アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子 作:るきのるき
近所に迷惑をかけまくっていたハツカネズミのチャーリー(仮)を、まんまとプディングソースの瓶の蓋を開けっ放しにしておいて落しこみ、溺死させたため「さすアン」と言われるようになったアン・シャーリー(単にアンが蓋を閉め忘れただけ)。
リンド夫人のネコを「酒とつまみ持って来ないと、死ネズミに『恋の片道切符』踊りをさせてやる」と、ダイアナと一緒に脅して、ちゃんと死ネズミの手足を持って「チューチューチュー」と踊らせて、いい赤ワインといいお茶菓子をせしめたふたりは、祝杯をあげることにした。
「やあ、今日はうまくいったな、ダイアナ」と、アンは言って、コップを差し出した。
「まったく、イチゴ水なんて子供だましっぽいもの、飲んでられるかってんだ。ま、一杯やれ」
「一杯やれ、って、これ、お酒だろ、アン」
「当たり前だろ、小川の水に見えるか」
「だって、俺、まだリアル世界じゃ小学生だって、こないだ教えたじゃん」
「この世界じゃいいんだよ。確かに、新教徒のたしなみとして、深酒とか寝酒は推奨されてないけど、これは悪いネズミが死んだ祝の酒、清めの酒じゃねぇか。え、なんだ、おれの酒が飲めないってのか」
「そんなこと言っても、明日学校だってあるし」
「学校は、おれはギルバートのせいで当分休むことにしてるから、朝まで飲んだって問題ない」
「しょうがないなあ。じゃ、ほんのひと口だけ……あ、あ、あーっ、もう、こんなに注いじゃって。これじゃ口のほうからお迎えに行かないと」
「お、けっこういい飲みっぷりだねえ」
*
30分後。
「もう一杯注げ」
「まだ飲むのかよ、ダイアナ。あんた、酒に弱いんだな」
「しっかし、あんたはえらい。あの、ケチなリンド夫人のネコから、よくこんないいワインを……しかし、あそこん家もしみったれてんだよな。ワイン蔵あされば、いくらでも出てくんだよ、このくらいのもんは。え、酔ってるって、酔ってなんかいませんよーだ、この、心の友ぉ」
べろんべろんである。
「だから、明日学校があるんだろ」
「ふん、学校がなんでぇ、フィリップス先生がなんか言ったら、プディングソース漬けのネズミを食わせてやる」
どうせ、原作準拠ならこうなるだろうとは思っていたけど、ちょっと調子に乗りすぎじゃないか、ダイアナ・バーリーちゃん、及び中の人(小学生)。
実際はどうして赤ワインを飲むことになったのかについては、各人原作で確認するように。
おれは、酔っぱらって寝ちゃったダイアナを抱えて、丘の上の家まで行くことになった。
玄関先へそっとダイアナを置いて、手には「犯人はアン・シャーリー、ではない」と書いた紙を持たせておいた。
これで、どう考えても犯人はおれではないということがわかるだろう。
へとへとになってグリーン・ゲイブルズに戻ったら、リンド夫人のネコとその仲間たちが、残ったワインとお菓子で勝手に宴会をやっていた。あー、悪事 災(さい)にゃんを逃れますように、だな。