ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
どうやらザッパリーノ監督の怒りも俺のゴールによって弱まっていたようだ。
そこまで強い口調で叱ってこなかった。
ただ他の監督ならあまり勝手をしすぎると干される可能性もあるから今後気をつけた方がいいと忠告を貰った。
確かに『デュエル』で有名な、前世で2018W杯前に解任されたあの日本代表監督だったら、代表選考から外されるくらいの事を俺はやったかもしれない。
ザッパリーノ監督からはポジションを変えたいなら、一度指揮官に相談をしなさいとアドバイスも貰った。
・・・ロッデヌのマネがしたいのでポジションを変えてください!
なんてバカ正直に相談して意見が通るとは思えないが、言ってることは正論だ。
サッカーは選手の自主性も大切だが、指揮官が求める規律も順守しなければならない。
そうでないと指揮官はチームとして統制が取れなくなり、強いチームが作れなくなるからな。
さて、今日もハーフタイムで17番羽賀田キャプテンと7番榎本選手が交代する。
CB小森選手はイエローカードを貰っているが、そのままいくそうだ。
さぁピッチに両チームメンバーが揃って後半が始まる。
日本VSオランダ
後半
KICK OFF!
・・・・・
後半20分頃
ここまで膠着状態。
前半よりも俺へのマークが激しくなっている。
こういう時は俺を囮に他の選手が活躍してくれると助かるのだが…
そう思っていると、左SH金田、ボランチ榎本、左SB中園の連携から左SB中園が左サイドを突破する!
俺はニアサイドにポジションを取りに行く!追従する相手DF!
ボンッ!
左SB中園がクロスをあげる!
クロスが描いた放物線は…
ファーサイド!右SH大杉の下へ向かっている!
9番大杉のヘディングシュート!
ボンッ!
パサッ!
GOAL!
日本3-2オランダ
ワアアアア!
スタジアムの観客が大歓声をあげる!
大杉選手はコーナーエリアに向かいガッツポーズ!皆もそこへ向かう!
「ナイス大ちゃん!」
「大ちゃんさすがのヘディングよ!」
「大杉さんナイスシュートでした!」
皆にもみくちゃにされる大杉選手は嬉しそうな笑顔だ。
・・・・・
後半30分頃
オランダのカウンター攻撃。
まずFWロッデヌを走らせる。
日本DF陣がそう何度もやられないとFWロッデヌに必死に食らいつく!
しかし気をつけなければならないのはロッデヌだけじゃない!
後ろからスラミベフが走りこんでロッデヌのパスを左サイドペナルティーエリア前で受ける。
そして右足でミドルシュートを放った!
ボンッ!
パサッ!
ゴール右隅に勢いよくボールが吸い込まれる!
GOAL!
日本3-3オランダ
ワアアアア!ウォオオオオ!
両チームが繰り広げるシーソーゲームに観客は大熱狂だ。
オランダ代表はペナルティーエリア前で輪になって喜んでいる!
「強い・・・」
日本が2回もリードしたのに引き離されず必ず同点に持ってくるオランダ。
あともう1回、もう1回点を入れるしかない。
・・・・・
後半43分頃
日本の攻撃。
ボランチ榎本選手から斜めのスルーパスが俺に出される!
俺はそれをトラップするが、相手DFに囲まれてカットされた。
相手DFはGKに、GKは右WBにボールを渡し、右WBはFWロッデヌの裏抜けに合わせてパスを送る!
「まずい!」
FWロッデヌは右サイドに流れてボールを受け取ると、ぐんぐんと前へ進んでいく。
必死に追う日本DF。
しかし…
カットインだ!
ロッデヌのキレキレのカットインは後半終了間際でも健在だった。
ペナルティーエリア前で2,3人をかわすとゴール左隅にシュートを放つ!
ボンッ!
パサッ…
GOAL!
日本3-4オランダ
ワアアアア!ウォオオオオ!イエェェェーイ!
スタジアムのボルテージが最高潮に達する!
オランダ代表の面々も喜びを爆発させる!
一方日本代表は項垂れている。
2度のリードを守れず逆転を許してしまったのだから当然だ。
それでもっ!
「あと1点!あと1点だけ取って延長に持ち込みましょう!ロングボールでいいんで俺にボールをください!」
諦めることだけはしたくなかった。
その後日本代表は俺にロングボールを集めるものの、時間内にゴールネットを揺らすことは出来なかった。
ピッピッピッー!
試合終了の笛が鳴る。
ピッチになだれ込むオランダ代表の面々!
結果は…
日本3-4オランダ
90分で決着をつけられてしまった。
俺は座り込んで俯く。
これで終わりなのか…俺の初めてのW杯…
皆と一緒に優勝したかったのに…
・・・・・
しばらく経って周りに人が集まる音がする。そして背中をさすられイタリア語で話しかけられる。
この声はザッパリーノ監督だ。
「タイガ、上出来だったよ。タイガはよくやった」
通訳さんが翻訳してザッパリーノ監督の言葉を伝えてくれる。
「君はこの大会で何度も私たちを救ってくれた。それを世界の多くの人が見ていたし、きっと日本の多くの人が君を誇りに思ってるよ。胸を張って日本に帰ろうタイガ。ベスト8だ。私達はベスト8なんだよ」
それでも…それでも…悔しいよ監督。
俺の頬に涙が伝う。
でも返事をしなきゃな。
俺は顔を上げてゆっくりと立ち上がる。
・・・思った以上に俺の周りには人がたくさんいた。
テレビカメラマンやオランダ代表、日本代表のコーチ、スタッフ、選手が結構な数いる。
え?もしかして泣いてるのはもう俺だけ?
まぁいいやとりあえずザッパリーノ監督とハグしとこ。
「あなたは最高の監督です」
「タイガも最高の選手だ」
続いてオランダ代表のみなさんと英語でご挨拶。
皆と握手していく。
そしてロッデヌと握手する番が来た。
「実はあなたのファンなんです」
「本当かい?嬉しいよ」
「ユニフォーム交換してもらってもいいですか?」
「もちろん。丁度僕も頼もうかと思って待ってたんだ」
俺達はユニフォームを交換しあった。
「君は本当にいい選手だ」
「ありがとう」
そう言って俺達は別れる。
「大雅!サポーターに挨拶しに行くぞ!」
羽賀田キャプテンが俺を呼ぶ。
俺を待ってくれていたサッカー日本代表の面々の姿は堂々としていて、やっぱりカッコいいなと思った。
あぁ、この人たちとサッカーが出来て良かった。