Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜 作:パンダ三十六か条
37日目
朝起きたら、俺の身体には毛布がかかっていた。
アイルーになってから俺は基本的に何もかけずに寝ていた。だから、このフワフワで暖かい感覚は久々だった。
周りを見渡すと、そこには人間達がいた。筋骨隆々な人や細身の男、剣を持った少女などとたくさんの人がいる。
状況から察するに、俺はどうやら人間に保護されたらしい。
どうやら彼らは、ハンターズギルドの調査員らしい。昨日このエリアで爆発音が発生したので、その調査に来たのだとか。
彼らの役目は、大きな調査機材などを運ぶ本隊の前に来て、キャンプ地を作成と事前調査を行う先行部隊。どうやらテントを張るためにハンター達が休憩場所とするこのエリアに来たら、俺を発見したらしい。
【異種族言語】のおかげでコミュニケーションをとるのは簡単だった。それに、人間の言葉を喋れたおかげで、自分を人間の所から逃げ出したアイルーだと誤魔化すこともできた。毛並みが存在進化で緑色になっていたのも誤魔化すのに一役かってくれた。
俺は彼らと行動を共にすることにした。久々に会えた人間だったし、おそらくこの機会を逃したら人間達と関わる機会が無くなる。彼らに頼み込んで、少なくとも人里には連れて行ってもらわなければ。
彼らには昨日強いモンスター同士の戦闘があったらしい、と言って、地雷が爆発した場所へ案内した。ついでに昨日俺が戦った場所にもよった。途中何体かジャギィが襲ってきたが、能力を大っぴらに使うわけにもいかないので、首の骨をへし折ってさっさと殺した。
俺が戦った場所は、あたり一面焼け野原になっていた。見ているだけで、昨日どれだけの激戦が行われていたのかが分かるくらいだ。調査隊の人達もかなり衝撃を受けたようだった。
この惨状は俺のしでかした事だし、俺がなんとかしなければいけないな。と、いうわけで【植物生成】【確率変動】【玉石混淆】を発動する。
【確率変動】。この能力はラーニングで得た能力ではないので、正直どんな物なのかよく分かっていない。だが一応原作にも出てきた能力なので、運勢を操る能力だという事は分かっている。これを使って【玉石混淆】の優れた物ができる確率を上昇させて、【植物生成】を使う。
そうしてできたいくつかの種を鑑定すると、なかなか凄い結果が出た。
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名称:【聡明なる堅木の種】
分類:【種子/木】
能力:【雑草の如き成長】【堅木】【知性・小(弱)】【草木統率】【侵食の根】【金属吸収】【毒素生成】
備考:強き猫の生み出した特殊な木。自然界には存在しない特殊な植物であり、他の植物を侵食して成長する。わずかではあるが思考能力を持つ。
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どうやら【庇護者】の影響で、俺の能力をいくつか獲得したらしい。俺の持ってない能力も手に入れていたので、一個だけ食べてあとはこっそり撒いた。
『能力名【草木統率】のラーニング完了』
『能力名【侵食】のラーニング完了』
夜になると、キャンプ地に戻って皆で焚き火を囲って食事をとった。久々の人工物はそこそこ美味しかった。その中で、調査隊員達の話を聞いた。
ベテランっぽい雰囲気のちょび髭のおっさんは、引退した元凄腕ハンターだった。若い頃はそこそこ強かったらしく、リオレウス相手に戦った事もあるんだとか。趣味は釣りで、好きな物は酒。武器は太刀『ブラットクロス改』。
マッチョな男はギルドの現役ハンター。ボルボロスなどの強敵との戦闘経験もあり、ある程度の強さを誇る。趣味は筋トレで、好きな物はアプトノスの肉。武器は大剣『ドラグロブレイド』。
金髪ポニテの娘は村で雇われた新米のハンターで、おっさん曰く技術は未熟だが危険察知能力には目を見張る物があるらしい。趣味は読書で、好きな物はヨーグルト。武器は片手剣『ハンターカリンガ』。
恰幅の良いおばちゃんは、普段は農業をして副業でハンターをしているらしい。普段からハードな農作業をしているため筋力が高く、この中ではおっさんとマッチョに続いて3番目に強いようだ。趣味は裁縫で、好きな物はおしるこ。武器はハンマー『ユクモノインパクト』。
眼鏡の細身の男はギルドの職員。他のメンバーを監督するためについてきたらしく、頭もそこそこ良いらしい。ギルドの職員として長い間働いているらしく、そこそこ内部の事情について詳しかった。趣味は音楽で、好きな物は唐辛子。武器は無し。
俺は5人と話し、相手を褒めて気を良くさせて、なるべく外の情報について聞き出した。話を聞く中で分かったが、どうやらナルガクルガやティガレックスなどのモンスターを倒せるのは極少数の優れたハンターのみらしく、ボルボロスを倒せる程度のマッチョ男すら強い部類に入るらしい。上位モンスターを倒せるのはもはや伝説級だとか。
そう考えると、存在進化する前ですらあのジンオウガと互角に戦えた俺はこの世界ではそこそこ強い事になるな。案外人間には敵がいないかもしれない。
……まあ、油断はできないな。なんせ調子に乗った末に俺はあのジンオウガに殺されたんだから。能力をたくさんラーニングして、なるべく強くなるようにしないと。
そういえば、山菜爺さんの持ってた素材があったな。結構古いしラーニングできそうに無かったから残してたけど、【確率変動】がある今ならいけるかも。とりあえず鑑定してみるか。
……ふむふむ、『迅竜の骨髄』に『毒怪竜の爪』、『赤甲獣の蛇腹甲』ね。思ったより良い素材は少ないな。まあいいや。いただきます。ついでに話してる途中に5人から【簒奪】で手に入れた髪の毛も食う。
『能力名【
『能力名【壁歩き】のラーニング完了』
『能力名【赤甲獣の蛇腹甲】のラーニング完了』
『能力名【熟練の太刀使い】のラーニング完了』
『能力名【釣り下手】のラーニング完了』
『能力名【飲兵衛】のラーニング完了』
『能力名【職業・剣士】のラーニング完了』
『能力名【
『能力名【
『能力名【鍛錬衝動】のラーニング完了』
『能力名【
『能力名【高速思考】のラーニング完了』
『能力名【速読】のラーニング完了』
『能力名【農業の心得】のラーニング完了』
『能力名【料理の心得】のラーニング完了』
『能力名【裁縫の心得】のラーニング完了』
『能力名【職業・ギルド職員】のラーニング完了』
『能力名【アイテム知識】のラーニング完了』
『能力名【職業・中間管理職】のラーニング完了』
『能力名【幸運値低下】のラーニング完了』
マイナスな能力は【植物生成】で作った種に【調合】して封印しとこう。俺の作った物だから能力が馴染みやすいはず。【龍気脆弱】とか、【釣り下手】とか【幸運値低下】とかを調合しとこう。
今日の能力調合結果
【重撃無双】+【連撃怒濤】+【強打乱舞】=【肉潰す怒涛の破拳】
【黒き猫竜の尾攻撃】+【竜殺しの刃尻尾】+【貫穿の黒尻尾】+【三つ叉の棘尻尾】=【猫又の妖剣尾】
【並列思考】+【高速思考】=【並速思考】