ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
両チームの選手がピッチに戻ってきた。
後半開始の笛が鳴る。
ピーッ!
日本VSコスタリカ
後半
KICK OFF!
日本ボールで始まる。後半も積極的な攻撃でコスタリカを仕留めたいところだ。
・・・・・
後半20分頃
日本ボールのコーナーキック。
日本とコスタリカの平均身長はどっこいどっこいといったところ。
相手CBに俺より身長が高そうな選手がいるので、その選手が俺をマークしてくる。
なんとか出し抜きたいが…
ボンッ!
ボランチ榎本によるコーナーキック、中央にボールが供給される!
ボールの向かう先は俺のいる場所!
ボンッ!
このボールは相手DFに頭でクリアされた。
「く〜!」
ストレスの溜まる試合だ。チャンスは多くあるのにゴールを決める事ができない。
・・・ そんな事を思っていたらコスタリカのカウンターだ!
相手右WGがドリブルでボールを運んでセンターサークル内にいたCFにパス!
相手CFはボールを受け取ってすぐCB小森に潰されるが、ボールはMFに繋がっている。
審判はコスタリカのアドバンテージを取って試合を続行させる!
相手MFは左サイドを駆け上がる左WGにスルーパスを送る!
相手左WGはペナルティエリア前までドリブル、最後にカットインシュートを放つ!
ボンッ!
相手左WGに対峙していた右SB上野も必死に食らいつく!
だが放たれたシュートに足が届かない!
残るGK神山が横っ飛びをして手を伸ばす!
しかし…
パサッ…
GOAL!
日本のゴール右隅にボールは勢いよく突き刺さった。
日本0-1コスタリカ
ワアアアア!
ようやく生まれたこの試合最初の得点、スタジアムに歓声が沸き起こる。
そしてコスタリカの選手達が喜びを爆発させた。
殆ど日本が攻めていた中での失点。
この流れは…まずい。急に前世の2022W杯を思い出した。
たしかコスタリカにワンチャンスをモノにされて日本は敗北したのだったな。
あの時はグループステージだったので負けても次があったが、今は決勝トーナメント。
ノックアウトステージとも呼ばれるが、試合に負けたらW杯からおさらばしなければならない。
日本はこれまでのW杯でラウンド16を突破してベスト8以上になったことがない。
コスタリカに負けてまたしてもベスト16どまりなのか?
せっかくグループステージを突破したというのに!
絶対に負けてたまるものか。必ず同点に追いついて逆転してやる!
・・・・・
後半40分頃
まずい、まずい、まずい!時間が…時間がない!
せめて同点に追いつきたいが、コスタリカは守備を固めて逃げ切るつもりだ。
こうなったらもうコスタリカの守備を崩すことはかなり難しくなる。
・・・それでもっ!
諦めることだけはしちゃだめだ!
左SB中園が左SH金田を追い越してクロスを放つ!
ボールが向かう先は…俺!
ボンッ!
ヘディングシュートを放つ!
バシッ!
放ったシュートはGKナザルの正面に飛んだ。ナザルはボールをキャッチした後に倒れ込んで時間を使う。
「クソーッ!」
何がW杯優勝だ。何が日本のエースストライカーになるだ。
俺は得点を沢山取ってチームを、日本代表を勝たせるんじゃなかったのか!?
・・・・・
後半45分
コスタリカは日本の猛攻をものともしない。
連係してサイドからの突破も中央突破もやった、ミドルシュートも打った、半分PK狙いのドリブル突破も図った。
後はもう…
俺の空中戦でどうにかするしかない!
左SB中園の左サイド縦突破から高いクロス!
俺はそのボールに頭を合わせ、今度はゴール右隅を狙ってヘディングシュート!
ボンッ!
カンッ!
シュートはゴールポストにあたり…
GKナザルがキャッチの体勢を取って…
ボンッ!
GKナザルが手に触れる前にスライディングシュートを放つ日本代表選手!
パサッ!
GOAL!
日本1-1コスタリカ
ワアアアア!
スタジアムの観客が今日一番の歓声を放つ!!
選手が密集した中から俺の方へ向かってくるゴールを決めた選手は…
背番号9!大杉修人だ!!
「大杉さん!ありがとうございます!助かりました!」
「大雅〜!一発で決めないからゴールさせてもらったぞ!」
「すみません。大杉さんじゃなきゃ今のゴールは無理でした!」
「謝んなよ!こぼれ球ならいくらでも拾うから、もっとシュート打ってけ!」
本当にこの人はストライカーだな。泥臭いゴールがやっぱり似合う。
「よーしっ!ナイスー!皆延長に入るまで気抜くなよ!」
「一回延長で仕切り直そう!それまで絶対に点をとられるな!」
中園選手と星野選手が延長戦を戦おうと方針を口にする。
ここで後半残り時間を無理に攻めてまたカウンターゴールを食らったら、目も当てられないからな。
・・・・・
ピッピッピーッ!
後半終了の笛がなる。なんとか無事に1-1のまま延長戦に入ることが出来る。
ベンチ前で監督陣から細かい指示を受けた後、皆で円陣を作る。
「30分でケリをつけよう!勝ち進むのは俺たち日本代表だ!いくぞ!」
「「オウ!!」」
延長前半からボランチ16番柳下誉選手に代わって14番
ピーッ!
日本VSコスタリカ
延長前半KICK OFF!
・・・・・
延長前半8分頃
コスタリカのカウンター。
右サイド高い位置までドリブルした相手右WGが低い位置の右WBにボールを渡す。
相手右WBは中央に切り込むドリブル、そして左サイドペナルティエリアに侵入しようとする左WGにクロスを放つ!
ボンッ!
バシッ!
このボールはGK神山がキャッチ!流れるようにボランチ赤嶺にパスを送る!
これは…来る!
ボランチ赤嶺はボールを受け取って最前線にロングパスを送る!
その先にはもちろん…
俺が走っている!
相手CB3枚は左右に大きく開いていたので、最終ラインをギリギリで突破した俺に対応出来るのは中央のCBとGKだけ!
しかしそのCBも俺のスピードに合わせたボランチ赤嶺の精度が高いロングパスには追いつけない!
トンッ!
俺はボールをトラップして加速する!
後はGKナザルとの1対1!
ボンッ!
俺が放ったシュートは…
パサッ…
ゴール左隅にしっかりと決まった。
GOAL!
日本2-1コスタリカ
ワアアアア!
スタジアムが再び歓声に包まれる!
よしっ!やっとナザルからゴールを奪えた!
今日はスライディングなしでカメラに向かってゆっくり歩いて笑顔でタイガーポーズ!
その間に皆が俺の下へ集まってくる!
「大雅!よくやった!」
「お前ホントに得点王とっちゃうぞ!いやもう取ってくれ!」
「あざっす!あざっす!」
そしてボランチ赤嶺選手が俺のゴールを祝福しにやってくる!
「赤嶺さん!流石のロングパスでした!」
「おう!大雅もよく決めた!それにしても練習でそんなにやってないのによく合ったな」
「赤嶺さんなら必ずあそこに出してくれるって信じてました!」
「はははっ、そうか。じゃあどんどんあの形でゴール決めてくれ」
俺は前世で俺のタイガーポーズの元になったポーズをする選手が、赤嶺選手のロングパスで最終ラインを突破するシーンを何度も見た。
だからこそ練習で合わせてなくても赤嶺選手が出てきた時のイメージは出来ていたのだ。
・・・・・
ピッピッピッー!
試合終了の笛が鳴る。結果は…
日本2-1コスタリカ
延長前半の1点を守りきり、なんとか勝利することが出来た。
ベンチから監督、コーチ、スタッフ、選手、日本代表の皆がピッチになだれ込む!
「よっしゃー!初のベスト8だー!」
「うおおおお!ベスト8〜!」
「ブラボー!ブラボー!」
俺も沢山の人と抱き合う!
「ありがとう大雅!ありがとう!」
「どんだけゴールすれば気が済むんだお前は〜!最高だー!」
俺はひとしきり喜んだ後、近くにいたコスタリカGKナザルの下へ行く。
彼は座り込んで項垂れていた。
正直俺達日本代表が負けていた可能性は十分にあった。
後半終了間際の大杉選手のゴールがなかったらと考えると恐ろしい。
そして延長前半のコスタリカのカウンターからの日本のカウンター返し。
これもコスタリカのカチコチディフェンスをこじ開けるにはその手段しかなかったのだ。
なんといってもやはりコスタリカのGKナザルは凄かった。
俺はナザルの目の前に行くと小4の頃から勉強しているスペイン語で彼に語りかける。
「あなたは素晴らしいゴールキーパーです」
「ん?君はスペイン語が喋れるのか?」
「少しですが喋れます」
「そうか。君も素晴らしいフォワードだよ」
座り込んでいたナザルに手を貸して起き上がらせる。
「あなたには何度もシュートを放ったのに止められてしまいました」
「それが仕事だからね。でも結局は君にゴールを決められた」
「はい、私もそれが仕事ですから」
「ははっ、それはそうだ。君はスペイン語を学んでるということはスペインリーグに来る予定があるのかい?」
この質問は事前に想定していたものだ。
「はい、いつかはスペインでプレーしたいと考えてます」
「そうか。君ならすぐにでも…ああ、まだ君は16歳だっけ」
「はい、そうです」
「とにかくスペインでいつかまた会えたらいいね。君の幸運を祈るよ」
俺はナザルに感謝して立ち去ろうとする。するとナザルは肩を組んできて…
「他のチームメイトにも紹介させてくれ」
そう言って、座り込んだり、倒れ込んでいるコスタリカのメンバーを起こす作業を一緒にすることになった。
そして一通りコスタリカのメンバーと挨拶をしたら、最後に別れる際ナザルとユニフォーム交換をした。
コスタリカ、そしてGKナザル。強かった。