アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子   作:るきのるき

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24話 アン・シャーリー、ダイアナちゃんにチョコレートキャラメルの謎を解かれる

 ダイアナとおれは心の友になったので(その過程はあとで書くことにしよう)、森の中の空き地で遊ぶことにした。

 

 うまいこと、ほどほどの大きさに開けたところを見つけたので、おれとダイアナは貴婦人(豪華な宮殿は、アンの想像の余地をもってしても難しい広さだった)ごっこをして、ようこそおいでなさいませ、バリー夫人、お招きいただきまして光栄ですわ、シャーリー夫人、じゃなくてフィッツジェラルド夫人、とおままごとをやった。日本語が変なのは、貴婦人語に慣れてないせいだと思ってほしい。

 

「こんなのつまんねーよな、チャンバラごっこしようぜ。じゃなかったら西部劇ごっこ」と、中の人は男子であるダイアナは、同じく中は男子であるおれに言った。小学校高学年に相当するアン・シャーリーの年にしては、遊びとしてはやや幼いイメージがあるね。小学5年生がおままごとなんかするかっての。なお、男子の場合は小学5年生でも西部劇ごっこするかもしれない。おれ、ジェームズ・ステュアートで、あんたがゲーリー・クーパーね、みたいな感じ。

 

「うーん、プリキュアごっこじゃ駄目かな。おれがキュアマリンでぇ、きみが砂漠の使徒の三幹部のひとりね」

 

「なんで赤髪のくせにそんなのできると思うんだよ、おまえなんかキュアブロッサムでたくさんだよ」

 

「ななな、なに言うんだよ、キュアブロッサム、なんか、って。いい子だよ、あの子」

 

「だったらよけいいいじゃん、その役」

 

 それからおれたちは、どのプリキュアがいちばんかっこいいかについて語り、ダイアナは黒髪キャラが雪城ほのかしかいないのに不満を持っていることも語った。

 

 カナダではアイリッシュとかスコティッシュが多いため、日本人が思うほど金髪の子は多くないのだ。ダーク、というのは、ほぼ金髪じゃない、っていうぐらいの意味で、ダークプリキュアとかダークマターとか言っても、そのダークには悪役という意味は、英語圏ではほとんどない、というムダ知識である。日本語だと髪の毛は暗色、みたいに訳されてて、ダーク・スキンだとそれが浅黒い肌、になる。

 

「せっかくだから、マシューがおれのために買ってきてくれたチョコレートキャラメルを上げよう。好きな子とふたりなら、喜びとおいしさが倍になるよ」

 

「やった」

 

「はい上げた」と、おれはチョコレートキャラメルが入った包みを頭の上に上げた。

 

「そういう古典的なギャグ、なんで入れるかなあ」

 

 なお、ダイアナとおれとの身長は、おれのほうが3センチぐらい高くて、体重はダイアナのほうがある。要するにゆるデブ、じゃなくて、ゆるぽっちゃり、かな。

 

     *

 

 おれたちはチョコレートキャラメルを分けた。

 

「ひいふうみいよお、今なんどきだい、いつむうななやあ」

 

「3時ぐらいかな」

 

「よおいつむうなな……話が長くなるからこのネタはないものとする。で、ダイアナが4つで、おれが3つ、それからきみの妹のぶんに2つね。合わせていくつになるかな」

 

「なんか悪いね、俺のほうが余計にもらっちゃって」

 

「いいんだよ、おれは自分ちで前の日にひとつ食べたから、これでちょうど半分こ」

 

「………ちょっと待ったあ」と、ダイアナは並べられたものを見て、少し考えて言った。

 

「それ、おかしくないか」

 

「全部で10個だろ。アニメ通りじゃん」

 

「違うね。チョコレートキャラメルは全部で12個あったんだ。そういうの、ダース単位で買うもんじゃないの。つまり、マシューがカーモディの店で買ったのは、1ダース」

 

「そんなことないって。おれが食べたときは」

 

「アン、正直に言いなよ。11個だったんだろ」

 

 なんでそれがわかるんだよ。ダイアナちゃんそんなに頭良かった設定だったっけ。

 

「つまりさ、マシューは家に帰る途中で、こっそり1個食べたのね。で、きのう、とりあえずアンは1個食べてみたんだけど、10個のチョコレートキャラメルだと、4・4・2で、俺に、なんていい子なの、って言わせることができなくなるのと、ひとつ食べるのもふたつ食べるのも同じか、と思ったわけ」

 

「うん、でもさすがに3つ食べるのは考えなおした」

 

「要するにぃ、真犯人はぁ」と、おれたちは声を合わせた。

 

「マシュー」

 

 なお、アボンリーにおけるチョコレートキャラメルひとつの値段は、リアル世界におけるゴディバのトリュフチョコレートひとつぐらいの値段ぐらいと思ってほしい。けっこう高いな。

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