Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜   作:パンダ三十六か条

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32日目〜34日目 嵐の前の静けさ

32日目

 

どうもリオレイアが最近イライラしているらしい。しきりに巣に近づく敵を追い払っているようで、エリア8の方には今誰もモンスターがいないようだ。

いつからなのか大人アイルー達に聞いてみたところ、だいたい1ヶ月前くらいかららしい。

 

……うん、これは完全に俺のせいだ。

大方、俺がレイアの卵を食った事に対して激怒しているんだろう。自分の子供を食われたら普通はブチ切れる。近くにいただけでクルペッコを半殺しにしていた事から察するに、そうとう怒っているはずだ。最近ではさらに厳しくなっているらしく、巣の近くに無残に殺されたジャギィの屍体があったとか。もしかしたら、リオレイアはまた卵を産もうとしてるのかもしれない。

また卵を産むのか。あの、一個食べただけで存在進化した卵を……。本当、美味しかったよなあアレ。

 

 

 

よし、リオレイア殺そう。

そのためには色々と必要なもの準備しないとね。

 

 

 

【外骨格着装】という能力がある。前にも話したが、これはRe:Monsterの原作でも出てきたパワードスーツとして働く外骨格を作り出して着装する能力だ。外骨格を作るには何かしらのモンスターの素材が必要となるので今までは使わずに放置していた。今はボスモンスターの素材がたくさんあるので、それらを元に作ってみようと思う。

 

アオアシラ達四体のボスの素材達。それぞれが長所を持っていて、どれも外骨格の素材として相応しい。だから今回はそれらの素材を【調合】して新しい素材を作る。堅いアオアシラの甲殻に複数の素材の性質を織り交ぜるのだ。

もちろん、かなり難しい行為だ。物をただ混ぜるのでは無く、完全に融合させるのはかなり難しい。ベースとして俺の血を加え、集中しながら事に臨む。

 

完成した素材は、「青竜獣の甲殻」という物だった。刃を通さないほどに堅く、火属性耐性が高い。合成する前と比べると、ワンランク上の素材になった。

できた素材を服を脱いでから【蜘蛛の糸生成】でペタペタ身体に貼り付けて、【外骨格着装】を発動させる。

 

その瞬間、俺の纏っていた装備が一瞬消えたかと思うと、身体が鎧に包まれていた。鎧の表面は青く染まっていて、ヒーローの戦闘服のような独特の光沢がある。フィット感抜群で身体の動きを阻害せず、あまり重さを感じさせない。更に、中が暑かったり蒸れたりすることもなかった。

 

 

【アビリティ【外骨格着装】

登録“1”[青竜獣の威光]の登録完了

登録“2”[  ]空き

登録“3”[  ]空き

登録“4”[  ]空き

登録“5”[  ]空き

残り“4”までフォームの登録が可能です。

何番を装着しますか?】

 

 

どうやらきちんと外骨格として登録されたらしい。これで使いたい時に出現させる事が可能になった。近接格闘でかなり役立つ能力なので、今回の戦いでは重宝しそうだ。

 

結構は明日の夜。それまではぐっすり眠るとしよう。

 

 

今日の能力調合結果

【黒猫の剛力】+【青熊の強靭な筋力】+【常時健康体】=【黒猫の強靭な肉体】

 

33日目

 

深夜、たっぷり睡眠を取り疲れをとった俺は行動を開始した。外骨格をつけて、【隠れ身】で気配を完全に消してからリオレイアの元へと向かう。

 

こんな時間なのにリオレイアは起きていた。どうやら寝ずに卵の番をするつもりらしい。俺は【素材玉生成】で閃光玉を作ると、相手に向かって投擲した。

リオレイアが悲鳴を上げる。それはそうだ。タダでさえ光には弱いのに、闇に目が慣れている時にそれを受けたらたまったものではない。俺は【鬼人化】で身体能力を上げながら一気に近づくと、【気絶攻撃】【剣打撃】【回転攻撃ホームラン】を発動。身体に拈りを加えながら思いっきり剣の腹をリオレイアの頭に叩きつける。【重撃無双】【黒猫の強靭な肉体】などの補正により、一瞬リオレイアの意識は刈り取られる。

更にそこに【連撃怒涛】【連斬】【猛竜毒投与】による麻痺毒の斬撃を重ねる。傷口から進入した麻痺毒はリオレイアに浸透し、どんどん身体の自由を奪っていく。

 

閃光・気絶・麻痺という弱点攻撃のラッシュ。それによりリオレイアには大きな隙ができる。

俺は【5属性攻撃】【雷属性攻撃】【龍属性攻撃】の3つを発動して雷・龍属性を武器にまとわせると、【広範囲攻撃】【4連突き】を発動。剣を振り下ろした瞬間に身体のあちこちに傷ができたかと思うと、その付近に重ねるようにそれぞれ3回ずつ傷跡が生まれる。

 

 

この程度じゃ足りない。陸の女王とまで呼ばれるリオレイアにはこの程度の攻撃じゃあ足りない。

 

 

俺は剣をしまうと【弾丸生成】【フルバースト】【竜撃砲】を発動。左腕が莫大な放熱を帯びて白く光るが、【体温調節】【温度操作】【氷属性攻撃】によりそれを抑える。

 

5連竜撃砲。

手から飛び出した5つの弾丸がリオレイアの身体に向かう。リオレイアは何とかそれを避けようとしたが、自分の後ろの卵に気づいて踏み止まってしまい、そのまま弾丸を受けて倒れた。

 

 

 

『能力名【爆焔の息(バーニングブレス)】のラーニング完了』

 

『能力名【強者の威圧】のラーニング完了』

 

『能力名【威圧する眼光】のラーニング完了』

 

『能力名【尾再生】のラーニング完了』

 

『能力名【尻尾の鞭】のラーニング完了』

 

『能力名【サマーソルト】のラーニング完了』

 

『能力名【滑空】のラーニング完了』

 

『能力名【拘束】のラーニング完了』

 

『能力名【豊穣な大地】のラーニング完了』

 

『能力名【ホバリング】のラーニング完了』

 

『能力名【大地の女王】のラーニング完了』

 

『能力名【女体化】のラーニング完了』

 

『能力名【禁欲者(ストイック)】のラーニング完了』

 

『能力名【異種族言語(ドラゴン・ランゲージ)】のラーニング完了』

 

『能力名【龍気脆弱】のラーニング完了』

 

『能力名【完全炎熱耐性(パーフェクト・トレランス・フレイム)】のラーニング完了』

 

『能力名【卵殻生成】のラーニング完了』

 

 

 

今日の能力調合結果

【竜尾攻撃】+【尾攻撃】+【尻尾の鞭】+【サマーソルト】=【黒き猫竜の尾攻撃】

 

【独り善狩りの勇者】+【群の長】+【獣の誇り】+【闘争心】+【禁欲者】=【誇り高き猫将軍(ドミニアリング・アイルージェネラル)

 

 

 

34日目

 

今日は特にやる事もないので皆と採取を久しぶりにした。最近素材が増えたおかげで、全員の装備が豊かになった。皆に優れた装備が与えられ、戦い方を身につけている。そのおかげで近づいて来た敵は近くにいたアイルーによってすぐさま屠られていた。

皆、それぞれ強くなっている。雌アイルーの中には存在進化した人もいたくらいだ。戦い方も、戦闘力も、何もかも1ヶ月前とは大違いだ。

もうここには俺にかなうモンスターもいないし、いつか皆でここを出て新天地に旅立つのもいいかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、爆音が渓流に轟いた。

慌てて音のした方向をみると、真っ黒な煙が上がっていた。火薬の焼ける匂いが、風に乗ってこちらまで流れてくる。

……地雷が爆発した? という事は、ボスモンスターが攻めてきたのか?

俺は様子を見に行こうとした。その瞬間だった。

 

 

「■■■■■■■■■■■■■‼︎」

 

 

叫び声が辺りに響き渡る。それは遠くで発せられた声だというのに、いまいる場所の大気をビリビリと揺らした。周りの何人かは、その声を聞いただけで皮膚に鳥肌が立っていた。

俺は慌ててアイルー達に居住区に帰るように指示をした後、敵の元へと走った。

 

 

 

 

よく考えるべきだったんだ。なんでここにモンスターが攻めてきたのかを。どうして陸の女王リオレイアがいたこの渓流に、ボスモンスターが集まってきたのかを。それはきっと、逃げてきたからだ。もっと強い奴の元から、彼らは逃げてきたのだ。

 

エリア5。木々に囲まれている暗いエリア。その奥深くにヤツはいた。緑と金の混ざった艶々した毛並みと、4足歩行の狼のようなフォルム。大きな体と、その頭にそびえ立つ二本の角。

 

ジンオウガ。モンスターハンター3rdにおいてメインの座を飾った、絶対的な王者がそこにいた。


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