ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
2014年7月
ピッピッピッー!
「あー負けちゃったー」
「惜しかったな」
「大雅君凄い悔しそう」
今日は日曜日。家族皆でサッカー日本代表の試合を朝5時から見ている。
「寝るー」
「えー?最後まで見ていかないの?」
「大雅の悔しそうな顔なんて見ても面白くないよ」
お姉ちゃんはそう言って2階にある自室へ戻る。
「ねー大雅君と紗那絶対なんかあったよね?茉那はなんか知ってる?」
「えー?知らなーい」
「だってあの子前は隠してるつもりだったけど、大雅君の事好き好きオーラ全開だったじゃない。なのに最近は…」
「他に好きな人でも出来たんじゃなーい?」
お母さんがお姉ちゃんの秘密に迫ろうとする。
だけど絶対に言えない。大雅お兄ちゃんが三股をしてお姉ちゃんの心を傷つけたなんて。
そして私もまたお姉ちゃんを傷つけようとしてるなんて。
「私も寝るー」
「えー茉那も?」
「後で見返すからその時に見るよ」
「ここまで見たなら最後まで見てけばいいのに」
それはそうだ。でも私はただ寝に行くわけじゃない。
2階に上がって向かうのはお姉ちゃんの部屋。
ガチャッ
「お姉ちゃんちょっといい?」
「んー何?」
お姉ちゃんは既にベッドに入っていた。
「あのさ、大雅お兄ちゃんのお母さんから頼まれた番組を録画したDVD、私が持ってくよ」
「えー?お母さんに頼むからいいよ」
お姉ちゃんは眠いのか私の発言の意図には気づかないようだ。
でも次の言葉を発すれば…
ごくっ…
つばを飲んで…言うぞ!
「大雅お兄ちゃんに会っておめでとうって言いたいの」
「・・・茉那、まだ大雅に気があるとか言わないよね」
「まだ…好きだよ。あんなにカッコいい人他にいないもん」
「茉那!私がどんな思いでアイツと別れたのか分かんないの!?」
お姉ちゃんは下の階にいる両親に聞こえないように静かに怒る。
「分かってる。お姉ちゃんが辛い思いをしたのも、私がお姉ちゃんを苦しめた原因の一つだってことも」
「違うよ茉那、私は茉那に苦しめられたわけじゃない。全部アイツが悪いの。アイツが…大雅が私は大好きだったからその分苦しくなっただけ。茉那にはそんな思いしてほしくないの」
「お姉ちゃんは…もう大雅お兄ちゃんの事好きじゃないの?」
「うん。好きでいても大雅が他の女の子と一緒にいる事ばっか想像しちゃうから。もうそれは嫌なの。独占欲っていうのかな、それが満たされなくてずっと苦しいんだと思う」
お姉ちゃんが言いたい事は分かる。好きな人とはずっと二人きりがいいのは当然だ。
でも…
「お姉ちゃんごめん。私大雅お兄ちゃんがどれだけ浮気者でもカッコいいが勝っちゃう」
「茉那は3人目の女だったからそう言えるんだよ。これからアイツ絶対に調子乗って女増やすよ?茉那はその度に傷つくんだよ?」
たしかに大雅お兄ちゃんはもう私達が知る大雅お兄ちゃんではない。
日本全国、いや世界中が知る人となってしまった。
言い寄る女は増えるだろうし、今大雅お兄ちゃんがナンパすれば100発100中かもしれない。
それでも、いやだからこそ…
「傷ついてもいいよ。それだけの価値が大雅お兄ちゃんにはあると思う」
「茉那…価値って何?茉那は大雅に何を求めてんの?将来のお金?大雅との子供?」
「私は…昔から大雅お兄ちゃんと一緒にいる時が好きだった。カッコいいし、優しいしこの人とずっと一緒にいたいって思える…」
「だからアイツとはずっと一緒にいれないんだってば!他の女のところいくし、海外にもいくし!」
「それでもいいの!少しでも私の事好きって言ってくれて、少しでもそばにいられれば…」
「茉那!それじゃ幸せになれないからアイツと別れたの!別れさせたの!茉那全然分かってない!」
「それはお姉ちゃんが考える幸せでしょ?私はお姉ちゃんと違ってそれでも幸せなの!」
「茉那が幸せでも子供はどうするの?アイツと結ばれたら茉那1人で育てるんだよ?そこまで考えた?」
「そ、それは…お父さんとお母さんに…」
「なんて説明すんの?父親は育児放棄してヨーロッパでサッカーやりながら他の女と遊びまくってます。なので助けてくださいって?」
「・・・・・」
「最初からお父さんとお母さんに迷惑かけるつもりなら説得できなきゃ。お父さんもお母さんも大雅に怒りが湧くだけだよ。大切な娘に何してくれてんだーって」
「・・・・・」
「茉那、大雅は確かに凄くカッコいいよ。だけどそこだけを見てたら絶対に駄目。悪いところも…というか悪いところだらけ。例えば私は大雅がものすごいアホだってこと知ってる。考えなしなんだって基本的に。人への配慮とかないし…」
そこからはお姉ちゃんの大雅お兄ちゃんへの悪口大会が始まった。
でも違うんだよ。お姉ちゃん。
そうじゃない。
どれだけ私に大雅お兄ちゃんの悪口を言い聞かせたって、意味はない。
だって私は大雅お兄ちゃんともう一度結ばれることを夢見ているのだから。
このまま会話を続けたらじゃあ将来はどうするの?とお姉ちゃんは何度も聞いてくるだろう。
確かに私はお父さんとお母さんに将来どう説明するか答えられなかった。
だけどその時はその時じゃないだろうか。
大雅お兄ちゃんともう一度結ばれるためには今しかない。
大雅お兄ちゃんへの果てしない恋しさが今私の胸を支配している。
今!私は大雅お兄ちゃんに会いたいのだ!
それにお姉ちゃんの許可なんていらない。
そうだ。大雅お兄ちゃんの家にはお母さんと一緒に行こう。
そうすればお姉ちゃんも何も言えないはず。