ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
ハーフタイム
「おい大雅!なんでさっきパス出さなかった!?見えてなかったのか、わざと出さなかったのかどっちだ!」
日本1-0ギリシャで迎えたハーフタイムのロッカールームに戻る道中、俺は小野寺選手に問い詰められていた。
問題のシーンは前半終わり間際のカウンターの場面。
俺は最終的にペナルティエリア内のゴール斜め45度の位置からシュートを放ったが、相手GKに弾かれてコーナーキックとなった。
俺がシュートを放った時、小野寺選手はゴール正面のゴール確率のより高いポジションを取っていたと主張している。
確かにそれは見えていた。
だが相手DFが小野寺選手の後ろから迫っていたので、恐らく小野寺選手にパスしてもカットされてしまうと考えて、俺は自分でシュートを放ったのだ。
俺はそれを素直に小野寺選手に伝えた。すると…
「そうか。分かった。シュートも悪くない判断だったのかもな。後半も頼む」
ふぅ…なんとか事が収まったか。俺は小野寺選手と作戦会議をしながらロッカールームに戻る。
日本のエースストライカーになると決意したものの、俺は全てのシュートを決められるわけでもないし、全ての状況判断が正しいわけでもない。
チームメイトと共にああした方が良い、こうした方が良いと、改善していく。
それがサッカーの醍醐味の一つだと思う。
といってもW杯は結果を出す場所だ。
ワンプレーワンプレーを反省するのもいいが、残酷なまでに求められるのは得点と勝利という成果。
国を背負った真剣勝負、何が何でも負ける訳にはいかない。
・・・・・
ザッパリーノ監督とコーチ陣から指示をもらって後半開始の時間だ。
監督陣からの主な方針は、引き続き中央に楔のパスを入れてからサイドに展開し、1点目の形のようにサイドチェンジを多用してピッチを広く使っていこうというものだった。
「いくぞ!」
「「オウ!」」
羽賀田キャプテンの掛け声に合わせて皆で一つになる。
そして後半開始から17番羽賀田キャプテンと7番榎本選手が交代となるようだ。
日本VSギリシャ
後半
KICK OFF!
ギリシャボールで始まる。
前半の日本のボール支配率は60%程で優勢だったが、それなりにギリシャのカウンターを受けている。
怖いのはカウンターから派生するセットプレーだ。
ギリシャの平均身長は184cm程で、日本の平均身長はギリシャよりも5cm以上低く、俺がいる事で前世より少し高くなってるが、それでもW杯出場国で下から数えたほうが早い。
つまり空中戦に持ち込まれたら、日本はかなり不利だということだ。
・・・・・
後半5分頃
相手陣内左サイド低い位置の左SB中園から左SH大杉へパス。
しかし左SH大杉のトラップが大きくなり、相手DFにボールを奪取された。
相手DFはCBまでボールを戻して、そこから日本の右サイドに展開する。
そして相手左WGの縦へのドリブル突破から右SB上野のブロックで、ギリシャボールのコーナーキックとなった。
コーナーキックではもちろん高身長の相手DF陣もペナルティエリアに入ってくる。
ボンッ!
コーナーエリアから中央にボールが供給される!
ボンッ!
相手DFのヘディングシュートだ!
パサッ…
このボールはサイドネットを外側から揺らした。
ふぅ…怖いわ。さっさと追加点を奪わないとセットプレーでやられるぞこれは。
・・・・・
後半15分頃
ここまで日本が優勢のまま試合は進んでいるが、追加点が生まれない。
そこでザッパリーノ監督が動く。
右SH13番小野寺選手に代わって10番金田選手が入る。
金田選手が左SH、大杉選手が右SHのポジションを担う。
・・・・・
後半20分頃
日本の最終ラインのボール回しから左SB中園にボールが渡った時!
左SB中園は左SH金田にボールを渡してオーバーラップ!
左SH金田は中央に切り込むドリブルをしたあとにポストプレーをする俺とパス交換。
そしてペナルティエリアに侵入しようとする、敵味方が並んだ列の大外にポジションをとった右SH大杉に向かってクロス!
ボンッ!
しかしこれは相手DFにヘディングでクリアされる!
セカンドボールを拾ったのは…ボランチ榎本だ!
ボランチ榎本はポジションを取り直して左サイドに張っていた左SB中園に浮き球の速いパスを送る!
左SB中園は胸でボールをトラップしてすぐさま左サイドを縦に突破!
クロスを上げた!
ボンッ!
しかしこのクロスボールは大きすぎた!逆サイドのペナルティエリア外に流れる。
そこでボールを回収したのは…右SB上野!
仕切り直しのクロスボールを左サイドにいる俺目掛けて放つ!
ボンッ!
ボンッ!
俺はそのクロスボールに頭を合わせる!
だが、これはシュートじゃない!
ボールの向かう方向はマイナス!
金田選手への落としのパスだ!
金田選手は俺のヘディングパスを左足でダイレクトにシュートを放った!
ボンッ!
ゴール右隅に向かう低く抑えられたシュートは…
パサッ!…
勢いよくゴールネットを揺らした。
GOAL!
日本2-0ギリシャ
ワアアアア!
スタジアムが沸き立つ!
金田選手はゴールを決めた勢いそのままに、コーナーエリア付近でジャンピングガッツポーズ!
そしてチームの皆がゴールを祝福するため金田選手の下へ集まる!
俺ももちろん輪の中に加わり金田選手とハグをする!
「めっちゃキレイなシュートでしたね!金田さん!」
「大雅ナイスアシスト!なんとか決めれたけど、半分折り返しのパスのおかげかな」
「お前らどっちもナイスー!いやー俺のクロスひどかったね!結果的によかったけど!」
「中園さんちゃんと回収した俺に言う事あるでしょ」
俺と左SH金田選手が抱き合ってる所に左SB中園選手と右SB上野選手が会話に加わって和やかな雰囲気だ。
それにしてもギリシャ相手に2点差をつけたのはデカい!
後半の残り時間、ギリシャは捨て身の攻勢に出ざるを得ないだろう。
そこをカウンターで沈めれば完璧な試合運びだが、まだ油断はできないな。
ギリシャにはセットプレーという大きな武器があるのだから。
・・・・・
後半40分頃
日本陣内左サイドタッチライン際、ハーフコートのさらに半分の位置辺りで日本がファールをしてしまった。
試合終了まで残り数分というところでのギリシャボールのフリーキック。
俺の予想通りギリシャはここでゴール前に人数をかけて何としてもゴールを奪いに来るようだ。
残るのはキッカーとゴールキーパーを含めて4人か・・・チャンスがあったらやってやる!
ピーッ!…
ボンッ!
ペナルティエリア前に敵味方1列に並んだ集団にボールが供給される!
ボールの行く先は…ギリシャの選手だ!
ヘディングシュートを放つ!
ボンッ!
バシッ!
しっかり日本DFがギリシャの選手に寄せていたおかげでシュートの威力は弱く、GK神山選手がキャッチできた。
勝負はここからだ!
神山選手がボールをキャッチしたのを見た俺はすぐさま右サイドを駆け上がる!
神山選手は足の速い俺の事をいつも一番に探してくれる。
だから今回も…きた!
オーバーハンドスローでGK神山からのパスだ!
俺の前にいる敵の数は4人。時間をかければかけるほどその数は増える。
だから…
一気に駆け上がる!
右サイドのハーフウェーラインの手前で一人目のDFを躱し、後は中央にいた奴とフリーキックのキッカーとGKの3人だけ。
引き続き右サイドを駆け上がると中央にいた相手DFが急接近してタックルを仕掛けてきた!
まだいける!
ポンッと前にボールを蹴り出しさらに加速すれば…
躱した!俺には追いつけない!
残りはフィールドプレーヤー1人とGK1人!
俺はハーフコートの2分の1辺りからゴールに向かって斜めに進行する。
その先にはもちろんペナルティエリア前で相手DFが待っている!
さすがにここは少しスピードを落として…
左に切り返すとみせかけて再加速!縦に抜き切る!
すると相手GKが飛び出してくる!
ここは…ループシュート!
ポンッ…
パシッ…
ボールは相手GKの頭に当たって…
ポーン…ポーン
ゴール前に転がっている!すぐさま体勢を立て直しもう一度シュート!
ドンッ!
パサッ!
GOAL!
日本3-0ギリシャ
ワアアアア!
スタジアムに再び大きな歓声が沸き起こる!
「うおおおおお!」
ずざぁー!ガオー!
お決まりのスライディングタイガーポーズも決めた!
だが…
くぅー!最後相手GKの頭に当たらなければ最高にカッコよかっただろうに!
俺は一発でゴールを決めれなかった事を悔いていた。
それでもゴールはゴール。観客の方に目を向けると皆拍手してくれていた。
ゴールを決められて最高の気分だ。
しかし…
「大雅!お前途中のタックル危なかったぞ!ゴールはよくやったけど、あのスピードで相手が勢いよく体ぶつけてきたらどうなってたかよく考えろ!」
真っ先に駆けつけてくれた星野選手からお叱りを受けてしまった。
確かにあと1点入れられたらほぼ終わりというギリシャのDFは、レッドカード覚悟で俺に向かってきていたのは間違いない。
一歩間違えれば選手生命を絶たれていたかもしれないな。
「すみません。少し調子に乗ってました」
「少しちゃうやろ!最初から味方の上がりなんて全然意識してませんってプレーやったぞ!」
「はい…大分調子乗ってました…」
俺の事を思ってブチギレてくれる星野選手に俺は謝り続けることしかできなかった。
・・・・・
ピッ!ピッ!ピッー!
試合終了。日本VSギリシャ、結果は…
日本3-0ギリシャ
なんとか第二戦も勝つことが出来た。
しかし後半終了間際に俺と及川選手が交代した後、ザッパリーノ監督からもお説教を受けた。
やはり2-0という状況下であのようなカウンターをしたら、敵は死に物狂いで止めに来るので俺のプレーは危険極まりないものだったという。
罰として次の試合は俺を出さないそうだ。
勝利したのに何とも喜べない状況に俺は子供っぽくしょぼくれるのであった。
俺は…日本のエースストライカーに…なる男…