Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜 作:パンダ三十六か条
【メラルー視点】
どうしてこうなった。メラ蔵は頭を抱えてうな垂れていた。
メラ蔵は転生者だ。元々彼は格闘技の観戦が趣味な学生に過ぎなかった。だが、ある日試合観戦に行こうとしてバスに轢かれて死に、メラルーに転生した。
彼の転生してからの日々は地獄だった。メラルーは可愛らしい猫の姿をしているのに、その内面はドス黒い悪鬼のものだった。メラ蔵のような子供メラルーは生まれてすぐに戦わされ、家畜のように働かされた。何人もの子供達が生まれてすぐに死んでいった。メラ蔵が死ななかったのも、鑑定の能力で木の実が食べれるか否かを判断したり、アイテムボックスにこっそり自分の分の食料を隠したりできたからだ。もし彼が能力をもっていなかったら、すぐに死んでいただろう。
そんな生活を繰り広げていたある日、メラ蔵は人間達とあった。彼は思った。アイルー達のように人間と暮らそう。そうすればこんな苦しい生活をしなくて済むはずだ。そう思って彼は人間に近づいた。
その結果、彼は人間から殺されかけた。
侮蔑の視線を向けられながら、怒号をぶつけられながら、彼は殴られ、蹴られた。飛び散った血が汚いと言われ、ブーツの底を体に擦り付けられた。ボールのように蹴飛ばされた。
まあそれも当然だ。人間達から見てメラルーは、荷物を盗んだりイタズラしてきたりと、かなり迷惑なモンスターだ。ハンターは狩猟中によく苦しめられるわけだから、腹が立つのもしょうがない。
だが、そんな事も知らないメラ蔵は激怒した。コイツらは最低だと決めつけて、殺意すら覚えた。
彼は人間を憎み、羨ましがった。自分とは違い幸せを手に入れた人間を。そして、彼らから全てを奪う事を誓った。彼らの幸福を、栄光を、地位を、名誉を、技を、女を、全て手に入れると。
そして、彼はその日の晩、
それから彼は群を支配した。存在進化した彼にとって、村の面子はもはや敵では無かった。群のボスを殺して実権を握ると、兵を率いて人間の商人達を襲うようになった。
人間を殺し、手に入れたアイテムで群の力を強化する。回復アイテムや爆弾を使ってボスモンスターを殺し、武器や服を分析して作り方を学ぶ。食べ物の備蓄を増やし、群を大きくしていく。戦力をジワジワと拡大し、人間達へ歯向かえる組織を作る事を目標に、彼らは努力した。
そして今、彼らの群は壊滅寸前だった。
彼らの群へ襲撃が起こったのは、突然だった。なぜか群に帰ってこないメラルーがいたので、念のため見張りを設置し安心していたその夜。彼の群に毒煙玉が投げ込まれた。
毒ガス。洞窟で暮らす彼らにとって、毒ガスというのはとても恐ろしい兵器だった。それに気づいた何人かは慌てて洞窟から脱出しようとした。しかし、出ようとした瞬間炎が巻き起こり、彼らは一瞬にして煤になった。そして、その炎のせいで俺たちは毒ガスの満ちた空間に閉じ込められた。
そこから先は地獄絵図だった。巣の中に投げ込まれた大量の煙玉達によって、何人もの奴が死んだ。肌が溶けてのたうち回る奴。意識を失って倒れる奴。体を痙攣させている奴。錯乱して味方を攻撃し始める奴。恐ろしい事に玉は向こうからは見えないはずの俺たちに正確にぶつかってきた。何人ものメラルーが、一人ずつ順番に殺されていった。
メラ蔵は怖くなって逃げ出した。このままここに居たら死ぬ。まずは状況を立て直そう。俺は戦闘に参加していない者達を連れて、洞窟の奥の保管庫に避難した。全員で入った後、中の荷物を全部入り口の前に置いて入れないようにした。
これで、後はしばらく立て籠もろう。恐らく襲撃者は毒が消えた後に俺達が死んだかを確認するために洞窟へ入ってくるはず。そこを狙うんだ。
メラ蔵は息を潜めて機会を待った。待ちながら、吸ってしまった毒を解毒するため保管庫の中にあった解毒薬をあおって一息つく。乾いた喉が潤され、身体に水分が染み渡る。しかし、どうしても倦怠感が無くならなかった。
いつの間にか、外から音が聞こえなくなっていた。メラルー達の叫び声も悲鳴も、苦痛の声も、何もかも音は消えて静まり帰っていた。
「メラ蔵さん、いったいどうなるのでしょうか……」
メラ蔵に話しかけてきたのは、同じ群の雌だった。名前は確か……メラ子とかいうはず。
「心配するな、きっと助かる。今は落ち着いて助けを待つんだ」
メラ蔵はそう言ってメラ子を落ち着かせた。今はそんな気休めしか言えなかった。
ガンッ
その時、ドアの方から音がした。
ガンッ ガンッ ガンッ
外から誰かがドアを叩く音が聞こえる。どうやら鈍器のような物を使ってノックをしているらしい。毒ガスが撒かれてからしばらく時間は立っているから、もう既に動けるメラルーはいないはずなのに。
「……おいお前ら! 荷物を抑えろ! 敵が外に……」
その瞬間、置かれていた荷物が吹っ飛んだ。
ドアがこちらに向かって飛んできて、壁に当たって落ちる。飛んできた鉄板製のドアはひしゃげていて、真ん中が肉球の形に凹んでいた。
ドアの向こうにいたのは、悪魔だった。大きさは俺と同じくらいなのに、身体は赤い鱗で覆われている。頭からは角を生やしていて、その目は飢えた獣のようにギラギラしていた。
メラ蔵はそいつと目があった瞬間気づいた。今、自分は死ぬんだと。恐怖に呑まれながら、絶望しながら、彼は狂ったように叫んでその赤い悪魔に飛びかかった。
・因果応報、という言葉があります。
・弱肉強食、という言葉があります。
・悪魔と出会ってしまった彼の、ご冥福を祈りましょう。
【ギィギ視点】
「くちゅ……くちゅ……」
うへへへ、やっぱりポポの血は美味しいなあ。栄養たっぷりで濃厚。ここで取れる獣で1番のうまさだね。ゴクゴクゴクっと。ん? もう空っぽになった。 チッ、やっぱり子供のポポだと血が少ないな。
いっぱい血をすってカラカラになったポポを放り出すと、口からゲップを出す。あーもう。まだお腹ペコペコだよ。もう一体捕まえてこよーっと。
僕の名前は
いやー、生まれた時はびっくりしちゃったなあ。朝起きたら冷たいニチャニチャした物の中にいて、自分の周りでデッカい芋虫みたいな物が動いてたんだもん。そんで慌ててそこから転がり出たら、周りに自分と同じくらいのサイズの深海魚みたいな生き物がいたんだよ。思わず悲鳴を上げそうになっちゃった。
周りを見渡したけど、周り全部囲まれていて逃げ場がない。それで、「もう駄目だ!」って思ったのに周りの奴らは全然こっちを見向きもしなかった。
それで、「あれー?」って思って自分の体も周りと同じになってるんだもん。その時はまた驚いちゃったね!
いやあ、ネット小説でよく見てたけど、まさか自分が転生するなんて思ってもみなかったよ。しかもギィギにさ。最初は「夢かな?」って思ったんだけど、時間が経つにつれてこれは本当なんだって実感したんだ。
ちなみに転生特典もあった。寄生した相手を支配する力で、僕は【寄生支配】と呼んでいる。これを使うと獲物を動けなくする事ができるだよねー。
他にもギィギとしての能力もいくつか持ってるし、相手モンスターに関する知識もある。僕tueeee!
だけど1つだけ不満があるとすれば、せっかくの異世界転生なのに女の子がいないんだよね……。俺tueeeeにハーレムはつきものだろう? ちゃんとしてよ神様。
あー、女の子との出会いが欲しいなあ……。
……あ、またポポがいた。今日はついてるなあ。いただきまーす!
んー、なんかポポを食べたら眠たくなっちゃったな……。
【レベルが規定値を突破しました。
特殊条件《特異行動》《欲望過多》をクリアしているため、【
【
《YES》 《NO》】
んー? 何これ? よく分からないけど、ギギネブラになれるなら《YES》で。
【章雄は特定階位まで【
【章雄は【
【真名・
【インキュバスは
【インキュバスは
【インキュバスは
【インキュバスは特定条件種、特定指定個体をクリアしている為、※※※から
【エラーが検出されました】
【五つの特殊能力スペシャルスキルの内、解放条件を満たしていないモノが二つあります】
【未解放である二つの特殊能力スペシャルスキルは解放条件をクリア次第、順次解放されるようになりました】
【インキュバスは【
【インキュバスは【
【インキュバスは【
【
【
・これは本編より少し前の出来事です。
・この後、凍土で女性ハンターの謎の行方不明事件が多発。ハンター協会は調査を行ったが、原因不明。
・凍土に行く際は男だけで行く事をお勧めします。
【???視点】
「な、なんてこった……」
俺は画面を見ながら絶望していた。そこにあった結果は、俺の心に大きな衝撃を与える内容だった。
リオレウス、脱落。
今回の実験の本命馬とまで言われたリオレウス。今回の戦いに置いて彼は種としての力も持つ能力も1番高かった。俺も皆も、彼が頂点に至るのだろうと思っていたのだ。
だが、彼は脱落してしまった。まさかの
いや、もうマジで……フザけんなよ! 俺の賭けた物返せよ! せっかく堅実にリオレウスを狙ったのに……。ダークホースのアイルーに賭ければ良かったなあ……。
7体の転生モンスターの争うこの戦い。それを監視する立場である俺達は、暇つぶしとして誰が1番となるかで賭けを行っている。俺はその中で人気トップだったリオレウスに賭けた。しかし、そのリオレウスは卵の状態でアイルーに喰われてしまい、脱落してしまった。
更にこれによりアイルーがリオレウスの能力を得て、一気に首位争いができる立場へと登ってきた。いくら【吸喰能力】を持つとはいえ、アイルーだから大した脅威にはならないと高を括っていたのに……。
……まあ、恐らくコイツは終盤で脱落するだろう。能力もイマイチ制御できてないし、戦闘経験も少ない。リオレウスの持つ能力のラーニングも不完全で、本来よりかなり性能ダウンしている。それに、コイツの能力は主人公の能力ってよりも、ラスボスが持つのに相応しい能力だ。
今回の実験に置いて人気No.2、身体性能はトップクラス、そして、まるで物語の主人公のような能力を持つ存在。あのジンオウガには、きっとコイツは勝てないだろうな。
・なにやら不穏な気配。
・物語の裏の誰かの話。
・賭け事はほどほどにしましょう。