アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子 作:るきのるき
「さあ、たんと召し上がれ、ボナペティだよ」と、作者は言った。
時刻はお昼をすこしすぎたあたりで、季節は夏休みがはじまったばかりの盛夏。場所はおれと作者にはなじみのクラシックな喫茶店である黒白亭で、メニューは近くのおいしい中華料理屋から取り寄せた大皿料理。
当日90分の貸し切り状態で、横に並べられた大テーブルの、牛(青椒肉絲)・鶏(油淋鶏)、魚(酸菜魚)といった定番以外にも、前菜や副菜、小料理が添えられていた。
作者を含めた13人は、各人が大皿から小皿へ好みのものを取り、大皿を順番に回していた。食べ盛りの十代もいるので、せっせと皿が片付いていく。
給仕は店の名物メイドである、人型メイドの白猫・黒猫がいるんだけど、特にすることもないのでみんなに飲み物を補充している。ペットボトルの烏龍茶の類である。バリスタが淹れる店のコーヒーはおいしいんだけど、どうも中華料理には合わないんだよね、というのが店主の話だった。食後にサービスするよ、とのことである。
集まったメンバーはざっとこんな感じ。
中央に、おれたちがせっせと料理を乗せていく小皿を置いた作者。
向かってその左隣がおれ、バーチャル世界ではアン・シャーリー。
右隣が宿敵のキザメガネであるシンキバ、バーチャル世界ではギルバート。ときどき、うまっ、と感情表現ゆたかにつぶやいている。
以下、向かって左側から、本来はタコ型宇宙人であるはずのプリムラ、バーチャル世界ではアンたちと同じ学校に通うプリシー。魚大丈夫なの、と聞いたら、鱗のある海産物は問題ありませんでした…、と言って、骨付き肉を器用に食べて、蓋が閉まった瓶を回されるとテーブルの下ですばやく開けている。
その右にはネコのぬいぐるみをいつも持っている厨二病っぽい中学生のニャニャミ、じゃなくてナナミ。バーチャル世界では親切なスペンサー夫人の家に住んでいるナンシーと、カスバート家の馬小屋に住んでいるニャンシー。左手で箸を使って、ぬいぐるみの背中に手を入れて、どうこれおいしい、まずまずですにゃ、と一人二役をやっている。登場人物が10人いたらひとりは左利きにしないといけない、という作者の設定にもとづいて、ナナミは左利きである。
その右にはいつもおっとりしているシナノ。信州出身で今は農学部に所属していてバイオ関係の研究をしている。好きなものは、と聞いてみたら、なんかねばねばしたもの、とのことである。バーチャル世界では偽貴族で伯爵令嬢のリリ。貴族っぽさは言動には感じられても外見からはあまり感じられないタイプ。
その右には、バーチャル世界では若い女性教師のステイシー先生。リアルではオオイシ、じゃなくてクルミ。ポニーテールで日に焼けてるけど、地肌は白くて虹彩が青みがかっている小学生だ。わざわざ来てもらって悪いね、他の登場作品の登場人物なのに、と作者が言うのに対して、自分全然大丈夫っすよセンパイ、と答えていて、どうやらバーチャル世界のダイアナとは、リアルでは同じ学校に通っているらしい。すよセンパイか。のじゃロリと同じテンプレート、もしくはテンプレートを偽装しているのか。リアルを歪ませるキャラだな。
そしてその右、おれの左側には有名大学の付属小学校に通っているダイチ、バーチャル世界ではダイアナ。アン・シャーリーの腹心の友である。フランスその他各国料理はたしなんだことはあるけど、町中華はほぼはじめてとのこと。家庭環境はあまりよく知らないけど、作者はちゃんとキャラクター・ノートには書いてるよ、と教えてくれた。
デジタルデータではなくてリアルノートとして持ち歩いているけど、9割は使わないのよね、というそのノートは、メイン・サブ含めて数十人がへたくそなイラスト、および「もしこれがアニメになったら」という仮定の声優設定つきである。
それからアン、作者、ギルバートが並んで、ギルバートの右隣には、おれおよびアン・シャーリーのライバルとなる予定の者たちがいた。
堕天使のルキフェルは食事会には呼ばれたけれど、席に混ざることはしないで、携帯端末で記念の画像や動画を撮っている。
なんか悪くてさ、と、ルキフェルは言った。
誰に。創造神に。
ただし作者は創造神よりもランクは上らしい。
作者は創造神を創造することはできるけど、その逆はできないから、とルキフェルは説明した。