ネザー開発記 ~Nether craft~ 作:えだまミィカン
えだまミィカンと申します。
本作品は私がプロットの練習にと投降したものでもあります。
あくまで「練習」なので投稿は完全に不定期になります。
これら二つの点で、今この文呼んでいる方のご期待に沿えないこともあると存じます。
そんな作品ですが、ご回覧いただけたら幸いです。
「豚が逃げたぞ!」
降り敷ける豪雨の中、辺りの喧騒に負けず男が叫んだ。その視線の先には、豚が一匹吹き付ける風の中を駆けている。周りに泥を散らし、追いかける者我知らずと突き進む。
「やめとけ、この先は崖だ! 豚一匹のために賭ける命はねぇ!」
豚と同じく駆け出す男を、中年の牧場主が怒鳴りつけた。男はぬかるんだ地面に足を取られながらもその場に留まった。振り向くと、豚を収容する建物の一部が無残にも破壊されていた。
この嵐のせいだろう。
トタンが吹き飛んだ先には他の豚が同様に脱走しようと押し寄せている。別の従業員が何とか止めているが、肝心の建物の修復はまだ人手不足だ。今この場を抜け出せば事態は悪くなるだろう。
追いかけようとした男は、遠くに消える豚を見届け、建物の方へ引き返していった。
………
……
…
豚は‘逃走本能‘からか、追跡者が消えてもなお野原を駆けていた。水溜りも気に留めず突き進んだ。嵐は更に力を増し、石や木の枝も宙を舞う。天候の急変によって豚の体力は消耗を激しくしていた。その為歩みも鈍くなる。猛獣が近くにいたら、瞬く間に彼らの餌食になる。どこか安全な場所を見つけなければならない。
しかしその緊急時、豚は徐に動きを止めた。周囲に身を隠す洞窟も大木もない。
その代わり峡谷が目の前に広がっていた。向こう岸と繋ぐ橋も、谷底に降りられそうな石段も用意されておらず先を進むのは不可能。
鷹でも無ければ。
豚は無謀に飛び降りようとせず、どこか別の道は無いかと崖沿いを徘徊し始めた。どこかの武将の様に、崖を降りる鹿を見て自分もマネしようとする荒行はしなかった。曲芸をせず、確実に逃げ道を探すだけだ。レンガの家でも作らなければ身の安全は確保できないこの状況、身を隠す林は人間に全て取り払われていた。しかし谷に降りればまだ勝算はあると考えたか、雨量が増してもなお豚は崖の横を歩き続けた。
だがその選択は間違いだったのだろう。
崖周辺の地盤が緩み始めた。濁った水が流れ始め、豚の背後で皿を割ったようなひびが走る。同時に雨脚は激しくなった。木は暴れるように揺らぎ、風は荒波の如く野原をうねった。
人間ならとっくに避難を始めている事態。だが豚にそんな危険を察することは事が現実にならない限り不可能。
それを嘲笑うかのように地盤は崩壊を始めた。土は流れを伴って滑り落ち、やがては谷底に真っ逆様。豚の運命は土と同じだった。崩壊はすぐさま豚の方へ達し、遅れて事態を察した豚を無慈悲に捕えた。土は豚の身体を拘束し、ベルトコンベアの様に決まった方角へ運んだ。
無論、翼の無い豚に逃げ場は無い。
大地を抉る風音をドナドナに豚は放り出され
崩壊の勢いも相まって落下の速度は増し
突き出した岩が豚を止めるも骨を断ち
身体は蹴鞠のようにバウンドして再び谷底へ放った。万有引力はなおも無数の腕となって最下層へ引っ張りると
――落ちる豚の鳴き声をフィナーレに、岩盤へ身体を叩きつけた。
リンゴより濃い赤が周囲に散る。
豚に意識は無かった。駆け寄る恋人は居らず、流れる走馬灯も存在しなかっただろう。
ただ機械的心臓が動き、定まったように血液が流れるだけ。体内にも、外部にも。
辺りに深紅の水溜りができた。同時に泥の混ざった雨水が、豚の身体を滴る。
広がる血の池を泥水がわずかに濁した。
豚の生命が止まる最中、辺りが真っ白に照らされた。そして間髪入れず雷鳴が轟く。
地上の動物をパニックにさせ、降り注いだ稲妻は火花を散らした。
瞬く間に第二波が当たりを震わす。
稲妻は木にも人にも当たらず、地面に落ちた。何回か地上落ちたが、当たったの物は小石一つ。
だがその時、つられていくように一筋の稲妻が峡谷へ落ちた。フラッシュの様に辺りを白く照らした。そして光の筋は周囲の岩を尻眼に進むと、
豚の身体に突き立った。
以上になります。
鍛錬にと投降した作品ですので、感想や「ここ直した方がいいよ」等の指摘がいただけたら勉強になります。
コメント、メッセージからお待ちしております。(^O^)
1/11 一文修正しました。