Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜 作:パンダ三十六か条
振り下ろされた一撃。それは俺の頭をトマトのように潰した。鮮血が飛び散り、肉片が散らばる。脳を失った俺の身体はピクピク動いた後、やがて動かなくなった。
ジンオウガはそれを満足そうに眺めると、くるりと振り返ってそのまま帰っていった。
『ニャー郎は能力【並列思考】を手に入れた』
『ニャー郎は能力【不屈】を手に入れた』
……ふう、何とか助かった。
龍属性の雷撃。それにより俺は殺されかけた。尻尾は燃え尽きたし、足は切断されてもうボロボロ。だけど、そんな状況でも俺は諦めなかった。
俺は【悪知恵】を使って必死にどうすれば良いか考えを巡らした。逆境に陥れば陥るほど頭が回るこの能力で、俺はどうしたらいいのか考えた。
そして、最終的にこんな結論に至った。
身体が壊されたのなら、魂を身体から切り離して別のものに移してしまえば問題ない。
俺のスキルの中に、【女体化】というスキルがある。
このスキルは文字通り身体を女のものへと変化させる能力だ。それを利用する事で体の一部を女体化したり、逆に一部を残して全部雌の体にする事も可能である。
リオレイアから手に入れたが使い所が無さそうで放置していた能力だったが、今回俺はそれを使って身体を雌アイルーへと変えた。
そして俺はドスジャギィから手に入れた能力【孕ませる】を
この能力は自分の子供を使用した相手に孕ませるだけの能力だが、雌の個体は自分自身に使う事で「単為生殖」を行って自分と同一の個体を産むことができる。
まさか童貞卒業より妊娠が先になるとは……。人生何が起こるか分からないな。マリア様かよ、俺。
そして、俺はできた受精卵を【雑草の如き成長】や【急成長】で一気に赤ん坊へと成長させた。その途中でジンオウガに潰されそうになったが、何とか猫騙しで時間を稼いだ。
ある程度子供の身体も出来上がった所で、俺は全ての能力とエネルギーと自分の魂を身体から切り離して赤子へと【調合】。その結果魂の抜けた身体はそのまま力を失って潰された、というわけだ。
現在、俺の身体はスペックがかなり低下している。身体が小さくなっている事もあるが、何より種族が
元に戻るにはとにかく食うしかない。今の身体には全然エネルギーが足りてないので、とりあえず近くにあった俺の前の身体を食べる。いろいろと倫理観に反してる気がするが、今更だ。
『能力名【
『能力名【
……けぷっ、
身体がどうも小さすぎてあまり食えない。【大食漢】で消化スピードを速めて何とか捕食し、取り込んだエネルギーを元に【急成長】【雑草の如き成長】で身体を成長させる。
『能力名【竜殺しの刃尻尾】のラーニング完了』
『能力名【
『能力名【猫族の因子】のラーニング完了』
『能力名【飛竜族の因子】のラーニング完了』
『能力名【統率・猫(弱)】のラーニング完了』
『能力名【知性・小(弱)】のラーニング完了』
『能力名【引っ掻く】のラーニング完了』
『能力名【進化の種】のラーニング完了』
『能力名【同族殺し】のラーニング完了』
『能力名【共食い】のラーニング完了』
『能力名【職業・
『能力名【黒剛毛】のラーニング完了』
『能力名【貫穿の黒尻尾】のラーニング完了』
『能力名【統率・猫(中)】のラーニング完了』
『能力名【奇跡の種】のラーニング完了』
『能力名【統率・猫】のラーニング完了』
『能力名【庇護者】のラーニング完了』
『能力名【
何時間もかけて、肉体を全て腹に収める。これで大分エネルギーを取り戻す事ができた。今の身体にはアイルーにしては過剰な力が収まっているので、そろそろ存在進化もできるだろう。そのためには安全な場所を確保しなくてはならない。
居住区には帰らない。今の弱い状態では下剋上をされる危険があるし、それ以前にまず今の弱った状態を他人には見せたくなかった。なので、安全なエリア1に向かう事にした。
俺は焼けたエリア5を探索して能力を得られそうな物を食った後、そのままエリア1へと向かった。
『能力名【高級魚寄せ】のラーニング完了』
『能力名【菌床】のラーニング完了』
エリア1には誰の気配も無く、特に何かが置かれているわけでは無かった。ただ、近くに怪しい気配もなかったので、ここで存在進化することにした。
俺は【急成長】【尾再生】を発動する。それにより尻尾は伸びて枝分かれし、四方八方へと広がっていく。俺はその尻尾達を全身に絡めると、【調合】を使って全身を尾と融合。こうする事で【尾再生】で全身の傷を治せるようになるし、【黒き猫竜の尾攻撃】を使えば全身が凶器へと変わる。
更に俺は、ジンオウガとの戦いで手に入れた超電雷光虫を身体に調合して発電能力を獲得する。余った分は食べて能力のラーニングに使う。
『能力名【
『能力名【電気増幅】のラーニング完了』
『能力名【衝撃電気変換】のラーニング完了』
これで、肉体の改造は終了。存在進化すれば合成された物が身体と完全に融合するので、身体に組み込まれた尻尾の力も雷光虫の力もスムーズに使えるようになるだろう。
俺は周りに【植物生成】で檻のような物をつくると、その中で寝転んだ。よく眠れるように【羽毛生成】で作った羽毛をアイテムボックスに入ってた袋に詰めて即興で布団をつくり、身体の下に敷く。
俺は、ジンオウガに負けた。この身体に転生してから初めての敗北だった。それは俺のプライドに大きく傷を付けた。
今までの俺は完全に慢心していた。自分より大きなモンスター達に勝ち続けたことで調子にのっていたのだ。そのせいで明らかに勝て無いジンオウガに挑んでいき、盛大に負けた。
俺は転生前は特に長所もない平凡で友達も少ない存在だった。それでも今は強い力を手に入れたから、この世界では凄い奴になれると思ってた。だけど、『圧倒的な力』の前では俺はゴミにすぎなかった。
悔しかった。自分の誇りを簡単に覆されたことが。
この借りは絶対に返す。俺のプライドを打ち砕いた分、相手のプライドをズタズタにしてやる。
【レベルが規定値を突破しました。
特殊条件《大軍虐殺》《地主殺害》《戦力渇望》《万夫不当》《死線超越》をクリアしているため、【
【
《YES》《NO》】
だから今は、強くなるために前を見よう。食って、眠って、強くなろう。
俺は迷わず《YES》を選択し、そして寝た。
【ニャー郎は特定階位にまで【
【ニャー郎は【
【真名・
【ベヘモットは
【ベヘモットは
【ベヘモットは
【ベヘモットは特定条件種、特定条件行動、特定指定個体をクリアしている為、※※※から
【エラーが検出されました】
【五つの
【未解放である二つの
【ベヘモットは【
【ベヘモットは【
【ベヘモットは【
【
【
【深刻なエラーが発生しました】
【原因を特定しています……】
【原因を特定しています……】
【原因を特定しています……】
【原因を特定しました】
【能力【■■■■】が
【ベヘモットは【
【ベヘモットは【
【真名・
【ルシフェルは
【ルシフェルは
【ルシフェルは
【ルシフェルは【
【エラーが発生しました】
【エラーの解消の為、世界詩篇[過食猫人物語]を世界詩篇[尊大火竜物語]に統合します】
【ルシフェルは【
【詩編編集のため、世界詩篇[猫人晩餐物語]は一定時間凍結されます】
これにて、第2章完結です。
ここまで連載を続けられたのも皆様の感想や評価のおかげです。ありがとうございました。これからもRe:Nyansterをよろしくお願いします。