Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜 作:パンダ三十六か条
28日目
今日は能力の使用実験をする事にした。
まず、【罠生成】。これは地面に罠を作り出す能力で、落とし穴や痺れ罠を作る事ができる。
次に、【爆薬生成】。これは【調合】によってできた爆薬を作る能力だ。衝撃を受けると爆発する【爆竹生成】に【火薬生成】と【爆裂】を合わせて火力を高めている。
この2つの能力を併用してできる物。それは地雷だ。
地雷は比較的安価で制作でき、解除にとても手間がかかる。何人もの人の命を奪った事から「悪魔の兵器」とまで言われている兵器だ。主に「対人用」「対戦車用」の2パターンの物が存在し、クレイモアやS-マインなどバリエーションも多い。
俺が今作ろうとしているのは対戦車地雷。強い重量を受けると爆発する、大型モンスター用の罠として使えそうな地雷だ。大型モンスターが乗らないと発動しない罠「痺れ罠」をベースに作る。
この世界はモンハンの世界とは違い、モンスターは決まった動きをするわけではない。それぞれの動きに癖があるし、自我を持っている。つまり、知能の高いモンスターなら、罠の存在も気づくし爆弾からも逃げるだろう。それなら隠密性高めの兵器を作る必要がある、と思ったのだ。
そして、試作品が完成。【情報簒奪の鑑定眼】で鑑定し、情報を閲覧する。この能力を作った時は【物品鑑定】に【簒奪】を【調合】したので、相手の情報を引き出し理解する能力が高まると共に人やモンスターに対しても使える優秀な能力となっていた。名称は【対大型獣用地雷罠】。サイズを大きめにして火薬をパンパンに詰めているので、隠密性と攻撃力の高い武器へとなっている。
満足のいく出来栄えになっているので、3個ほど製作しておいた。
次に、【温度操作】の性能実験をする事に。これは【発熱】と【冷却】を合わせてできた能力で、自分や相手の温度を自由に操る力だ。これは使う機会が無かったので、ラーニングした際にどのような能力は分かるのだが、どこまで効果があるのか分からない。なので、水とか葉っぱとか鉄とか虫とか、いろいろと準備した物を使って検証してみる事に。
その結果、操れる範囲は100度からマイナス20度ほどで、能力を他人に使うには相手に触れる必要がある。あと、生物に対して使うと生命活動に支障が出ない範囲に効果が限定される事が分かった。あまり攻撃面では使えなさそうだ。
だけど、温度変化を一瞬で行う事ができる、などのメリットもあった。水を一瞬で氷に変えて一瞬で蒸発させる、などの芸当も可能なようなので、食べ物の保存や加工には便利そうだ。
他にも、「【発射】が弾丸以外に使えるかどうか」、「【鷹の目】と【スコープ】の違いは何か」、「【■■■■】の効果は何なのか」などの実験をして、今日は終了した。
今日の能力調合結果
【鷹の目】+【スコープ】=【狙撃手の目】
29日目
今日は、アイルー達の木を伐採する作業を手伝った。どうやら住居やら何やらを新しく作るのに木材が必要らしい。
住居の木を鑑定してみると、「ユクモの若木」となっていた。なぜ若木なのか聞いてみたところ、大人アイルー曰くひ弱なアイルーが長距離の運搬を木を運搬するのは難しいらしく、そもそも大きな木は切り倒す事すら不可能らしい。
それなら俺が良い木を持ってきてやろう、という事で林へ向かう。近くのモンスターを倒しながら進む簡単な作業である。
……あ、どうして普通に近づけるのかというと、それは俺が山菜爺さんからラーニングした【職業・隠者】の影響だ。どうもこの職業習得している人の気配を察知し辛くするらしく、常に【隠れ身】を使用しているような状態になる。しかも【隠れ身】とは違いスタミナの使用も無い。かなり便利な職業だ。
辺りの木を鑑定して良いユクモの木を探し、良さそうな物を見つけたら確認をとって切り倒す。この木は加工しやすく、建築材にも装備にも家具にもなるのでたくさんあっても困らない。
しばらく森を散策していたら「ユクモの堅木」を発見したので、それを食べる。堅木は通常のユクモの木と比べて一際大きく堅かった事から察するに、ユクモの木が【存在進化】した末になる個体なのだろう。
『能力名【堅木】のラーニング完了』
『能力名【光合成】のラーニング完了』
『能力名【精霊の加護】のラーニング完了』
『能力名【精霊の気まぐれ】のラーニング完了』
『能力名【根を張る】のラーニング完了』
【堅木】はどうやら木を堅くする能力らしい。【蔦生成】で作った蔦を強靭にして、相手に突き刺したりするのが可能になった。
……何だか【蔦生成】かどんどん使える能力になっている気がする。元々は相手を拘束する縄代わりにしか使えなかったから、【蜘蛛の糸生成】の劣化版みたいな能力だったのに……。
伐採した木は【解体の心得】でちょうどいいサイズの木材にしてから居住区に運んだ。堅木はアイルー達に加工させるのは難しそうなので俺が持っておく事に。
今日の能力調合結果
【蔦生成】+【堅木】=【植物生成】
30日目
今日は、自分の毒やら油やらを瓶に詰める作業をする事にした。【猛竜毒生成】や【脂生成】、【秘薬の血潮】などの能力が揃った今、俺は体内で様々な薬品を作れるようになった。もしもの時の為、暇な時に作ってアイテムボックスに貯めておくに越した事はないだろう。
そうして、【ビン生成】で作った瓶に体液を注ぎ込んでいと、突然慌てて大人アイルー達が帰ってきた。何かあったのかと聞いてみたところ、どうやら
とりあえず、疲れている彼らに今作っていた元気ドリンコを飲ませた後、そのままドスファンゴの元へ向かった。
俺はドスファンゴのいる隣のエリアに行くと、【敵呼び】を使って吠える。これは角笛からラーニングした、声で周辺の敵の気をひく能力だ。
その瞬間、地響きのような足音を立てながら巨大なので猪が現れる。それこそがドスファンゴ。白い毛皮と左右非対称の牙が特徴的な、某映画の神様のようなモンスターだ。
ドスファンゴは俺に気づいた途端身構えると、俺に向かって勢いよく突進してきた。やはりブルファンゴの上の個体だけあり巨体なのに素早い。だが、その巨体が命取りだ。
俺はアイテムボックスから地雷をちょうどドスファンゴの足元に出した。
ドスファンゴの体が宙を舞う。
力強く踏みしめられて爆薬は、いとも簡単に数トンの肉の塊を吹っ飛ばした。何が起きたか分からなかったのだろう。ドスファンゴは間抜けな顔をしながら跳ね上がりそのまま地面に落下した。
ドスファンゴが悲鳴をあげる。見ると、右の前足が無くなっていた。今の衝撃でどうやら足が千切れたらしい。ゲームでは部位欠損しないはずの箇所が無くなった事に驚きながら、俺はゆっくりと目標に近づく。残った3本の足で懸命に立ち上がろうとするドスファンゴ。俺はその体を【植物生成】で作った木の槍で貫き、【猛竜毒投与】で作った麻痺毒と普通の毒を流し込んだ。
『能力名【激突】のラーニング完了』
『能力名【溜めの構え】のラーニング完了』
『能力名【牙の一撃】のラーニング完了』
『能力名【闘争心】のラーニング完了』
『能力名【左利き】のラーニング完了』
『能力名【持久力向上】のラーニング完了』
『能力名【グルメの鼻】のラーニング完了』
『能力名【生肉生成】のラーニング完了』
なぜか【左利き】という能力をラーニングした。どうやら左手を利き手のように使えるようになる能力らしい。うーん、微妙だ……。
まあ、【溜めの構え】とかの戦闘で使えそうな能力も手に入ったし、良しとしようか。
今日の能力調合結果
【突進】+【体当たり】+【激突】=【黒猫の突進】
【グルメの鼻】+【餌探し】=【
31日目
最近のボスモンスターラッシュはおかしい。さすがに多すぎやしないだろうか?
あの
ドスジャギィから始まりアオアシラ、ドスファンゴ、クルペッコ。リオレイアは元々ここにいたみたいだから除くとしても、もうすでに四体ものボスモンスターがここには来ている。はっきり言って多すぎだ。
なので、対策として地雷を渓流の外周に配置する事にした。ボスモンスターが通れそうな所には特に念入りに置いていく。
設置する地雷は昨日のドスファンゴ戦とは違い改良を加えている。爆発すると甲高い音が鳴る機巧で敵が来た事を知らせ、弾丸をばら撒く仕掛けで相手に余計にダメージを与え、ペイント弾によるマーキングも行う。まさしく侵入者を迎撃する事により特化した地雷だ。
他にも、猛毒煙玉やオイル玉など戦闘で使えそうな道具を幾つか作っておいた。どんな相手が来ても良いようにしっかり準備しておこう。
二章はあと3話で終わります。