ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
試合が始まる前にピッチで宮原選手から話しかけられた。
「大雅、今日は絶対俺達が勝つから」
実は宮原選手とは4月の日本代表候補合宿で一緒になって少し話したことがある。
その時は確か新人の俺が得点を量産していることを褒めてくれたな。
イケメンのいい兄ちゃんって感じだ。しかし…
「いや俺達が勝って、ブロッサムを降格圏に落とすんで覚悟しといてください」
「おい、言ったな」
「言いましたよ」
俺は宮原選手とバチバチと火花を散らすように睨み合う。
俺は前世ブサイクだった事からイケメンの選手を見るとつい対抗心を燃やしてしまうのだ。
そもそもイケメンサッカー選手は存在そのものが罪である。
基本プロサッカー選手というのはそれだけで女性にモテる。
そこにイケメンという要素が加われば、桁違いの「モテ」を享受する事となる。
俺は前世でブサイクサッカー選手として生き、イケメンサッカー選手とのモテ格差をこれでもかと感じた。
その時感じた悔しさは今もなお怨念として俺の中に生きている。
ブロッサム大阪は宮原選手をはじめとしてイケメン揃いのチーム。
彼らを屈服させなきゃ俺の気がすまない。
彼らに勝利することは前世の俺への供養となるのだ!
ピーッ!
試合開始の笛が鳴る。
Nリーグ第25節
ブロッサム大阪VS名古屋アハト
KICK OFF!
名古屋ボールで始まる。
今日のフォーメーションはスタートから4-3-3だ。
俺のポジションは変わらず右WG。
さぁ今日もゴールアシスト記録を伸ばして勝利するぞ!
・・・・・・・・
前半10分頃
名古屋の攻撃。ブロッサム大阪は4-4-2のブロックを組んで守備する。
名古屋右SB八木から右サイドのタッチラインギリギリに張った俺にボールが渡った。
ここは…
俺のドリブルの見せ所だな!
俺は細かいドリブルで前進すると、カットイン!と見せかけて縦への突破を図る!
ゴールラインギリギリのところまで右サイドを抉ると、クロスを入れる!
ボンッ!
バシッ!
相手左SBが後ろから追いつきボールを外に掻き出す!
名古屋ボールのコーナーキックだ。
セットプレーになるなら全然OK、俺達名古屋の空中戦は圧倒的強さを誇る。
名古屋の高身長組がぞろぞろとペナルティエリア内に入ってくる。
ピーッ!
右IH八尾がコーナーキックを蹴る!
ボンッ!
中央にカーブがかかったクロスが供給される!
ボールに合わせたのは…
ボンッ!
CBのキャプテン高尾だ!ヘディングシュートを放つ!
しかしこのシュートはゴールの枠の外。相手ゴールキックとなる。
・・・・・・
前半25分頃
ブロッサム大阪の攻撃をDMFダミスコムがパスカットして名古屋のカウンターだ。
ダミスコムは左WGハヤブサ成田にロングパスを送る!
ボンッ!
少し長すぎるパスかと思いきやゴールラインギリギリでハヤブサ成田はボールに追いつく!
成田はその勢いのままにゴールに向かって角度を作るようにカットイン!
シュートを放つ!
ボンッ!
バシッ!
このシュートはブロッサム大阪守護神キンが目一杯手を伸ばしてシュートストップ!
コーナーキックへと逃れた。
またしても名古屋アハトのコーナーキック。じわじわと相手ゴールへと迫る。
ボンッ!
右IH八尾がコーナーエリアからクロスを放つ!
今度はペナルティエリア中央のCFケリーに向かっている!
ボンッ!
ケリーが相手DFとの競り合いに勝利し、ヘディングシュートを放つ!
このシュートはわずかにゴールの枠の上。ブロッサム大阪のゴールキックとなる。
・・・・・・
前半35分頃
ここまで名古屋アハトがほとんど攻め続けている。
今回も名古屋MFから俺にボールが渡る。そろそろゴールを奪わないとな!
俺は相手DFと対峙した所から、右サイドからカットインで中央に侵入する!
ポストプレーをするCFケリーとワン・ツーパスを交わしペナルティエリア内へと向かう!
ドンッ!
いてっ!
ピーッ!
ペナルティエリアに入る前に相手DFに体ごとブロックされてしまった。
でもペナルティエリア外ではあるが至近距離でのフリーキックを獲得した。
おまけに相手DFはイエローカードを提示されている。
「大雅いくか?」
立ち上がった後ボールをセットしていると、高尾キャプテンが俺に話しかけてくる。
「いかせてください」
最近直接フリーキックを狙える距離においてはチームメンバーは俺にキッカーを任せてくれる。
ピーッ!
主審が試合再開の笛を鳴らす。
俺は助走をつけて…左足でカーブシュートを放つ!
ボンッ!
ガンッ!
俺の放ったシュートは曲がりきらずゴールポストに当たって跳ね返る!
ボンッ!
跳ね返ったボールをハヤブサ成田が回収、シュートを放つ!
バシッ!
ブロッサム大阪GKキンがまた止めた!名古屋ボールのコーナーキックとなる。
今度こそ仕留めるぞ!
ボンッ!
右IH八尾のクロス!
ボールが向かう先は…
俺だぁ!
ボンッ!
俺はヘディングシュートを放った。
カ゚シッ!
このボールはGK正面に飛び、しっかりキャッチされてしまった。
「クソっ!」
攻めているのに点が取れない。フラストレーションが溜まる試合だ。
・・・・・・
前半40分頃
名古屋DFがファールを犯し、名古屋ゴールから見て左斜め45m程の位置からフリーキック。
キッカーはブロッサム大阪のボランチ柳下。
ボンッ!
ロングパスをペナルティーエリア内に送る!
ボンッ!
合わせたのは砂森!長身FWがジャンプして…
シュートじゃない!折り返しのパスだ!
ボンッ!
ボールが行く先にはボレーシュートを放つ宮原の姿があった。
パサッ!
GOAL!
ブロッサム大阪1-0名古屋
キャァァァ!ウオオオオ!ワアアアア!
一斉に歓喜に沸く長居陸上競技場!
宮原選手はコーナーエリアに向かってガッツポーズをしながら走り出す。そこへ後ろから次々とチームメイトが祝福する!
おいおい、俺達がずっと攻めてただろ?
俺は一方的に名古屋が攻めていた前半に生まれた初めてのゴールがブロッサム大阪のものであることに驚く。
サッカーとは油断ならないものだと前世から何度も心に刻んでも、このような試合展開には慣れないものだ。
「切り替えるぞ!顔上げろ!」
いつものように高尾キャプテンが喝を入れてくれる。
最後に宮原選手のゴールパフォーマンスを見てから、試合再開のため俺はセンターサークルへ向かう。
宮原選手が喝采を浴びる姿を見ると、どうしてもテレビの前で日本代表である彼に嫉妬していた前世の自分を思い出す。
負けてたまるものか。ぐつぐつと煮えたぎる前世の怨念。
試合開始前よりもそれが大きくなるのを俺は感じた。
・・・・・・・・
ピッ、ピーッ!
前半終了の笛が鳴る。スコアは…
ブロッサム大阪1-0名古屋
前半のうちには追いつきたいところだったが、うまくいかず。
俺は宮原選手の方を見る。彼はひとまず安心した顔をしていた。
彼を絶望させたいという欲望が心の中に渦巻く。
待っていろ後半必ず逆転してやる!