アン・シャーリーという名の、ちょっと様子がいい男子   作:るきのるき

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(番外31)アン・シャーリー(の中の人)、読者のみなさんとお別れをする

 試合は4X対3Xという、あいまいな決着で終わった。

 

 おれたちのチームメンバーで外野の要であるカナダ先住民さんは、外野に飛んだどんなボールでも、ラクロスのスティックで取ってすばやく1塁やホームに回すので、相手のチームはなかなか点が取れなかったんだけど、ピッチャーの前にころころ転がすという手を使ってから、草野球では珍しいレベルのこそこそ技術の競い合いになった。

 

 外野はホームラン級の球でも、先住民さんがレフト・ライトのくてくてメンバー(プリムラとシナノ)を放り投げて、ふわっ! と驚きながらも取る。

 

 内野は白猫と黒猫が、ばつぐんの動体視力とすばやい動きでボールをキャッチすると、投げられないから……足でボールを蹴る。どうも猫が野球をするのはルールブックにはないけど、ボールを蹴って送球するのは問題ないらしい。

 

 試合結果が4X対3Xなのは、6回の裏のシンキバ(ギルバート)チームの攻撃が終わった時点で、草野球場を借りている時間が終わったからだ。

 

 最初から、この時間になったら終了するよ、って言っておいた通り。たぶんギルバートチームがちゃんと時間をかけて攻撃してたせいだろう。おれたちなんか、3球ぐらいでバットを大振りしちゃうんだけど。

 

 応援席は、AIであるマリラとマシューは来れなかったけど、アボンリーの村の中の、リアル村人はけっこう来ていた。

 

 ギルバートのほうも、村人・学校の仲間も含めて集まっている。しかし、圧倒的な人気なのはカイト(ハモンドさんの長男で第三段階レンズマン)を応援する小学生女子グループで、きゃあきゃあうるさい。ルキフェルがマスクを取って魅了のウインクでもしてやれば、審判がんばれ、ということになるんだろうけど、なにをがんばれというのか。

 

 7回までやってたら、絶対おれたちの勝ちなんだけどなー、とお互いに思ってしまいながらも、お互い試合には勝ったけど勝負には負けた、いや試合には負けたけど勝負には負けた、だったっけ。試合も勝負も負けた? みたいな。

 

 大学への進学成績を競ったアン・シャーリーとギルバートみたいな結果だ。

 

 胴上げをする余裕なんかないから、雑にみんなでグラウンド整備して、シャワー浴びて、汗臭く泥で汚れたユニフォームを着替える。

 

 次の試合予定は神様ぱずるチームと堕天使地獄篇チームで、審判の堕天使さんが待っているため、のたくらしてると神罰がくだりそうなのだ。

 

 それじゃまた、リアルで会おう、と言って、ギルバートチームのみなさんは、背中を向けて手を振る、という、あばよポーズをしたのち……グラウンドを立ち去ると、夢の中の霧のように、姿が薄くなって消えた。

 

 ということは全然なくて。

 

 リアルでも、大学の構内や近くの喫茶店、路上では普通にあって、あ、どうも、と軽い挨拶と日常の話をする。

 

 プリムラは引き続きお隣の天使さんで、ルキフェルは引き続きおれの部屋へ遊びに来る。

 

     *

 

 いつもの喫茶店のいつもの場所。

 

 おれと作者は話をしていた。

 

「次の物語にも出してくれる、って約束したよね。それも主役で」

 

「正確には『勝ったチームには、わたしの他の物語に出演できる権利をやるよ』だね。別にあんたを主役にするってわけじゃないから」

 

「で、どんな話なんだ」

 

「異世界の探偵チームだね。チーム名は『燦光の結束団』」

 

「参考にします団?」

 

 違うよ。すでにエピソードはいくつか書いてあるんだけど、またテキストのフォルダが行方不明でさ。あなたと、吸血鬼と、猫たちその他が事件捜査をする。

 

 作者の次回作にご期待ください。




これでこの話は完結です。

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