ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
ザワザワ…ザワザワ…
スタジアム内がざわついている。
ついにその時はやってきた。
日本が1-0でリードしている後半15分ごろ、コートジボワールがドンルダを投入したのだ。
そこからは前世の再現を見ているかのようだった。
コートジボワールはFW陣4人が中央に位置取り、WBが高い位置を取ることで日本のDFラインを押し下げる。
そして日本が中央へのパスを警戒するためブロックを作った所に、フリーになった相手右WBにボールが渡りクロスから失点。
というのが10分間に2度続いた。つまり後半25分時点で日本1-2コートジボワールとなっている。
ドンルダが途中出場してからあっという間の2失点、ゴールはしてないものの彼の影響力は今世でも健在だ。
この状況は俺にとって2度目の絶望。
だが、今回俺にはそれを晴らすチャンスがある。
後半25分CF18番及川選手に代わって俺、20番クラウチ大雅が入る。
オー!ニーッポーン!
日本サポーターの声援がまだ諦めるなと言っている。
そうだ諦めるにはまだ早い。
さぁ、俺達は日本サポーターを笑顔にすることができるだろうか。
いや、絶対に笑顔にしてみせる!
いくぞ!
俺の日本代表としてのサッカーW杯初陣だ!
俺はピッチに駆け出した。
・・・・・
日本ボールのゴールキック。GK神山が狙うのは勿論俺だ。
ボンッ!
俺は相手DFと競り合いながらボールをトップ下の星野に落とす事に成功する。
星野は左SHの金田にパス、金田はドリブルで中央に切り込むと俺とパス交換する。
そして金田は右SHの大杉にパス、大杉は少しドリブルした後に後ろにいる右SBの上野にパスした。
来る!
ボンッ!
上野のクロスが中央の俺目掛けて飛んできた。
ボンッ!
俺はそのクロスに頭を合わせる!ゴール右下にヘディングシュート!
パシッ!
相手GKが横っ飛びでボールをピッチの外に弾き出した。
日本ボールのコーナーキックだ。
「クソッ!」
「大雅!今の続けたらええから!」
星野選手が俺に励ましの言葉をかけてコーナーエリアに向かっていく。
まだ1本目のシュートを放っただけ。
それでもいつになく気分が高揚している。
俺はW杯の舞台で日本代表のあの選手達とプレー出来ている事に興奮していた。
前世の少年時代、テレビで見ていた大好きなサッカー日本代表。
ブラジルの地に散っていった姿は見ているだけでもとても悔しかった。
俺は今世でサッカー日本代表に選ばれてからずっと考えていた。
もう彼らの悔しがっている姿は見たくないと。
俺は世界一のサッカー選手になる男だ。
なら彼らと世界一になったっていいだろ!
ボンッ!
コーナーキックで星野選手が中央にボールを送る!
それに合わせるのは…
ボンッ!
もちろん俺だあぁ!
ゴール右上隅にヘディングシュート!
パサッ…
GOAL!
日本2-2コートジボワール
「うおおおお!」
俺はコーナーエリア付近にいる星野選手の下へ真っ先に向かう!
「大雅ー!」
ガシッ!
そして星野選手に抱きつく!後ろから他の選手達も続く!
「大雅!お前やったな!」
「やりました!まだまだやります!」
星野選手からのアシストでゴール。この先一生忘れることはないだろう。
「マジでナイス!」
「いいぞー!絶対勝つぞここから!」
CB米谷選手や左SB中園選手等の声が後ろから飛び交う。
ひとしきりゴールを喜んだ後、皆で自陣内に戻る。
もう1点!絶対に取るぞ!
・・・・・
後半40分頃
左SHの10番金田選手と13番
既にキャプテン17番羽賀田選手と7番
さあ、試合も終盤戦。もう1点奪わなければ引き分けでコートジボワールと勝ち点1の分け合いだ。
コートジボワールは日本に同点に追いつかれた後、若干攻め急いでる感じがある。
そのおかげで日本のボール保持率は少しずつ上がっている気がする。
ただ日本は俺が入ったことでロングボール戦術に作戦を移行している。
なので正確なパスでなければ相手にボールを回収されてしまうだろう。
ところで別に俺だってポゼッションサッカーが出来ないわけじゃない。
寧ろ足元の技術は高い方だと思う。ポストプレーだって得意だしな。
だけどザッパリーノ監督はどうも背が高くて足の速い俺を使う時には、ロングボールを多用したほうが効率的だと考えているようだ。
実際のところロングボールを放り込まれても俺は高確率でボールキープして味方にパスしたり、ドリブルで前進したり、シュートにもっていく事ができる。
だからザッパリーノ監督が間違ってるとは思わない。
でも俺だってザッパジャパンの一員として監督のポゼッションサッカーで勝利を目指してみたいという気持ちもあるのだ。
ザッパジャパンがポゼッションを止めたら、ザッパジャパンではなくなってしまうような気がしてならない。
前世のコートジボワール戦終盤のCB米谷選手を前線に上げてパワープレーをしだした時もそう思ったが。
今のところ親善試合を含めて4試合、俺は途中出場のロングボール戦術要員として投入されている。
だが出来れば俺をスタメンから使ってほしい。あわよくば『自分達のサッカー』が2014W杯で花開く瞬間を見てみたい。
そんな贅沢な事を考えてしまう俺は我がままだろうか。
・・・まあいずれにせよこれを考えるのは試合が終わってからだな。
今は自分に与えられた役割を全うしよう。
左SBの中園からロングボールが俺に向かって送られる。
俺は相手DFと競り合い、左SHの小野寺にパスする。
コートジボワールは素早くブロックを作って前にボールを運ばせない。
左SH小野寺はボランチの榎本にパス、榎本は横にいる左SB中園にパスする。
左SB中園はもう一度俺に向かってクロスを放つ!
ボンッ!
俺はそのクロスに頭を合わせヘディングシュートを打った!
ボンッ!
バシッ!
このシュートは相手GKにしっかりキャッチされる。
続いて相手GKは味方を全員高い位置に上げてから、ドンルダを目掛けてボールを飛ばす。
ドンルダとCB望岡の競り合いはドンルダの勝利。
ドンルダはMFにボールを落とす。
相手MFは右WBにボールを渡し、右WBはドンルダ目掛けてクロス!
どうやら同点での試合終盤ということもあり、ロングボール戦術のぶつかりあいになってきたようだ。
しかしこのボールはドンルダには合わず、GK神山がキャッチする。
GK神山はすぐさま俺目掛けてパントキック!低い弾道でハーフウェイラインの辺りまで飛ばす!
このボールは相手CBが頭でクリア!
しかしクリアした先にはボランチ榎本がいた!
それを見た俺は相手DFの間を縫って、前方に走り出す!
ボンッ!
7番榎本からの山なりのパス!それは俺専用の素早くも的確なループパスだった!
トンッ!
相手DFを置き去りにしてボールをトラップする。
少しドリブルで運んだら相手GKとの1対1だ!
後ろからDFに迫られながらも、左足でシュート!
ボンッ!
パサッ…
GOAL!
ゴール左隅に俺のシュートは突き刺さった。
日本3-2コートジボワール
「うおおおおお!」
俺は副審がオフサイドフラッグを上げていない事を確認してベンチに向かう!
「よっしゃあ!」
ザッパリーノ監督の下へ行こうとしたが、先にベンチメンバーに囲まれてしまった。
俺は皆から抱きしめられ、頭ポンポンを何度も受ける。
「最高のゴールだ!大雅!」
「よくやった大雅〜!ナイスゴール!」
そしてザッパリーノ監督とも抱きしめ合う!
「残りの時間はボールキープでいいからセーフティに頼むぞ!」
さらに通訳から監督の指示を聞く。
俺はそれを聞いて今出ているフィールドプレーヤーに伝言していく。
「残り時間はセーフティに。ロングボールじゃなくていつもの…自分達のサッカーでいきましょう!」
残り時間は少ない。だが、ようやく俺にもザッパジャパンのサッカーをする機会が訪れたようだ!
・・・・・
ピーッ!
試合再開の笛が鳴る。
コートジボワールはCBまでボールを戻して俺はプレスをかけにいく!
ボンッ!
相手CBは前線のドンルダまでボールを飛ばしていく。
こういう時に敵味方がゴチャゴチャして、敵にいつの間にか抜け出されるのが一番怖いが…
と思っていたらドンルダのヘディングパスからの相手FWの抜け出しだ!
左サイドの突破からの中央への低いクロス!
ボンッ!
中央には多くの相手選手が入ってきている!
ドンッ!
相手FWがクロスボールに合わせた!ボールはゴールに向かっている!
バシッ!
止めた!GK神山のブロックによるビッグセーブだ!
しかしコートジボワールボールのコーナーキックとなった。
試合はアディショナルタイムを残すのみ。
相手GKも最後のチャンスだとペナルティーエリアに上がってきた。
俺はドンルダをマークする。
ここで点を入れられたら勝ち点1の引き分けになってしまう。それだけは避けたい!
ワアアアア!
観客のボルテージも最高潮に達したようだ。
かなりの緊張感を密集したゴールエリアの中で感じる。
そしてその時がきた。
ボンッ!
コーナーエリアから中央へボールが供給される!
ボールの軌道は俺がいる地点、つまりドンルダのいる場所に向かっている!
やらせるかぁ!!
ドンッ!
俺はドンルダよりも高く飛んでボールをペナルティエリア外に弾き返す!
しかしそこにはコートジボワールの選手がダイレクトでシュートを放つ姿があった!
ボンッ!
ボンッ!
しかし人の密集したペナルティエリアを抜けることはできずに、シュートは誰かに当たった。
そのボールがこぼれた先には…
5番中園がいる!
「「蹴れー!!」」
日本代表のみんなが一斉に声を出す!
中園は相手ゴールに向かってボールを大きく蹴り出した!
ボンッ!
だがこれは…飛距離が足りない!
俺は思わず走り出した!相手GKとDFも数人走り出すのが横目に見える。
それでもっ!
俺がこのピッチで一番速い!
俺は中園選手の放ったボールに一番に追いつき、ドリブルした後ガラ空きのゴールへシュートする!
ボンッ!
パサッ…
GOAL!
日本4-2コートジボワール
ゴールを決めた後俺はコーナーエリア付近に走り出し膝スライディング!
ずざぁー!
そして全世界デビューの…
ガオー!
タイガーポーズだ!
これは流行る!
・・・・・
ピッ、ピッ、ピッー!
試合終了の笛が鳴る。
試合の結果は日本4-2コートジボワール
グループステージ第一戦をなんとか勝つことが出来た。
ところで3-2になった時にやろうとしていた、セーフティーな自分達のサッカーはどこへいった?
まぁ俺はハットトリック決められたから今回はヨシッ!次戦以降に期待だな。
そして何よりも2014W杯、日本代表の初勝利!
サポーターを含めた日本の皆が笑顔でコートジボワール戦を終えることができた。
これ程嬉しいことはないだろう。