アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子   作:るきのるき

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32話 アン・シャーリー、ダイアナに赤ワインを飲まれる

 近所に迷惑をかけまくっていたハツカネズミのチャーリー(仮)を、まんまとプディングソースの瓶の蓋を開けっ放しにしておいて落しこみ、溺死させたため「さすアン」と言われるようになったアン・シャーリー(単にアンが蓋を閉め忘れただけ)。

 

 リンド夫人のネコを「酒とつまみ持って来ないと、死ネズミに『恋の片道切符』踊りをさせてやる」と、ダイアナと一緒に脅して、ちゃんと死ネズミの手足を持って「チューチューチュー」と踊らせて、いい赤ワインといいお茶菓子をせしめたふたりは、祝杯をあげることにした。

 

「やあ、今日はうまくいったな、ダイアナ」と、アンは言って、コップを差し出した。

 

「まったく、イチゴ水なんて子供だましっぽいもの、飲んでられるかってんだ。ま、一杯やれ」

 

「一杯やれ、って、これ、お酒だろ、アン」

 

「当たり前だろ、小川の水に見えるか」

 

「だって、俺、まだリアル世界じゃ小学生だって、こないだ教えたじゃん」

 

「この世界じゃいいんだよ。確かに、新教徒のたしなみとして、深酒とか寝酒は推奨されてないけど、これは悪いネズミが死んだ祝の酒、清めの酒じゃねぇか。え、なんだ、おれの酒が飲めないってのか」

 

「そんなこと言っても、明日学校だってあるし」

 

「学校は、おれはギルバートのせいで当分休むことにしてるから、朝まで飲んだって問題ない」

 

「しょうがないなあ。じゃ、ほんのひと口だけ……あ、あ、あーっ、もう、こんなに注いじゃって。これじゃ口のほうからお迎えに行かないと」

 

「お、けっこういい飲みっぷりだねえ」

 

     *

 

 30分後。

 

「もう一杯注げ」

 

「まだ飲むのかよ、ダイアナ。あんた、酒に弱いんだな」

 

「しっかし、あんたはえらい。あの、ケチなリンド夫人のネコから、よくこんないいワインを……しかし、あそこん家もしみったれてんだよな。ワイン蔵あされば、いくらでも出てくんだよ、このくらいのもんは。え、酔ってるって、酔ってなんかいませんよーだ、この、心の友ぉ」

 

 べろんべろんである。

 

「だから、明日学校があるんだろ」

 

「ふん、学校がなんでぇ、フィリップス先生がなんか言ったら、プディングソース漬けのネズミを食わせてやる」

 

 どうせ、原作準拠ならこうなるだろうとは思っていたけど、ちょっと調子に乗りすぎじゃないか、ダイアナ・バーリーちゃん、及び中の人(小学生)。

 

 実際はどうして赤ワインを飲むことになったのかについては、各人原作で確認するように。

 

 おれは、酔っぱらって寝ちゃったダイアナを抱えて、丘の上の家まで行くことになった。

 

 玄関先へそっとダイアナを置いて、手には「犯人はアン・シャーリー、ではない」と書いた紙を持たせておいた。

 

 これで、どう考えても犯人はおれではないということがわかるだろう。

 

 へとへとになってグリーン・ゲイブルズに戻ったら、リンド夫人のネコとその仲間たちが、残ったワインとお菓子で勝手に宴会をやっていた。あー、悪事 災(さい)にゃんを逃れますように、だな。

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