ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
2014年9月 北海道
望結とのデートの翌日、俺は早朝から電車に乗って空港まで向かい、飛行機で北海道に移動した。
その日は2014W杯以来の日本代表合宿の初日だった。
ホテルに荷物を預け練習場に向かうと待っていたのは新監督のハギレウ・アビーネとコーチ陣。
そう、ザッパリーノ監督ではない。
2014W杯でベスト8と、俺が前世で見ていた日本代表の戦績よりも好成績を収めた今世の日本代表であったが、前世と同様に2018W杯へ向け監督を交代したのだ。
元々ザッパリーノ監督は2014W杯までの契約であったらしい。
そしてW杯の成績に関わらず2014W杯が終わったら退任すると日本サッカー連盟とも合意していたそうだ。
ザッパリーノ監督の今後のキャリアがどうなるかは分からないが、もしかしたら欧州のクラブチームや他の国の代表チームを率いるかもしれないな。
それはともかくザッパリーノ監督が日本を離れる際は航空会社と日本サッカー連盟が協力して空港でちょっとしたセレモニーもやって、多くのニュースで取り上げられていた。
そして空港には彼に感謝を伝えたい日本代表サポーター等沢山の見送りが駆けつけた。
4年間日本のために戦ってくれた監督の花向けとしてふさわしかったように思える。
ちなみに俺は見送りには行けなかったが、2014W杯日本代表が解散する時に一応別れの挨拶はしておいた。
ザッパリーノ監督は俺にとって初めての日本代表監督で、短い間だったが沢山の経験をさせてもらった。
とても感謝している。
そんなわけでザッパリーノ監督が日本を去った。その後にやってきたのはハギレウ・アビーネ監督だ。
彼はメキシコ人でメキシコとスペインのクラブチームとメキシコ代表を率いたことのある監督だ。
前世でのアビーネ監督といえば過去の八百長疑惑が原因で日本代表の監督を数カ月でやめさせられた人物。
正直なところ俺は監督として彼が優秀なのかどうか判断がつかない。
あまりにも早く辞めさせられたので、彼の率いた日本代表があまり印象に残ってないからだ。
アビーネ監督の後任監督である例のあの人が率いた日本代表は「デュエル」、「縦に速いサッカー」など後世の日本サッカーに影響を与えたのは覚えているのだが。
ところで前世の記憶を持つ俺は今人生の岐路に立っている。
それはアビーネ監督を擁護するか、成り行きを見守るだけにするかだ。
たしか前世の日本サッカー連盟はアビーネ監督が有罪無罪に関わらず、監督が八百長事件の裁判に注力しなければならなくなると代表活動に影響が出る可能性がある事を理由として、アビーネ監督との契約を解除したはずだ。
それはもちろん建前でアジア杯で早期敗退したことも影響しているだろう。
つまりアビーネ監督が解任された主な理由は2つ。
・八百長疑惑があったこと
・アジア杯で早期敗退したこと
この2つを俺はどうにか出来るかもしれないと考えている。
アビーネ監督の件で感じるのはもちろんスポンサーからの影響など目に見えない政治があるのかもしれないが、日本サッカー連盟は「推定無罪の原則」を軽視する傾向にあるということだ。
「推定無罪の原則」とは簡単にいえば裁判で有罪と確定するまでは誰であっても無罪であるという法における原則だ。
つまりこの考えに則ればアビーネ監督は裁判で有罪になるまでは無罪ということ。
無罪であるにも関わらずまるで有罪であるかのようにその人を扱う。
それは良くない事だ。
アビーネ監督は日本代表を離れた後、裁判で無罪を勝ち取るまで偏見の目で見られ続けたそうだ。
前世のニュース記事でそんなことを語っていた。
さてこの問題をどう解決するかだが…
選手一同がアジア杯を優勝した後に推定無罪の原則を主張して、アビーネ監督を擁護する声明を出すことが良いのではないか。
アジア杯を優勝してしまえばアビーネ監督の手腕は疑われることはない。
前世の日本サッカー連盟は建前を色々並べていたが、結局はアビーネ監督を擁護し続けるだけの判断材料が乏しかったのだろう。
アジア杯を優勝したのにも関わらず解任するとすれば、それは推定無罪の原則を軽視している事にほかならない。
だから世論を味方につけ全力でアビーネ監督を擁護する。
この問題は俺にとっても他人事ではない。
いずれ俺が二股、三股、複数股をしていることが世間にバレた時。
複数股は法律違反ではないが、倫理的にはアウトとされることが多いだろう。
もしかしたらそれが問題視され、事が大きくなったら、俺が日本代表を追放される可能性もある。
しかしその時までにアビーネ監督の問題を通じて問題提起しておけば、世論の風潮を変えることができるかもしれない。
俺が世論に、そして日本サッカー連盟に主張したい事。
それは
「裁判で有罪になったわけでもないのに代表から追放するのか?」
という考え方だ。
世論やスポンサーは日本代表にクリーンであることを常に求める。
それは当然だ。
アビーネ監督の問題における日本サッカー連盟の判断もその圧力に屈した部分もあるだろう。
複数股について言えば、既婚者の不倫なら法律問題になることもある。
だが俺は今のところ結婚するつもりはない。
未婚である俺の複数股が発覚したとして、誰がどんな基準に則って裁くというのだろう。
どこからが汚くてどこからがクリーンなのか。
明確な基準もないまま、人は簡単に追放されてしまう。
それはクリーンな社会なのだろうか?
さぁ、俺のアビーネ監督を擁護する場合のミッション。
それはアビーネ監督の問題について、推定無罪の原則を日本サッカー連盟と世間に浸透させることだ。
そうすることで将来起こりうる俺の複数股問題にも影響を及ぼす事ができるかもしれない。
とまぁアビーネ監督の今後について考えることはこんなところか。
まずはアビーネジャパンの初戦ウルグアイ戦に向けて準備を進めよう。