ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜   作:クズ吉

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神田茉那視点です。


第89話 幼なじみの妹の進路part2

 2014年9月 愛知県

 

 大雅お兄ちゃんに進路相談をして1週間が経った。

 

 大雅お兄ちゃんに宣言した通り、この1週間自分と向き合ってやりたい事、行きたい場所、就きたい仕事をノートに書き留めている。

 

 しかし意気揚々として大雅お兄ちゃんの家から帰ってきたはいいものの、進捗はあまり良くなかった。

 

 今週は大雅お兄ちゃんは遠征に行くので会えないと言ってたから、次に会う時まで時間が増えたのが逆にラッキーだ。

 

 大雅お兄ちゃんの側にいたい。

 

 それは確かに私のやりたい事である。

 

 ヨーロッパにも行きたい。

 

 だけど私はヨーロッパで何をして生きていくのか。

 

 インターネットで調べたけど外国人である私がヨーロッパで働くには高いハードルがあるようだ。

 

 そもそもヨーロッパってなんだ。大雅お兄ちゃんはヨーロッパのどの国へ行くんだ?

 

 それによって覚えなきゃいけない言語も変わってしまうではないか。

 

 とりあえず英語は頑張ってるけど…

 

 大雅お兄ちゃんが言っていた「お金を稼ぐ事から考えてみたら」というアドバイスもよく分からない。

 

 特に得意なこともなく、やりたい事も好きな人についていく事くらいしかない私がどうやってお金を稼ぐのか。 

 

 大雅お兄ちゃんの言ってたように、高校ではアルバイトする時間を作って働きまくるのがいいのかな。

 

 大雅お兄ちゃんはサッカーが得意で、やりたいこともサッカーで、お金を稼ぐ方法もサッカー。

 

 進路に悩む私にとって彼は心底羨ましい。私も大雅お兄ちゃんのサッカーみたいなものと出会えたらいいのに。

 

 中学で始めたバスケは一生懸命頑張ってるけどレギュラークラスにすらなれない。

 

 勉強はお姉ちゃんから教えてもらって出来る方だけどすぐにはお金につながらない。

 

 漫画は好きだけど漫画家になりたいわけじゃない。

 

 「はぁ…私って何もないなぁ」

 

 コンコン

 

 自室のドアをノックする音が聞こえる。

 

 「茉那、ご飯だってー」

 

 「はーい」

 

 お姉ちゃんが夕食の時間を告げに来たので一緒に一階に降りていく。

 

 

 ・・・・・・・・

 

 「今日はアジフライかぁ〜。おいしそー」

 

 「「「「いただきまーす」」」」

 

 家族4人で食卓を囲む。私の家ではテレビを見ながら今日あったことなどを話す時間だ。

 

 「茉那は今日もやりたい事探し?」

 

 お母さんが聞いてくる。

 

 「うん、全然進まないけど」

 

 「やっぱりピアノとかなんか習い事やらせてあげたらよかったのかな〜」

 

 お母さんは最近やりたい事がないという私にこんな事を言う。

 

 私の家は共働きだから別に貧乏というわけではない。

 

 だから小さな頃に習い事の体験会にもいくつか行かせてもらった。

 

 だけど幼少期の私は習い事に行くことをいやがったのだそうだ。

 

 うーん。幼少期とはいえなんてもったいないことをしたんだろうか。

 

 何か幼少期の頃から続けていれば得意なことも簡単に見つかったかもしれないのに。

 

 「別にやりたい事なんてこれから見つければいいんだよ。まだ中2なんだし」

 

 お父さんが励ましてくれる。

 

 「そうだよ。私も高1だけどゲームくらいしかやりたい事なんてないよ?」

 

 お姉ちゃんもそれに続いた。

 

 しかし大雅お兄ちゃんの側にいたいという欲求がどうしても私を急かす。

 

 彼は生きるスピードが速いのだ。そのスピードに私もついていきたい。

 

 それに大雅お兄ちゃんのお母さんが言っていた女の子のタイムリミット。

 

 もし私がヨーロッパに行くなら早いうちに決断して準備しないとあっという間に30歳を迎えてしまう。

 

 「ん〜それは分かってるんだけどさー」

 

 ふとテレビの方を見る。

 

 今ついているテレビのチャンネルでは海外で働く日本人を紹介する番組が放送されていた。

 

 「今日はドイツのデュッセルドルフに来ました!日本食レストランの経営者の方にお話を伺います!どうしてドイツで日本食レストランを始められたんですか?」

 

 「元々ヨーロッパに住む事に憧れがあったんですが、中々職が見つからなくて。自分に何が出来るか考え抜いた末に、日本食を提供する事なら日本人としての強みを活かせると思ったんです」

 

 「料理には自信があったんですね?」

 

 「いえ!学校の家庭科の授業くらいしか料理の経験がなくて日本でイチから修行しました!」

 

 日本食レストランねぇ。日本食かぁ…。たしかなんちゃら遺産に登録されたとかニュースで前にやってたよね。 

 

 ん?ちょっと待って!!

 

 「これだ!」

 

 「どうしたの急に」

 

 「…いや、何でもない」

 

 私はご飯を急いで食べてパソコンのあるお父さんの部屋に向かう。

 

 「料理…高校…愛知県」

 

 私はパソコンで気になったワードをインターネット検索する。

 

 調理師免許が取れる公立高校が1校ある!交通アクセスは…

 

 十分通える範囲!

 

 「ふふっ、ふふふ」

 

 調理師になって数年日本で修行したらヨーロッパにいく。そして大雅お兄ちゃんの専属料理人になるのだ。

 

 毎日美味しい料理を大雅お兄ちゃんに作ってあげて美味しいと言ってもらう。

 

 想像しただけでなんて幸せなんだろう。

 

 大雅お兄ちゃんは以前結婚はしないと言っていたけど、毎日料理を作ってあげるならそれはもう奥さんじゃないかな。

 

 よーし、これなら大雅お兄ちゃんの側にいられる!

 

 「完璧だ…」

 

 この日私は自分の人生が回りだした気がして興奮でなかなか寝付けなかった。

 

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