アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子   作:るきのるき

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40話 アン・シャーリー、夜中の11時にアイスを食べて作者の心の声が漏れる

 その日、なかなか寝つけないおれはこっそり、足音を立てないようにして、1階にあるグリーン・ゲイブルズの裏キッチンに行った。ストーブを使って料理する仕組みも本当はあるんだけど、実際に使われているのは21世紀の日本人が使うのと同じようなキッチン。そこには電子レンジ、IHクッキングヒーター、冷蔵庫とそれとは別になっている巨大冷凍庫、と最新式の設備がそろっている。

 

 おれは冷凍庫をあさって、日本のコンビニではどこにでもあるような、すこし高めのアイスクリームを手に入れて、昼間は食べられなかった21世紀っぽい味を堪能した。

 

 夜中の11時にキッチンで食べるアイスクリームは最高、って、原作のアン・シャーリーも言っている。これは半分嘘ですけど、最高なのは間違いない。

 

「こら、アン・シャーリー! また勝手にキッチンに入り込んでなんか食べてる。それは私のアイスクリームだからね!」と、いきなり入ってきたマリラは、ぷんぷんしながら言った。

 

「ちゃんと言えば出してあげたのに。ただし……」

 

「あーはいはい、どうせ別料金なんだろ。ココイチかマルガメかよ」と、おれはアイスクリームを食べる手を止めないで言った。

 

「そんな食べ物屋は知らん」と、マリラは言った。食べ物屋だってことは知ってるんだな。

 

「でも、マシューのじゃなくてよかったよ。食べ物に関してだけは激おこだからね、あの人」と、マリラは冷凍庫を確認した。

 

「ど、どこが違うの?」

 

「アイスクリームの外箱に書いてあるだろ。「Mat」と「Mar」って」

 

 わかりにくい! おまけに筆記体。ちなみに横棒がついてるのが「t」で、JRAのシンボルマークの、馬の顔みたいなのが「r」である。

 

「日本語で書いてあるやつも、たしかあったような……これだよ」と、マリラはおれに見せてくれた。

 

「マツ」と「マソ」。

 

 どうせそんなことだろうと思った。日本人でもよく間違える例のカタカナだな。

 

 困った、と作者はリアルタイムで考えた。

 

 こんなことではなかなかギルバートを石板で殴るところまで話が進まない。

 

 えーと、このあと、学校にダイアナと一緒に行って、小川で冷やした牛乳を、ぷはーっ、と腰に手を当てて飲んで、ダイアナの妹のミニー・メイが死にかけて、江戸前な大おばさんとあれこれあって、ていうかまだ、リンド夫人に「ちっこいね」とか言われて、むっ、とするところまでも行ってないじゃん。

 

 とりあえず、レイチェル・リンドさんとの話はやっておかないとなー。

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