認、左斜め前にスルーパスを送る!

 

 抜け出した味方左WGはペナルティエリア内ではあるものの、ゴールから若干遠い位置で右足のシュートを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

 内巻きに回転のかかったシュートはゴール右隅に飛んでいく!

 

 

 

 バシッ!

 

 

 

 しかしそのボールは相手GKが横っ飛びをしてシュートを受けた方向と反対方向へ弾き返す!

 

 弾かれたボールはゴールラインを割るギリギリのところで右WGの戸田選手が回収した。

 

 戸田はすぐさま左に切り返し左足で中央にクロスを送る!

 

 高すぎると思われたそのクロスボールは…

 

 

 

 俺の身長とジャンプ力なら届く!!

 

 

 ボンッ!

 

 

 俺が放ったヘディングシュートは…

 

 

 

 パサッ…

 

 

 

 ゴール右下に吸い込まれていった。

 

 

 

 GOAL!

 

 

 

 日本2-1メキシコ

 

 

 後半開始早々のゴール。メキシコの選手たちは呆然としている。

 

 

 「うおー!雄大君!やったぞー!」

 

 俺はすぐさまアシストをしてくれた戸田選手の方に走る。

 

 そして叫ぶ!

 

 ガシッ!

 

 男同士の熱い抱擁をする。

 

 「お前専用のクロス送ってやったぞ大雅」

 

 「俺でも届くか不安になる高さだったよ」

 

 そう言って戸田選手と笑い合っているとチームメイトが続々と集まってくる。

 

 「ナイスー!このまま3点目もいこう!」

 

 「なぁ俺のフェイント見た?実質俺のゴールといっても良いと思うんだけど」

 

 ボランチの選手がおちゃらけて言う。

 

 「確かにフェイントは凄かったけどパスはちょっと雑だったよ?」

 

 「うそーん」

 

 俺達は和やかに自陣へと戻る。

 

 試合再開だ。

 

 

 ・・・・・

 

 後半40分頃

 

 ここまで日本が1点リードを守っている。メキシコもボール保持率はかなり高いのだが、決定的なシュートを決めきれない場面が続いた。

 

 このまま試合が終わるのか…

 

 

 いや終わらない。

 

 メキシコはハーフウェイライン付近のスローインの場面、ボールを受け取った相手CBが相手CFまで高いロングボールを入れた。

 

 相手CFは味方DFとの競り合いに勝ち、右サイド前方にヘディングでボールを送る!

 

 相手右WGと味方左SBのスピード勝負は相手右WGが勝る!

 

 抜け出した相手右WGはドリブルで前進するとクロスボールを上げる…

 

 と見せかけて切り返した!

 

 完全にスピードに乗っていた味方左SBはフェイントにひっかかりブロック体勢で滑ってしまった。

 

 残るは味方GKとの1対1、相手右WGは左足でカットインからのシュートを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

 ボールの軌道は低くゴール左隅に向かっている!

 

 

 そこに後方から来た味方CBが体を投げ出してシュートブロックに入った!

 

 

 ドッ!

 

 

 味方CBの足に当たったボールは…

 

 

 

 

 パサッ!…

 

 

 

 日本のゴールへと勢いよく入ったのだった。

 

 

 GOAL!

 

 

 

 日本2-2メキシコ

 

 

 オウンゴールで追いつかれてしまった。

 

 ただDF陣はよく走った。

 

 90分近くほぼボールを支配されヘトヘトな中、最後ボールに追いついただけでも凄いことだ。

 

 「まだ同点だよ!顔上げて!90分で決着つけよう!」

 

 俺は項垂れているチームメイトを鼓舞する。

 

 このU-17W杯決勝トーナメントは90分間戦って同点の場合は即PK戦というルールだ。

 

 今はもう残り時間がかなり少なくなっている。

 

 PK戦はメンタルゲーだ。

 

 俺は前世の経験があるので、PKの練習は沢山してきたし、PKに多少の自信もある。

 

 それでも確実にPKを入れられる自信はない。

 

 相手GKのプレッシャーに負けて甘いコースにシュートを放つかもしれない。

 

 または日本代表というプレッシャーに負けてゴールの枠すら捉えられないかもしれない。

 

 前世の経験の上積みがある俺でさえそんな不安があるんだ。まだ若いチームメイトは国のためにPKを蹴る重圧に耐えられるだろうか。

 

 そしてそのPKを外した時…

 

 俺はチームメイトを信頼してない訳では無いが、彼等がPKを失敗した後の将来に不安がある。

 

 自分のせいで負けたと一生後悔はしないだろうか。

 

 後悔ばかりして一度人生を終えた者としてそんなことばかり考えてしまう。

 

 だからこそ90分の間に勝負を決めたい。

 

 この重圧の中でPK戦を経験することも成長には繋がるだろうが、負けるリスクを少なくして大会を優勝した方がよっぽど自信になる。

 

 

 

 ピッ…ピッ…ピー!

 

 

 そんな俺の考えは虚しく散ることとなった。

 

 

 2-2の同点で90分間が終わりPK戦へと移行するのだ。

 

 仕方なくベンチに戻り給水をしながら監督陣と円になってPK戦の順番を決めていく。

 

 もちろん俺は一番だ。

 

 監督からは年齢を考慮されたのか「大雅いけるか?」と心配そうに聞かれたが、もちろん「いけます!」と答えた。

 

 俺、実はこのメンバーの中で最年長なんです。当然やらせて頂きます。

 

 

 ・・・・・

 

 

 日本はコイントスで負けて後攻でPKを蹴ることになった。

 

 先攻メキシコ一人目のキッカーはPKを成功させた。次は俺の番だ。

 

 ここで俺が外せば流れはメキシコに持っていかれるだろう。

 

 味方GKからボールと応援の言葉を受け取り、ペナルティーマークにボールをセットする。

 

 顔を上げ相手GKの方を見ると体を大きく広げどっしり構えていた。

 

 顔も余裕そうでなんかムカつくな。

 

 よし・・・

 

 

 ピーッ!

 

 

 主審の笛が鳴る。

 

 

 俺は助走を取り・・・

 

 

 ゴール右上に強烈なシュートを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バシッ!

 

 

 

 

 

 嘘・・・だろ?

 

 

 

 メキシコのGKは驚異的な跳躍を見せ、俺の放ったシュートをゴールの外に弾いてしまった。 

 

 

 そんな・・・あのシュートコースは防げないだろ・・・

 

 四つん這いになって項垂れる俺。

 

 

 その後の事はあまり覚えてない。俺は1人目のPKキッカーの役目を果たせず、ずっと泣いてたからだ。

 

 ただ俺の後のメキシコの2,3番目のキッカーがしっかり決めて、日本のキッカーが一人も決められなかったのはしっかり泣きながら見ていた。

 

 PKの結果は3-0でU-17メキシコ代表の勝利となり、メキシコが決勝、日本が3位決定戦へ進むこととなる。

 

 その日はPKを蹴った3人を慰めるためか、メキシコのGKを称賛する話ばかりしていたU-17日本代表だった。

 

 

 

 

 中2日で挑んだ3位決定戦はスウェーデンとの戦いだったが、日本が俺の得点で前半に先制するも後半に3点返される完敗の試合だった。

 

 U-17W杯全体を通して日本代表の最終順位は4位、俺は9得点で得点王となった。

 

 もちろんベスト4という順位はよくやったと思えるし、得点王も嬉しいが、何より優勝したかったという悔しい気持ちが強い。

 

 俺がメキシコ戦のPKを成功させていれば、流れに乗れただろうか。

 

 PK戦に入る前はチームメイトの事を心配していたのに俺が後悔する羽目になるとは。

  

 仕方ないとは簡単には割り切れない。俺たちは日本代表として戦っているのだから。

 

 それでもこの借りはこれからの人生で返していくしかないだろう。目指すはA代表でのW杯優勝!

 

 それを達成すればきっとこの日のことを笑える時が来るだろう。

 

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