ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜   作:クズ吉

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第73話 Nリーグ第22節VS川崎バストーレpart3

 「8月最後の試合だぞ!俺たちはこのまま8月勝利なしで終わるのか?また引き分けか?また負けるのか?・・・そんなわけには絶対にいかない!チーム全員がもう一度クラブ、ファン、サポーターのために一つになろう!勝利して今日を笑顔で終わろう!いくぞ!」

 

 「「オウ!!!」」

 

 ハーフタイム、ロッカールームで後半を戦う名古屋アハトのチームメンバーを鼓舞する高尾キャプテンとそれに呼応する皆。

 

 その後俺も手を叩いたり掛け声を出してチームを鼓舞する。

 

 チームが一つになること。これは本当に重要でかつ難しいことだ。

 

 特にチームが勝利を中々掴めない時、簡単にチームはバラバラになる。

 

 そのような時にキャプテンシーを持った選手が必要になるし、俺もそうなれるよう訓練中だ。

 

 さぁ、ロッカールームを後にしてピッチに戻ろう。

 

 パチパチパチ!

 

 観客が再びピッチに現れた俺達を温かい拍手で迎えてくれる。

 

 今日こそは、今日こそは名古屋サポーターに笑顔で帰ってもらいたい!

 

 この試合絶対勝つぞ!

 

 ピーッ!

  

 ピッチに22人が揃い、後半開始の合図が鳴った。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 

 後半6分頃

 

 後半開始からお互いのチームがボールを蹴り合い、どっちつかずの膠着状態が続いている。

 

 そんな中、川崎司令塔CH七隈にボールが渡った時!

 

 七隈はCF小野寺とパス交換をすると左シャドーレカロにボールを展開する!

 

 レカロは名古屋DFと相対し、縦に抜くドリブル!

 

 そしてグラウンダーのクロスを中央に送る!

 

 そこへ飛び込んだのはCF小野寺だ!

 

 小野寺がクロスボールに足を伸ばす!

 

 

 

 

 

 

 …しかし小野寺はボールには触れず、クロスボールは右サイドへ流れる。

 

 ボールが流れた先には…

 

 右シャドー古泉がいる!

 

 古泉はボールを受け取った後右足でクロスを入れる!

 

 

 

 …と見せかけて左に切り返し、スライディングしてきた名古屋DFを振り切ると中央のCF小野寺に素早くグラウンダーパスを送る!

 

 パスはCF小野寺の下に届き、小野寺はダイレクトシュートを放った!

 

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ!

 

 

 小野寺の放ったシュートは名古屋DFの股下を抜けてゴール右下隅へと決まった。

 

 

 GOAL!

 

 名古屋1-2川崎

 

 ワアアアア!

 

 沸き立つ川崎サポーター!

 

 ゴールを決めた小野寺はアシストをした古泉を指さすとそちらに向かいハイタッチをする!

 

 川崎の他の選手達も小野寺と古泉の下に集まり笑顔の輪が出来る!

 

 一方で名古屋の選手達は逆転を許したことで、天を見上げたり、項垂れている。

 

 守備改善会議を行ってから数週間が経って、日々の練習から意識改革をしたことでチームの守備は改善したはずだ。

 

 それにもかかわらず失点ばかりしてしまう俺達。

 

 何が…何が俺たちに足りないんだ…?

 

 守備を改善したというのは錯覚で、実態は大して変わっていないのかもしれない。

 

 もちろんサッカーは相手がいるスポーツだから、ただ単に俺達の守備能力が相手の攻撃能力に上回られているだけの可能性もある。

 

 それは選手を入れ替えれば解決する選手の質の問題なのか、選手を入れ替えても変わらない戦術的な問題なのか。

 

 分からない。どうすれば守備を安定させてチームが勝つことができる?

 

 俺は思わず頭をわしゃわしゃと掻く。

 

 すると…

 

 「タイガー、余計な事は考えるな」

 

 ケリーがいつの間にか俺の近くに立っていて、俺の肩に手を置いてそう言った。

 

 「お前はストライカーだ。ゴールすることだけに集中しろ」

 

 俺はハッとしてケリーの目を見る。力強い目だった。

 

 彼には2年連続Nリーグ得点王に輝き、名古屋アハトをリーグ初優勝に導いた実績がある。

 

 そんな彼の言葉には説得力を感じざるを得ない。

 

 「ごめんケリー。俺達で沢山点を取るんだったね」

 

 「どうせまた守備のことでも考えてたんだろ?それを考えるのは監督の仕事だ。お前にはお前の仕事がある。」

 

 「ああ、そのとおりだね。まずは自分の仕事をしなきゃ」 

 

 そうだ。俺の仕事は相手よりも多くの得点を奪うこと。

 

 前半にはそう思っていたのに、再び失点を目の当たりにしただけで意識が逸れてしまった。

 

 これは転生してからの俺の悪い癖だな。

 

 人生2回目だろうが、キャプテンシーを磨こうとチームの事を考えようが、何でも自分で解決出来るとは限らない。

 

 ケリーの言う通りゴールに集中しよう。

 

 ・・・・・・・・・

 

 

 後半17分頃

 

 川崎CH七隈からCH沖口へボールが渡った時!

 

 沖口は名古屋DFの裏を抜けようとする右シャドー古泉へとスルーパスを送る!

 

 しかしこのパスは少し弱く名古屋左SB堀井にカットされる。

 

 堀井はすぐさま前線のCFであるケリーの前のスペースにロングボールを送る!

 

 しかしこのボールは川崎CB滝沢がヘディングでクリアする!

 

 このクリアボールを名古屋CHダミスコムが胸トラップで回収!左サイドに大きく開いた俺にボールを送る!

 

 パスを貰った俺の側には川崎の右WBが守備の対応をしており、相手右CBもすぐフォロー出来る位置にいる。

 

 「タイガー!いけー!」

 

 しかしそんなダミスコムの期待のこもった声が後ろから聞こえる。

 

 やりゃいいんだろ!やりゃ!

 

 川崎の選手と相対した俺は彼らをドリブルで抜き去る覚悟をする。

 

 そんな時ふと川崎のユニフォームを見て俺はある選手の事を思い出す。

 

 サイドに開いた時俺がイメージするドリブラーはブラジルのロマルディーリョ、オランダのロッデヌ、アルゼンチンのメッティなど多数いる。

 

 その中でも強烈に思い入れがあるのは川崎で活躍した俺の前世のアカデミー時代の一個上の先輩、箕輪風音(みのわかのん)選手だ。 

 

 相手守備陣を切り裂く彼のドリブルは観る者を魅了する力がある。

 

 そして彼はFWとして川崎バストーレのNリーグ優勝に大きく貢献し、イングランドリーグでも活躍、日本代表のエースに上り詰めた男だ。

 

 川崎で活躍できず、海外挑戦もできず、日本代表にもなれなかった前世の俺は最も身近であったのに最も遠い存在になった彼に激しく嫉妬した。

 

 彼のようなドリブラーになろうと、もがき苦しんで迷走した時期もあったが、それはもう過去の話だ。

 

 前世でNリーグ得点王として花開いたシーズンに俺は悟った。

 

 俺には俺のスタイルがあると。

 

 そして今世で父さんと幼少期から研究してきたドリブルは前世の俺を凌駕する、W杯で世界と戦える武器へと進化した。

 

 だからもう彼に嫉妬しなくていいのだ。俺は少し安心する。

 

 だけど…心の中に燻る試合前にも感じていた川崎バストーレに溜まっている俺の鬱憤。

 

 それは俺だってこんなにも凄い選手なんだと彼らに認めて欲しいのかもしれない。

 

 そうか。そうだったんだな。

 

 だったら見せつけてやるさ、俺の成長したドリブルを!

 

 いくぜ!名古屋産に産地偽装した川崎生まれのドリブルだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 …っとやっぱやーめた。ダミスコムにボールを戻そう。 

 

 とした素振りを見せてから…

 

 一気に川崎の右WBを抜き去る!

 

 次に相対する右CBが縦にドリブルするよう誘導してきたので斜め!

 

 中央にドリブル突破!これで2人抜きだ!

 

 それと同時に名古屋の左SHハヤブサ成田が左サイドを駆け上がるので川崎DFはそちらも意識に入れなければならない。

 

 だが俺は成田を使わず引き続き中央をドリブルで駆け上がる。

 

 カバーに入った川崎CH沖口が身体を当ててこようとするがそれも躱す!

 

 ペナルティエリア前で最後に待っていたのは川崎CB滝沢だ!

 

 ここは右にカットイン…ではなく強引に縦に突破!

 

 滝沢は少し遅れるも必死についてくる!

 

 しかし俺は彼が足を出す前に、ペナルティエリア内をドリブルで進んでからゴール枠内ニア高めに左足でシュートを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ!

 

  

 GOAL!

 

 名古屋2-2川崎

 

 ワアアアア! ウオオオオ! キャアアアア!

 

 今度は名古屋サポーターが熱狂する番だ!

 

 「タイガー!ゴラッソ!それが見たかったんだよそれが!」

 

 ダミスコムが真っ先に俺の下へ駆けつけてゴールを祝福する!

 

 あとから駆けつけた他の選手達も俺のゴールに興奮した様子で、俺は皆に揉みくちゃにされてしまった。

 

 「まだまだ点取りましょう!今日は絶対に勝ちますよ!」

 

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 

 後半25分頃

 

 名古屋DFがファールを犯してしまい、川崎バストーレのフリーキック。ゴール正面やや右のペナルティアークの外周線上にボールが置かれている。

 

 キッカーはレカロか?七隈か?

 

 ピーッ!

 

 主審の笛がなった。

 

 ボンッ!

 

 ボールを蹴ったのは…

 

 レカロだ!レカロの左足のキック!

 

 ボールはゴール左上隅へと向かっている!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バシッ!

 

 名古屋守護神長嶋がレカロのシュートを弾いた!

 

 名古屋の皆で長嶋を称える!

 

 しかしすぐさま川崎のコーナーキックが始まる!七隈によるショートコーナーだ!

 

 パス交換からもう一度七隈にボールが渡り、クロスを中央に送る!

 

 ボンッ!

 

 このボールはセットプレーで自陣ペナルティーエリア内にいたケリーのヘディングによってクリア!

 

 しかしクリアボールは川崎DFの下へ。

 

 俺はそのDFにすぐさまプレッシャーをかけに行く。

 

 俺のプレッシャーに慌てた相手DFはもう一度ヘディングで名古屋のペナルティエリア内にボールを押し返す。

 

 だが、その先には名古屋CH立木がいる!ボールを胸トラップしてから大きく高く蹴り上げた!

 

 このクリアボールは…

 

 俺の得意な形だ!かけっこなら負けない!

 

 ボールの落下地点である相手陣内には、川崎CB滝沢が自軍のゴールに向かって走っている。

 

 そこに後ろから猛スピードで追いかける俺!

 

 プレッシャーを受けながら後ろから来るボールを処理出来るかな?

 

 ちなみに相手GKは当初ペナルティエリア外に出ていたものの、爆速でボールを追う俺を見て滝沢に対応を任せゴールエリアへと戻っていった。

 

 

 

 ポーン

 

 

 

 結局滝沢が目測を誤りトラップもクリアもGKへのパスも出来ず、一番中途半端な形でボールは一度地面を跳ねる。

 

 これは…いける!

 

 そこで俺は滝沢の身体に触らないよう気をつけながら身体を入れ替えるようにして彼を追い抜き、ポールをトラップし前進した!

 

 後はGKとの1対1を残すのみ!

 

 そこへ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガシッ!

 

 きたっ!

 

 俺のユニフォームを強く引っ張る滝沢。

 

 ここは審判へのアピールのために大げさに倒れておこう。

 

 ピーッ!

 

 主審の笛が鳴り、後ろを振り向くと…

 

 川崎CB滝沢にレッドカードが提示されていた。

 

 決定機阻止のため、当然滝沢も分かっていながら仕方なくユニフォームを引っ張ったのだろう。

 

 DOGSOだな。

 

 俺が身体を滝沢の前に入れ替えた時点で勝負アリだ。

 

 滝沢は数秒立ち止まり悔しそうに頭を抱えながら退場していった。これから川崎は10人で戦う事になる。

 

 だが、滝沢もプロフェッショナルだ。俺を倒したのはペナルティエリアのギリギリ外という判定になった。

 

 でもこの距離なら…

 

 俺はボールの前に集まってきたCHダミスコム、CH立木、CB高尾キャプテンと話し合う。

 

 「この距離だと直接狙うしかないですね」

 

 「タイガいっちゃう?」

 

 「大雅いけるのか?」

 

 「いかしてください。自分で取ったFKでもありますし」

 

 口元を塞いでの会議は俺にフリーキックを任せる事を決定して終えた。

 

 ふぅ…

 

 実際の試合でフリーキックを蹴るのは久しぶりだから緊張するな。

 

 今世の俺は身長が高いこともありフリーキックでキッカーになることはほとんどなかった。

 

 だが全てはこの一蹴りのため。

 

 直接フリーキックの練習は前世含めてかなりしてきた。

 

 直接フリーキックを決めた時の名選手達のカッコ良さったら!そりゃ誰だってフリーキックを蹴りたくなるさ!

 

 ピーッ!

 

 主審の笛が鳴る。

 

 蹴るのは左足だ。呼吸を整えて…

 

 今!

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ!

 

 俺の放ったカーブシュートはゴール左上隅のGKの手が届かない位置へと突き刺さった。

 

 GOAL!

 

 名古屋3-2川崎

 

 ワアアアア!ウオオオオ!キャアアアア!

 

 ホーム名古屋に観客の喜びの声が響き渡る!

 

 「っしゃあああ!」   

 

 「うおおお!大雅ー!」

 

 「ナイスー!」

 

 俺はすぐさまチームメイトに囲まれ皆から抱きしめられる!

 

 そして解放された後は名古屋サポーターに向かってお決まりのタイガーポーズ!

 

 「がおー!」 

 

 サポーターもベンチもピッチの名古屋の選手達も皆笑顔だ!

 

 これが見たかった!後は試合を締めるだけ!

 

 

・・・・・・・・・・・・ 

 

 

 ピッ、ピッ、ピー!

 

 主審が試合終了の笛を鳴らす。

 

 試合結果は…

 

 名古屋5-2川崎

 

 11人対10人になった試合はその後俺とケリーが一点ずつ追加して無事勝利した。

 

 前半ケリーが言ってたとおりのスコアになったな。まさか本当に川崎から5点も取れるとは。

 

 俺は久しぶりのハットトリック。しかも前世の古巣相手だ。

 

 川崎に対する鬱憤もすっかり晴れた。

 

 間違いなく川崎をギャフンと言わせることができたし、俺という選手をこれでもかと見せつけることができただろう。

 

 勝ち点も3積み上げて文句無しだ。

 

 小野寺選手はあまり機嫌が良くなさそうだったが、俺からユニフォーム交換を提案すると快く引き受けてくれた。

 

 今日は俺達名古屋が勝ったが、小野寺選手を始めとする川崎バストーレのメンバーは皆手強かった。

 

 滝沢選手の退場で流れを完全に持っていけたのが良かったな。

 

 名古屋サポーターもチームメンバーも久しぶりの勝利に皆ご満悦で最高だ!

 

 これで俺も憂いなく代表戦に挑むことができる!

 

 

 

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