Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜   作:パンダ三十六か条

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久々の更新。だけど1,000文字くらいなので短いです。


番外編 スライムって転生モノならチートだよね

【とあるスライム視点】

 

【レベルが規定値を突破しました。

 特殊条件《系統外生物》《下僕精神》をクリアしているため、【不定形猫人(アイルー・ショゴス)】に【存在進化(ランクアップ)】が可能です。

存在進化(ランクアップ)】しますか?

≪YES≫ ≪NO≫】

 

【【庇護者】の能力が発動しました。対象に、能力【賢猫の知恵袋】を授与しました】

 

我思う、故に我あり。意識が芽生えた瞬間に、我はそんな言葉を思い浮かべた。

我が名はスライム。偉大なる猫人ニャー郎様の眷属にして、我らが勢力を遍く世界に広げる者である。

 

元々、我は【蠢く菌肉】という辺りに胞子をばら撒くだけの存在であった。

我の主は、我らを自身の勢力を広げるための駒としておつくりになったらしい。我ら配下と主の間には魂に強い結びつきがあり、それを利用してこの地に存在する力を徴収しようとされているようだ。

 

我らは主にとってただの労働力にすぎない。しかし、それを悲しいとは思わなかった。なにせ我らスライムはニャー郎様によって生み出された存在。ニャー郎様のために生き、ニャー郎様のために働き、ニャー郎様のために死ぬ。最後の最後までニャー郎様に尽くす。それが我らの流儀。

 

しかし何の運命の悪戯か、我は生き残った。その理由は自身の身体を見てわかった。

不定形猫人(アイルー・ショゴス)とかした我の身体の半分が黒い毛皮と浅葱色の金属に覆われていたのだ。

どうやら我の身体は、我が主の肉体の一部と融合したらしい。

 

我が主は絶大な力を持つお方。その細胞にはかなりの生命力があるだろう。だから長い間生きているのも不思議ではない。

我は胞子をばら撒く中で主の肉体と接触し、その細胞が持つ再生能力により癒着した結果、我と主の間の結びつきが強化された。そして、そこから供給されたエネルギーにより、我の肉体は【存在進化】した。そう考えると、だいたいの辻褄があう。

 

 

 

ここで、1つの問題が出てくる。

さあ、我はいったいどうすれば良いのだろうか。

我は本来なら死ぬはずの存在だった。おそらく我の生存は主の意図しなかったことだろう。

 

自分の思うままに生きるべきか? 主に迷惑をかけないように死ぬべきか?

いや、違う。我の中には主から下されし命令がある。生きる理由がある。

 

それはばら撒くことだ。命が尽きるまで生き延びて、できる限り遠くまで這いずり回り、胞子をばら撒くこと。我が主の支配する領域をどこまでも広げること。それが我の生存理由。

 

つまり、我のすべきことは1つ。勢力の拡大だ。

我が主は、配下から力を徴収する。即ち、我らの力が高まれば高まるほどに、強くなることができる。

ここには、我が主の残した配下がいる。猫人も、竜も、木もある。それらを導き、育て、強くすることこそが、我の使命ではないだろうか。

 

そう考えると、行動は早いうちに起こした方がいい。主がいなくなって、残ったアイルーはパニックになっているはず。早めに接触する必要があるだろう。

木々も、種を一個回収しておいた方が良い。あれは知性があるはずだから、成長すればかなりの戦力になるはずだ。

竜の卵もこちらで育てよう。上手く育てて騎竜にできれば移動手段にもなる。そのためにも、なるべくアイルーに慣れさせた方が良いだろう。

 

さあ、忙しくなってきたぞ!


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