Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜   作:パンダ三十六か条

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短いです。話の進展もあまりないです。


6日目〜7日目 すごいよ! ニャー郎さん!

6日目

 

朝起きたら、俺の身体は活力満ち溢れていた。

自分の身体を見てみると、昨日までは土の色をしていた毛が血のように赤く変化し、手の甲から肘までと膝から足首までが甲殻に覆われていた。尻尾も長く硬くなり、先端には刃が出現している。

 

存在進化(ランクアップ)。レベルが100に到達したモンスターの中で、まだ伸び代があるものに起こる。生物として一段階強くなる事ができる、『Re:Monster』ではおなじみの現象だ。昨日、寝る前にそのアナウンスが聞こえ、起きたら俺の身体は成長していた。

 

おそらく、昨日の竜の卵を食べたのが原因だろう。なんせ一回の食事で12個も能力をラーニングできたのだ。【吸喰能力】は強い相手ほど力を得る確率が上がることから、あの卵は生物としてかなり格上だったということが分かる。

『Re:Monster』のゴブ朗だって、ランクアップまで何日かを有したというのに、俺は卵を食っただけで一瞬でランクアップしてしまったことからも、その凄さが分かる。

 

まあ、強くなるのは悪い事では無い。「早くランクアップできてラッキー」とでもプラスに考えよう。

 

 

 

とりあえず、他のアイルーにランクアップした事の報告をしたところ、この現象についていろいろと説明してくれた。

 

その一、存在進化(ランクアップ)とは何か。

 

存在進化は、ある程度生物として強くなったモンスターに起こる、生物としての枠組みを超えて強くなる現象である。

例えば、『猫人(アイルー)』の場合、ある程度の経験を積み、群れの中でも強くなった者は『猫人長(ドスアイルー)』に。イタズラ好きな性格をしている者は『猫盗人(メラルー)』になる。

元々は野生種だっだが人間社会で生活するようになった猫人(アイルー)の中でも、人と共に戦うようになった者は『猫狩人(アイルー・ハンター)』に、商売をするようになれば『猫商人(アイルー・マーチャント)』に、料理を作る仕事に就けば『猫料理人(アイルー・コック)』へと進化する。

更に、猫盗人(メラルー)の中でも強い個体は『猫盗人長(ドスメラルー)』に、残忍な性格をしている者は『猫盗賊(メラルー・バンデット)』になる。

 

このように、モンスターは存在進化によって前よりも強い生物へと変化していくことができるのである。

 

その二、上位モンスターとは何か。

 

上位モンスターとは、ボス級のモンスターが更にランクアップを遂げた個体で、『狗竜(ジャギィ)』の存在進化先である、『狗竜長(ドスジャギィ)』の更に進化先、『上位狗竜長(ハイランク・ドスジャギィ)』などがそれに該当する。

そして、この上位モンスターだが……個体数がかなり少ない。

ただでさえ雑魚モンスターがボス個体になれるだけの才能を持っている確率は低いのに、その中でも上位に至ることができるのは本当にごく僅かなのだ。それに強い個体はその分成長率も低く、限界に到達するまでに『雷狼竜(ジンオウガ)』などの他の個体に殺されてしまうため、ボス個体が存在進化することは殆ど無い。

だが、何千か何万分の一の確率で上位へと進化することができたなら、その個体は生態系を揺るがす化け物と化す。それはもはや災害と言っても差し支え無い。空の王者『火竜(リオレウス)』を落とし、高い筋力を持つ『尾槌竜(ドボルベルグ)』すら屠る、地域の生態系をひっくり返す化け物。それが上位モンスターなのだ。

 

その三、亜種モンスターとは何か

 

亜種モンスターとは、ボス個体が特殊な条件を満たして存在進化した際になる、特殊なモンスターである。

例えば、『氷牙竜(ベリオロス)』の中でも砂漠で生活するようになった個体は『上位氷牙竜(ハイランク・ベリオロス)亜種(バリアント)』、又の名を『風牙竜』に。

水獣(ロアルドロス)』の中でも『毒狗竜(フロギィ)』を大量に捕食した個体は『上位水獣(ハイランク・ロアルドロス)亜種(バリアント)』、又の名を『紫水獣』に。

爆槌竜(ウラガンキン)』の中でも食べる鉱石が通常と違う個体は『上位爆槌竜(ハイランク・ウラガンキン)亜種(バリアント)』、又の名を『鋼槌竜』に。

 

このようにして通常とは違う存在進化を遂げた亜種モンスターは、本来とは全く違う能力を獲得した特殊な個体へとなる。

 

 

 

……うん。何コレ?

つまり、ただのボス個体なのに亜種になった俺はかなりのレア個体、という事らしい。上位モンスターじゃないのに亜種の個体が生まれるのは亜種個体が子供を産んだ時のみなので、俺のようにただのアイルーがいきなり亜種になることは無い。……通常ならば(・・・・・)

 

これは多分、俺の中の【吸喰能力(アブソープション)】の影響だろう。【吸喰能力】によって取り込まれた俺の中の竜の卵の力が存在進化の時に身体に反映された結果、俺の身体は『火竜(リオレウス)』の力を得たのだ。

 

とりあえず、今日は存在進化したばっかりなので居住区に籠ることにした。うん、病み上がりみたいなもんだしね。明日から頑張ろう。

 

7日目

 

今日は野外採取をすることにした。

 

この世界にはたくさんの不思議な植物や動物がいる。電気を発生させる虫、食べた者の傷を治す草、爆発する魚、etc……。これらの素材の持つ便利能力は、俺のこれからの生活に大きく役立つ物ばかりだ。特に虫系の能力は成長するにつれてラーニングしづらくなると思うので、早めに得ておきたい。

 

この世界はゲームの設定を引きずっているからか、ゲームと同じ場所で素材採取ができる。そのおかげで魚や虫、薬草やキノコのある場所はあまりこの周辺を探索していない俺でも分かる。後は【気配察知】を使いながら採取ポイント周辺をウロウロしていれば見つけるのは簡単だった。

 

この【気配察知】という能力、使ってみて分かったのだが、モンスターの存在だけでなく素材の位置なども把握することができる。この前、竜の卵の気配を感じ取ったように、有用な素材であればだいたいの位置が分かるのだ。

見えるわけでも聞こえるわけでも、匂いがするわけでもなく、『分かる』。頭の中に対象の位置情報が送り込まれてくるこの感覚は何とも形容しがたいものだった。

 

今日、ラーニングしたのはこれらの能力。

 

 

『能力名【薬物効果上昇】のラーニング完了』

 

『能力名【蔦生成】のラーニング完了』

 

『能力名【氷属性攻撃】のラーニング完了』

 

『能力名【木天蓼(マタタビ)生成】のラーニング完了』

 

『能力名【粘着性物質生成】のラーニング完了』

 

『能力名【貫通力強化】のラーニング完了』

 

『能力名【毒物生成】のラーニング完了』

 

『能力名【興奮物質生成】のラーニング完了』

 

『能力名【減気毒生成】のラーニング完了』

 

『能力名【蜂蜜生成】のラーニング完了』

 

『能力名【体力上昇】のラーニング完了』

 

『能力名【接着剤生成】のラーニング完了』

 

『能力名【閃光】のラーニング完了』

 

『能力名【雷属性攻撃】のラーニング完了』

 

『能力名【魚寄せ】のラーニング完了』

 

『能力名【素材玉生成】のラーニング完了』

 

 

エリア2、6、9で得た素材によってこれら16個の能力をラーニングできた。

【薬物効果上昇】はアオキノコの力で、薬の効果を上げる能力だ。この力を不死虫から得た【体力上昇】を併用すると効果が大きく上がった。不死虫とアオキノコは合成することでHPの増える薬、栄養剤になる。おそらくゲームの設定がこういうところで残っているんだろう。

【素材玉生成】は【粘着性物質生成】で作った糊のような物質に、小石を混ぜ込んで作った団子を食べて得た力だ。こちらも【毒物生成】や【閃光】との併用が出来るようで、毒けむり玉や閃光玉を作ることができた。

 

ちなみにこの作業の間、俺は外敵の気配を感じたら速攻逃げて、戦闘はしないようにした。なんせ俺はまだ戦闘経験は一回しか無い。しかも正面から戦わずに能力を使って倒しただけだ。いくら身体能力が高くても技術で負ける可能性がある。

 

今日は居住区に捕まえた魚を持ち帰った。アイルー達は猫なだけあって魚は大好物のようで、貪るように食べていた。喜んでもらえて良かった良かった。やっぱり猫は癒される。

 

 

 




評価つけてくださった方々ありがとうございました。

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