パラレルタッチ 〜触れられたら即脱落の鬼ごっこ、13体の鬼を倒さないと終わらないデスゲーム〜   作:こうタロス

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第5話「禁じ手」

「なぁなぁ、こっからどうするよ?」

 

「あ!陽向!お店のもの盗んじゃダメだよ!!」

 

「はぁ?もう、ここら辺のみんな消されてるんだろ?

しかも、デスゲームだぞ!そんなの言ってらんねぇーよ」

 

ここは、俺たちが鬼を倒した盤上高校から約10分のコンビニ。

俺たちの最寄りだ。

学校を出てからここまで徒歩で来たが、人の気配は無い。

陽向の言うとおり、ここら辺の人々は皆、鬼によって消されたのだろう。

 

「なぁ、歩。今頃世間はこのデスゲームで大慌てのはずだろ?ニュースにもなってないのか?」

 

「俺も、そう思ったんだがスマホが圏外なんだ?」

 

「圏外?

でも、ミッションの画面は逐一、表示されるんだよな?」

 

「あぁ、おそらくこのデスゲームの主催者によるものだろうな……」

 

「陽向、あんたのスマホ自作でしょ?

なんか見れるじゃ無いの?」

 

「そういえばそうだな……

……ッチ!俺まで圏外だ」

 

「ミッションも届かないし、圏外だし、

なんなのあんたのスマホ……」

 

「ウルセェーな!俺もミッション欲しいわ!」

 

まただよ。

目を離すとすぐ喧嘩。

まぁ、こいつらは小学校からの腐れ縁。

もう喧嘩しかすることがないのだろう。

 

「それそうとさ、東京にいる全ての人のスマホに影響を与えられるって完全に、今の技術では無いよな?」

 

「まぁ、陽向が言うのならそうなんだろう」

 

「俺思ったんだけど、このデスゲームの奴ら、宇宙人なんじゃね?

宇宙人が地球に侵略してきてるとか!」

 

宇宙人……

天才発明家は、いつも俺とは違う角度を持っている。

デスゲーム開催時のキングとやらの言葉を思い出してみよう。

 

『青い星の諸君。

初めまして、私の名前は"キング"』

 

青い星……

確かに、宇宙人目線で見ると俺たちがいる地球は青い星ということになる。

俺の仮説である"未来人"よりリアルなのかもしれん。

 

「確かにな、その可能性は十分にある」

 

「だよな!だよな!」

 

「宇宙人だったら、なんでデスゲームなんかするの?」

 

梨緒にしては鋭い意見だ。

確かに、宇宙人ならば地球侵略ぐらい一瞬で果たせるはずだ。

なぜ、地球人を弄ぶようなことを。

 

「俺たちのこと、遊び道具だと思ってんじゃね?ゲーム感覚ってやつ?」

 

「それだったら、梨緒負けないよ!!」

 

「いや、負けるだろ!」と言いたいが生憎、このデスゲームは勝たないと俺たちの命はない。

宇宙人の場合、手加減をしてるのか……。

 

突如、鳴り響いた耳を劈く通知音。

先ほど、スマホの音量調節をしたが、お構いなしに騒ぎやがる。

また、ミッション報告かとポケットからスマホを取り出す。

 

———

 

 【ミッション2:内通者を摘発せよ】

 

現在、東京都内に“内通者”が存在する。

内通者は民間人の居場所を鬼に流している。

 

逃走者は内通者を特定し、

エリア各地に設置された電話ボックスから“追放”せよ。

 

なお、内通者ではない者を追放した場合、
追放した者と追放された者、両者の位置情報が鬼に知れ渡る。

 

電話ボックスの位置は以下の通りだ。

 

・元麻布

・高円寺

・西新宿

・上野

 

———

 

「内通者……?」

 

「え、歩、お前まさか……」

 

「え!?そうなの!歩!」

 

「んなわけないだろ!あと声がでかい……」

 

とんでもないミッションだな。

ますます、デスゲームらしくなってきた。

俺の推測通りミッションは複数存在する。

おそらく、全てをクリアしないとこのデスゲームは終わらない。

つまり、今のところ13体の鬼の討伐と内通者の追放。

この、2つのミッションをクリアしなければならない。

東京と言っても広すぎる。

こんなの、クリアできるのか?

 

「とりあえず、できれば鬼の討伐を優先しつつ怪しい人がいれば内通者として警戒しよう」

 

「そうだな!

俺の超能力もあるし、鬼の討伐は楽勝だろ!」

 

「そうやって調子に乗ってたらあんた死ぬよ?」

 

———テレテレテレ

 

突如、流れる日常音。

コンビニの入退店時の音。

つまり、誰かが店内に入ってきたのだ。

咄嗟に商品棚に隠れる3人。

鬼を倒すと息巻いていたが、出来れば確実に倒せる時に相手したい。

足音を遠ざけるように店内を周る。

声を出すと気付かれる。

陽向と梨緒もそう思っているのだろう。

一言も喋らない。

足音が一番遠い且つ出入り口に最も近いベストポジションで俺は2人に手で合図を出す。

「外に出ろ!」と。

梨緒、陽向、俺の順番で外に出る。

 

———テレテレテレ

 

当然、鳴り響く入退店音。

それを聞くや否や、俺たちを捕捉する黒い影。

そう、影の正体は最悪の予想であった"鬼"だ。

 

「おいおい!逃げろ!!」

 

この距離、開けた地形。

ここで勝負を仕掛けたら確実に俺は捕まる。

 

「おい!陽向!梨緒!車に乗り込め!!」

 

咄嗟に出てきた俺の言葉。

コンビニの駐車場に停めてあった車を指差す。

俺にしては冷静さに欠けている。

これが死の恐怖か。

 

ドアハンドルに手をかける。

開け開け開け開け!!

これで車が空いてなかったら死ぬ。

まぁ、死ぬ時はみんな一緒だ。

車のドアを力強く開ける。

 

「おお、開いた!」

 

「おっけい!運転は俺に任せろっ!」

 

「ちょちょっと待ってよ!」

 

俺は助手席、陽向は運転席、梨緒は後部座席に乗り込んだ。

 

 

「おい!陽向、鍵閉めて!」

 

「はいはい!そう焦るな……えぇ〜と」

 

「右手のとこだ!」

 

「あ、ここか……」

 

カチッと全てのドアにロックがかかる。

鬼がコンビニから出てくるのが見える。

 

「ちょっと!陽向!早く車出してよ!」

 

「ちょっと待てって!えぇーと、エンジンっと……」

 

運良く、イグニッションに鍵が刺さった状態であった。

おそらく、この車の持ち主は鬼に狙われエンジンをかける寸前に消されたのだろう。

陽向はブレーキを踏み、エンジンをかける。

 

———キュルルル、ブォン!!

 

エンジンがかかる音。

鬼はもうすぐそこに迫っていた。

 

「しっかり捕まっておけよ!」

 

「ねぇ!陽向、運転したことあるの?」

 

「あぁ、あるぜ!ゲームでな!」

 

車は急発進し、身体が大きく揺らされる。

クネクネと曲がりくねり、鬼を翻弄する。

陽向のゲーミングテクはピカイチだ。

俺はレーシングゲームで一度も勝ったことがない。

 

「ちょ、ちょっと!ゲームだけって、鬼に消される前にあんたに殺されるよ!!」

 

「シートベルト閉めてたら大丈夫だって!

このまま、超高速で鬼を撒くぞ!」

 

ガタガタと震える身体。

これは恐怖からではなく、車の振動だ。

デスゲームで、法律は存在し得るのか。

この状況、さすがに許してくれるよな。

後ろを振り返ると、鬼が小さくなっていく。

とりあえず、安全地帯まで車で逃げよう。

まぁ、今の東京に安全地帯なんてないがな……

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