Re:Nyanster 〜刺突から始まる猫人転生日記〜   作:パンダ三十六か条

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8日目〜9日目 信頼関係の築き方

8日目

 

ジャギィの牙が欲しい。ブルファンゴの筋力が欲しい。ブナハブラの翅が欲しい。ケルビの角が欲しい。

朝ごはんに竹藪の中で蜘蛛を何匹か食いながら、俺はそんな事を考えていた。ここいら近辺の素材は殆ど食べたし、そろそろモンスターを食べたいのだ。

 

だけど、基本的に俺は命を危険に晒したくは無い。なんせ俺は、前世では格闘技の一つすらやった事が無いもやしっ子なのだ。いくら身体能力が高くても、正面からジャギィ数体と戦えば確実に死ぬ。いくらこちらが強かろうと相手は野生の獣だ。戦いの仕方に関して、相手は俺の一枚も二枚も上手。翻弄されてすぐに負けるのが目に見えている。

 

『能力名【操糸術】のラーニング完了』

 

蜘蛛を飲み込むとアナウンスが聞こえた。どうやらやっとこの能力をラーニングできたらしい。これで戦闘中でも糸をうまく使うことができそうだ。

【操糸術】はRe:Monsterでも出てきた能力で、紐状の物の扱いがかなり上手になる力だ。蜘蛛の糸を神経が通ってるかのように操り、相手を的確に拘束したり量を調節したりなどの操作がかなり簡単になる。この力を使えばオルタロス狩りも楽になるだろう。

 

 

 

さて、問題を出そう。

戦いたいけど死にたく無い。素材欲しいけど死にたくない。そんな時、どうすれば良い?

 

「なあ皆、今日の採取は俺も付いて行って良いか?」

 

答え、(仲間)を使いましょう。

 

 

 

と、いうわけで初の集団行動である。

俺はいつも1人で採取に行っていたので、いきなり付いていきたいと言い出した事を不思議に思われたのだが、「皆の戦ってる様子を見たい」と言ったら納得してもらえた。

アイルーは子供のうちは、雄でも狩りではなく採取への同行が許される。俺だって確かに性能は高いけどまだ生まれてから一週間しか経ってないガキなのだ。一応俺が付いていくことも問題無い。

それに、今回の採取は仲間との絆を深めるためにも重要だ。現在、あっという間に亜種個体に存在進化してしまった俺は、群れの皆から恐れられている。これからも群れで暮らしていくわけだから、もしハブられでもしたら困るのだ。

 

 

 

「あ、ここにもあったよ」

「え、また見つけたの? 本当、探すの上手ね」

「さすがニャー郎‼︎ 冴えてるにゃ!」

 

今、俺は【気配察知】と【吸喰能力】を併用することで、効率よく素材を発見していた。

五感というのは重ねて使う事により、より詳しく情報を見ることができる。

食事などがその良い例だ。視覚によって物を美味しそうだと感じ、嗅覚で食欲をそそられて、触覚で食感を楽しみ、温度覚で温かさや冷たさを分かる。味覚によって理解した『味』にそれらの感覚が彩りを加えられることで、深みが出てくる。

【気配察知】も【吸喰能力】も、五感とは違う感覚器官のようなものだ。片方は位置情報、片方は旨さが分かる。その二つの能力は組み合わせることによって、更に鋭利になって対象に切り込んでいく。これからは能力の組み合わせを色々探してみてもいいかもしれない。

 

 

そんな風に仲間と一緒に採取に励んでいたら、たくさんの気配が近づいてきた。

 

気配の正体はジャギィだった。3匹まとまってこちらに襲いかかってきたのだが、大人アイルーに盾役になってもらい、遠くから【操糸術】と【蜘蛛の糸生成】で相手を拘束したら楽に倒せた。

ジャギィだろうと何だろうと拘束する【蜘蛛の糸生成】は今のところ一番使える能力だ。【爆竹生成】や【火属性攻撃】と組み合わせれば導火線になる所も良い。Re:Monsterでも「自然界で火を使えるか使えないかは大きな差になる」と言ってるし、油の代わりになるこの力はこれからも色んな場面で役立ちそうだ。

 

あ、ちなみに特殊能力に関しては「亜種個体になっから手に入れた」と言って誤魔化している。なので、どうどうと使っても問題は無い。

 

拘束したジャギィは【竜爪攻撃】と【竜尾攻撃】、【蟻の筋力】の3つを使って頭を切り落として速攻トドメを刺した。【竜爪攻撃】と【竜尾攻撃】は使うと爪と尾をより、硬く鋭く熱に強いものにすることができる。それに【蟻の筋力】を組み合わせることによって、一撃で岩を砕くことすらもできるようになる。この組み合わせ、接近戦ではかなり有用だ。

 

ジャギィとは初めて戦ったけど、仲間が周りにいたのでそこまで怖いとは感じなかった。やはり数の力は偉大だ。1人で採取をしている時とは安心感が段違いだった。

血の匂いを嗅いでいたら腹が減ったので、切り落とした頭を一個食べた。クセの強い味だったが、そんなに悪くは無かった。

 

 

『能力名【命知らずの心(ブレイブソウル)】のラーニング完了』

 

『能力名【噛み付き攻撃】のラーニング完了』

 

 

命知らずの心(ブレイブソウル)】……。命知らずと書いて勇者(ブレイブ)と読むなんて、かなり皮肉の効いた能力だ。多分、勇気を高めてくれる能力なのだろう。

【噛み付き攻撃】もそこそこ使えそうだ。俺の【大顎】と【吸喰能力】を合せれば、どんな敵でもダメージを与えられるようになるだろう。

 

とりあえず、残ったジャギィの死骸は居住区に持ち帰って、親アイルー達に解体してもらった。ジャギィの肉は、雌アイルーは怪訝な顔をしていたが、雄アイルーは美味しそうに食べていた。

解体した後、残った小骨を貰って食ったが、能力のラーニングはできなかった。まあ腹の足しにはなったから困らないけど。

 

あ、それと、今日一緒にいた雌のアイルー達がやけに俺に話しかけてくるようになった。何故だろう?

 

 

 

9日目

 

今日も皆で採取に行くことにした。

今日は狩猟組の方に加わろうとしたのだが、何匹かのアイルー達が今日も一緒に行こうと言ってきたので、こちらに着いて行くことになった。

猫フェイスで上目使いとかずるいにもほどがある。あまりの可愛さに断ることができなかった。

 

しばらく採取をしていたらブナハブラが出現したが、また蜘蛛の糸を使って拘束して倒した。今回は仕留めるのに【竜毒投与(ヴェノム)】を使った。【竜毒投与(ヴェノム)】は使うと爪や尾の先から毒を分泌することができた。危険だけどそこそこ使えそうな能力である。

 

甲殻部分は剥がして身を食った。味はけっこう苦く、歯応えも良かった。特に足の部分は良い噛みごたえだ。

 

『能力名【麻痺毒生成】のラーニング完了』

 

ボス戦などで使えそうな能力を獲得した。これを【竜毒投与(ヴェノム)】と組み合わせれば、爪で刺した相手を麻痺させる事ができるようになるだろう。

 

今日はエリア5に来た。森の中で一箇所だけ開けた地帯になっている場所。木々の隙間から抜ける仄暗い光に照らされていて、まるで妖精の住む場所の様だ。ここにもたくさんの素材がある。ここは蜂蜜やキノコなどが多く取れる絶好の採取場だ。

 

「プギィーッ‼︎」

 

「ふにゃー⁉︎ こっちに向かってきたにゃー!」

「危ない!ニャー美、避けて!」

 

ただし、ハンター達にとって最高に苛立たしい存在、ブルファンゴがいる。

 

ブルファンゴは、ハンターを見つけると突進してくる縄張り意識の強いモンスターだ。そのため、大型モンスターに攻撃している時に追突してきたり、卵を持っている所に突っ込んできたりとかなり迷惑な個体だ。

良いところは、盾になる事ぐらいである。前世で、イビルジョー戦の時にそれで助かったのはいい思い出だ。

 

ブルファンゴの突進は俺なら平気だが普通のアイルーだと死にかねない威力なので、仲間に激突する前に【威嚇咆哮】を使ってビビらせて動きを止めて、【風起こし】を使って吹っ飛ばした。

【威嚇咆哮】は声を大きくするだけでなく、相手をビビらせる効果を声に付属させることができる。そのため、聴覚に頼っている相手だったらかなりの効果を発揮するようだ。戦闘中に相手の動きを止めたりできるらしく、隙を作るのに使えそうな力だ。

【風起こし】は風を起こして攻撃する技だ。ジャンプした時に風を噴射してより高く跳んだり、今のように相手を吹っ飛ばしたりと用途はかなり広い。

 

この【風起こし】だが、単体で使っても効果が薄い能力なので、【雷属性攻撃】を併用して帯電した風に変えて攻撃してみたところ、一瞬にしてブルファンゴを火達磨にすることができた。

 

肉がこんがりと焼ける匂いを嗅いでいたら腹が減ったので、【竜爪攻撃】で解体し、【氷属性攻撃】で消火した後バリバリ食らう。ジューシーな肉の味が口の中に広がる感覚はまるで、舌の上で幸せが踊っているようだ。

 

 

『能力名【突進攻撃】のラーニング完了』

 

昨日ジャギィから得た【噛み付き攻撃】と同じ、物理攻撃系の能力を獲得した。アイルーの小さい身体だとそこまで高い威力が出るかは疑問だが、それは属性攻撃系能力の併用でカバーできるだろう。

 

近くにもう二体居たのでそいつらも討伐して食べる。

 

『能力名【遮熱の毛皮】のラーニング完了』

 

『能力名【猪の筋肉】のラーニング完了』

 

腕と足は残して皆に提供した。俺の能力は心臓や脳、子宮などの身体の中でも重要な器官であるほどラーニング確率は上がる。だから俺としては胴体や頭をもらえればそれでいいのだ。

 

初めてのファンゴの肉だったからか、皆の中で「うみゃー!」などと叫び声が上がっていた。喜んでもらえて何よりである。

 

他にも幾つか今まで食べたことが無い薬草を見つけたので、食べて能力をラーニングした。味は茶葉やハーブのようで、独特の風味だった。

 

『能力名【解毒】のラーニング完了』

 

『能力名【回復】のラーニング完了』

 

『能力名【睡眠毒生成】のラーニング完了』

 

 

 

今日はしばらく採取をした後、居住区に帰った。ここ二日間でだいぶ俺の株は上がったらしく、皆がよく俺に話しかけてくれるようになった。これで、この群れを追い出される可能性はだいぶ低くなっただろう。モンスターの能力もラーニングできたし、万々歳だ。

 

よし! 明日からまた、ソロ狩り頑張るか‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……10日目

 

「あ、俺、今日からまた1人で狩るから」

 

そう言ったら、俺は雌アイルー全員から猛反発された。まさかの全員だ。大人も子供も、皆が反対した。

「いやにゃー‼︎ ニャー郎も一緒に行くのにゃー‼︎」と駄々をこねる奴。

「ニャー郎さんは来ますよね? 来ますよね? ねえ、来るんでしょ?」とプレッシャーをかける奴。

「ニャー郎、一緒に来てくれ無いの……?」と泣きそうな声で言ってくる奴。

そのせいで今日も皆で採取に行く事になった。そろそろ素材から得られる能力も揃うし、もう狩りに専念したいんだけど……。

 

 

もう、どうしてこうなった。

 

 

今日も採取をして1日は終了。途中ジャギィとオルタロスに遭遇したけど、無事に討伐した。

 

『能力名【蟻酸生成】のラーニング完了』

 

『能力名【体当たり】のラーニング完了』

 

 




変更
命知らずの心(ブレイブハート)】を【命知らずの心(ブレイブソウル)】に変更しました。
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