ブサイク得点王だった俺、最強スペックでサッカー人生やり直し〜今度こそ美女も世界一もすべてを奪い取る〜 作:クズ吉
ハーフタイム
後半開始前にロッカールームにて高尾キャプテンが選手達を鼓舞する。
「クリーンシートはまたしてもおあずけだが、まずは追いつくことに集中しよう!俺達はここから逆転する力を十分に持っている!勝とう!絶対に勝って優勝に向かってまた一歩前に進もう!いくぞ!」
「「オウ!!」」
・・・・・・・・
ロッカールームからピッチに向かう。その途中で二階堂監督から話しかけられた。
「大雅、ちょっと今日は力入りすぎじゃないか?」
「…です」
「え?」
「絶対に負けられないんです。ブロッサムには」
二階堂監督、昔から大層おモテになったらしいあなたにはきっと分からない。
持たざる者の気持ちが、いやモテざる者の気持ちが!!
でもこれは完全に俺の内なる魂の戦いだ。イケメンが憎いなんて口に出すことはしない。
「分かった。勝ってこい。お前のゴールで」
それでも俺の強い覚悟を感じ取ったのだろう。二階堂監督は信頼して俺を送り出してくれる。
「はい!いってきます!」
俺はピッチに向かって駆け出した。
・・・・・・・・
ピーッ!
ブロッサム大阪VS名古屋アハト
後半KICK OFF!
ブロッサムボールで始まる。後ろにボールを下げるブロッサムに対して名古屋は積極的なチェイシングをかける!
ボンッ!
ブロッサムGKキンが前線にロングボールを蹴った。
・・・・・・・・
後半10分頃
右SB八木から右サイドタッチライン際に張った俺にパス。
俺に期待されているのはもちろんドリブル突破だ。
細かいドリブルで相手DFの出方を様子見しながら徐々に前進していく。
相手DFは俺に食いつくと一気に抜かれる事を知っているので、ジリジリと後退していく守備をする。
だがそんなものは俺には関係ない。ボールを縦方向に長く蹴って…
一気に加速!
クロスを上げる姿勢を見せる!
すかさず相手DFがスライディングでブロックしに来るので、俺は相手ゴールラインと反対方向に切り返す!
相手DFをかわした俺は左足で密集したペナルティエリア内にクロスを入れる!
ボンッ!
ボールが向かう先には…
CFケリーがいる!
ボンッ!
ケリーのヘディングシュート!
角度を変えてゴール左隅に放ったシュートは…
カンッ!
ゴールポストに当たり…
ボンッ!
相手DFにクリアされてしまった。
ケリーは天を仰いで悔しがっている。
「続けよう!ケリー!」
俺はケリーに声をかける。
「ああ、次は決める」
ケリーは闘志あふれる目でそれに応えた。
・・・・・・・・
後半30分頃
ブロッサム大阪の攻撃。
ボランチ大瓦が左SBからボールをもらい、サイドチェンジのため右SH宮原にロングパスを送る!
このボールは名古屋左SB堀井がヘディングでボールをカット!左WGハヤブサ成田にボールが渡る。
成田は左IH立木とワン・ツーパスを交わすと左サイドを駆け上がる!
そして敵陣左サイドから成田はアーリークロスを入れた!
ボンッ!
合わせたのはケリーだ!スライディングでゴール右隅にコントロールされたシュートを放つ!
パサッ!
GOAL!
ブロッサム大阪1-1名古屋
キャァァァ! アアアァ…
ブロッサム大阪のホームスタジアムに、ブロッサム大阪サポーターの悲鳴と落胆の声が響き渡る。
ウオオオオ! イエェェェーイ!
一方で名古屋サポーターは長い時間耐えていた分、大きな喜びを爆発させる!
ケリーはゴールパフォーマンスはせずに、すぐさまボールを持ってセンターサークルに向かった。
俺は走ってケリーの横に並び、ハイタッチをして祝福をする。
「ナイスゴール!ケリー!」
「絶対に勝つぞ今日も。タイガーもゴール決めてくれ」
「うん、決めるよ。絶対に勝とう!」
・・・・・・・・
後半40分頃
ブロッサム大阪はFWにフォグマンを入れてきた。
敵陣左サイドから名古屋ボールのスローインで再開。
左SB堀井は左CB高尾にボールを投げ入れる!
高尾から右CB陸奥、右SB八木とボールが渡り、八木は右サイドに張った俺にパスをする。
俺はマークについた相手DFを一人剥がして中央に切り込むドリブル!
相手ボランチの大瓦もチェックに来るが、自慢の体幹でドリブルキープ。
そして左サイドにいる左WGハヤブサ成田にパスを送り、俺自身はボックス内へと向かう!
成田と相手DFの攻防は左SB堀井のオーバーラップにより均衡が崩れる!
成田が追い越した堀井にスルーパスを送り、堀井はボックス中央に高いクロスを放った!
ボンッ!
そのクロスに合わせたのは俺だ。
放ったヘディングシュートは…
パサッ…
相手GKキンが触れないゴール右隅へと決まった。
GOAL!
ブロッサム大阪1-2名古屋
ウオオオオ! ワアアアア!
アウェイチームの名古屋サポーターが歓声を上げる!
キャァァァ! アァァ!
ホームチームのブロッサム大阪サポーターは逆転されたことを残念がっている!
ああ、このブロ女の悲鳴が聞きたかった!
「よっしゃー!」
「ナイス大雅!」
「このまま勝つぞ!」
「よくやったタイガー!」
コーナーエリア付近で膝スラタイガーポーズを決めた俺の下に次々とチームメイトが集まってくる!
一方でブロッサム大阪の選手達の方を見ると項垂れている。
よし、後は試合を締めるだけ!
・・・・・・・・
後半45分頃
ブロッサム大阪の攻撃。
右サイドで右SH宮原のドリブルの仕掛けからFWフォグマンとのワンツーパス。
宮原のミドルシュート!
ボンッ!
バシッ!
名古屋守護神長嶋がボールを弾いた!しかしその先には…
ボンッ!
FWフォグマンが詰めている!
パサッ!
ボールがゴールネットを揺らす。
ピーッ!
オフサイド!フォグマンのオフサイドだ!
ふぅ…危ない。
・・・・・・・・
ピッ、ピッ、ピー!
試合終了。
最終スコアは…
ブロッサム大阪1-2名古屋アハト
なんとか勝利を収める事ができた。
試合後俺は近くにいる相手選手と握手をしていく。
そして宮原選手に挨拶する番が来た。
「宮原さん!」
「あぁ大雅…」
ガシッ
俺と宮原選手は固く握手をする。
「ブロッサムの1点目、やられました」
「先制したのは良かったけど、結局逆転されちゃ意味ないわ」
宮原選手は悔しそうな表情だ。
「また次があったら今度こそ絶対に勝つ」
「そのためにはまず降格争いから脱しないとですね」
「ふっ、分かっとるわこのボケ!」
宮原選手は笑いながら俺の頭をポカっと軽く殴る。
「いてっ!」
「お前すげー生意気だな。いつもそんなんなの?」
「いや、宮原さんには対抗意識があるんでわざと毒づいてます」
「ふーん…まあええわ。それを聞いて悪い気はしない。じゃあ来年もN1で戦おう」
そう言って宮原選手と俺は別れた。
「大雅、サポーターに挨拶いくぞ!」
高尾キャプテンと皆で一緒にサポーターに挨拶をする。
キャー!!タイガクーン!! タイガクーン!!
アウェイゲームにわざわざ来てくれた名古屋サポーターの中には、俺の個人ファンである女性達が大量にいる。
いわゆる『タイガール』というやつだ。
お〜なごや〜
もちろん純粋な名古屋アハトサポーターも多くいるけど、野太い声に負けじとキャーキャーと黄色い声援が飛び交う。
そんな熱狂するスタンドを改めて見て俺はふと冷静になった。
女性達に人気なブロッサム大阪のイケメン選手達を、俺は試合で屈服させようと意気込んでいたが…
タイガクーン!!コッチミテー!!
あっ、あの子可愛い。
俺が視線を向けるだけで…
ネエネエ!!コッチミタヨ!!
キャ〜カッコいい〜!
タイガール達はアイドルでも見るかのように喜ぶ。
俺は…俺はいつの間にか彼らと同じ立場に立っている。
いや、よくよく考えれば、彼ら以上の人気を俺は得ている。
俺は16歳にしてW杯得点王。
超絶イケメン高身長男子。
知名度は全国、世界級。
ものすごくモテる。
なーんだ。ブロッサム大阪のイケメン選手達を目の敵にすることなんて必要なかったじゃないか。
前世でモテなかったからなんだ。
もう前世の容姿を嘆く事も前世のモテ格差を僻む事も今日で終わりにしようか。
俺は既に持たざる者でもモテざる者でもないのだ。
今俺は最高にモテている。
それでいい。
いや、それを謳歌しなきゃ勿体ないじゃないか。