パラレルタッチ 〜触れられたら即脱落の鬼ごっこ、13体の鬼を倒さないと終わらないデスゲーム〜 作:こうタロス
「ふぅ、とりあえず鬼は撒いたようだな」
「危なかったぁ!車がなかったら死んでたぜ……」
「ちょっと!陽向!あんたの運転荒いのよ!
もっと丁寧にできないの?」
「ウルセェなぁ!俺の運転技術に耐えられないこの車がポンコツなんだよ!」
確かに、気持ち悪くなってきた。
どうやら、陽向はレーシングゲーム感覚で車を運転している。
アクセルはベタ踏み、曲がる時もかなりインコースだ。
いいドライバーだ。
ゲームならな。
「なぁ、とりあえず、どこに向かうよ?」
「東京全域がデスゲームなんだ。
どこに行っても、状況は変わらなそうだが……」
———ブゥン!!
突如、真横を通り過ぎる黒い影。
高速で通り過ぎたので黒い残像にしか見えなかった。
ここは一般道、車を運転するにしてもせいぜい速度は60km/hだろう。
まぁ、デスゲームなんだ。
車を飛ばすやつがいてもおかしくない。
いや、車で出せるスピードじゃ無かっただろ。
ということは、つまり……
「な、なぁ、今のって……鬼?か?」
だよな、そう考えるよな天才。
「あぁ、おそらくな……」
「あんなに速い鬼、梨緒でも勝てるかな……」
「いや、流石に無理じゃないか?」と言いたいが今自信を無くしても意味がない。
ここは、
「勝てるんじゃないか?
だって、陸上の全国1位だもんな」
「だよね!だよね!梨緒勝てるよね!」
「はいはい、勝てるんじゃねぇ?」
「陽向は黙ってて!」
「なんで、俺だけ厳しんだよ!」
「あんたのは、気持ちがこもってないの"気持ちが"!」
まぁ、俺も勝てるとは思ってないんだがな。
とりあえず、あんなに速い鬼がいるなら車移動はあまりしない方が良さそうだ。
「鬼を全て倒すってことは、あの鬼も倒さないといけないんだよね?」
「まぁ、そうだな」
「マジかよ!!あんなのどうやって倒すんだよ!
俺の
「そうだな……」
いずれ、あの鬼も倒さなければならない。
どう倒そうか、あんな速いの。
別の超能力者を探した方がいいのか……
……え、ちょっと待てよ。
俺はふと、サイドミラーを確認した。
そこには、バイクに乗った黒い物体。
ライダースーツだと言われれば違和感はないが、バイク本体には馬のような顔が付いている。
間違いない、鬼だ。
「おい、陽向後ろ!鬼だ!さっきの鬼が来ている!」
「おい!マジかよ!!」
急激に迫り来る鬼。
警察さん、今が出番なんじゃないか?
このスピード狂を捕まえてくれよ。
まぁ、多分俺たちもスピード違反だが。
「とりあえず、右折だ!」
「お、おっけい!!」
「ちょ、ちょっと!!痛いわよ!」
陽向は急ハンドルを切る。
傾く車体。
遠心力で身体は窓に押し付けられる。
あのスピードなら、すぐには曲がれないだろう。
サイドミラーを確認する。
曲がりきれず真っ直ぐに走り切る鬼。
「ど、どうだ?陽向」
「とりあえず、撒いたようだな……」
「ふぅ、あっぶね……」
「車降りた方がいいんじゃないの?」
梨緒にしては頭が冴えてるじゃないか。
「そうだな、適当に車を停めよう」
「分かった……」
———キキィィィィ!
急ブレーキ音。
車体は前方に傾く。
「痛いっ!!ちょっと陽向!ブレーキ下手!」
「うるせぇー!早く出るぞ!」
適当にとはいったが、豪快にとはいってない。
運転すると性格が変わるとはこのことか?
いや、陽向の場合は大好きなゲームを取り上げられた子供のような感覚か。
俺たちは車を路上に乗り捨て、徒歩移動を選んだ。
標識を見る感じ、ここは高円寺。
俺たちの高校は千駄ヶ谷。
かなり、移動したな。
まぁ、何処に行ってもさほど変わらないと思うがな。
「高円寺とかあんまり来ないぜ?俺」
「土地勘がないのは少し不安だな」
———ガッガッガッ!!
突如、後方から鳴り響く、速い連続音。
それは学校で散々聞いた、悪魔の足音。
念のため振り返り確かめる。
「おい!鬼だ!」
「マジかよ!どうするよ!歩!」
「とりあえず、逃げろ!
あとでメールする!」
散り散りに逃げる3人。
迫り来る鬼。
やはり、ターゲットは俺だ。
1/3を引き当て続けている。
運が悪い。
いや、良いと捉えておこう。
振り返るとすぐそばに鬼の姿。
手はもう数cmにまで迫っている。
やばい、死ぬ!死ぬ!
突如、目の前に現れる男。
鬼ではない、人間だ。
「う、うわぁ!」
突然、路地裏に吸い込まれる身体。
今処理したが、これは引っ張られた感覚だ。
「……シィー!静かに!」
そこには、先ほど目の前に現れた男。
いや、さっき目の前にいたじゃん。
え、双子?
路地裏を通り過ぎる鬼。
目の前に現れた男にターゲットを変えたのか追いかけて行った。
「ふぅ、なんとか無事でよかったっす!」
「さっきのはなんなんだ?双子か?」
「あぁ、アレっすか?
アレは俺の異能っす!」
「異能……分身ができるってこと?」
「俺もまだよく分かってないっすけど、とりあえず分身が一体出せるんすよ!」
多分、この人は頭が悪い。
まぁ、ウチには梨緒がいるから慣れてはいるが。
「とりあえず、俺の仲間を呼ぶ」
「仲間がいるんすか?
俺1人で寂しかったんすよ!」
「そ、そうか……」
この男が内通者って可能性もある。
共に行動するのはまずいか?
しかし、俺を助けたってことは、敵ではないのか。
まだ、判断するのは早いか……。