今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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読者募集ネタになります。


Ex.花火大会を、もう一度③

夕暮れ。

 

西の空がゆっくりと茜色へ染まり始める。

昼間の暑さはまだ残っているものの、川から吹く風にはわずかな涼しさが混じり始めていた。

 

屋台から漂う甘い綿菓子の匂い。

遠くから聞こえてくる祭囃子。

色とりどりの浴衣姿が会場へ向かって歩いていく。

 

その人波の中を、四人も並んで歩いていた。

人混みを避けるため、少し早めに家を出たおかげで、川沿いの遊歩道はまだ歩きやすい。

浴衣の裾を揺らしながら歩くかぐやが、くるりと振り返った。

 

「どう?どう?」

 

その場で一回転。

赤と黒を基調にした浴衣がふわりと広がる。

 

「似合う?」

「似合う似合う」

 

隼斗が笑う。

 

「元気いっぱいって感じ」

「やったぁ!」

 

かぐやは満面の笑みを浮かべた。

その隣ではヤチヨが静かに微笑む。

 

紫色に紺色の帯。

夜空のような落ち着いた色合いが、銀色の髪をより幻想的に見せていた。

 

彩葉も、かぐやに選ばれた新橋色(ターコイズブルー)の浴衣を身に纏っている。

歩くたび、水色の帯が小さく揺れた。

 

隼斗も深緑に麻の葉模様の浴衣姿。

普段のラフな格好とは違う落ち着いた雰囲気に、道行く人が何度か振り返っていた。

 

「ほら見て」

 

かぐやが小声で囁く。

 

「また見られてる」

「やめろ」

 

隼斗は苦笑する。

 

「目立ってるのはお前ら三人。俺はオマケ」

「え~?」

「隼斗も結構目立ってるよ」

 

彩葉が笑う。

 

「浴衣、すごく似合ってるし」

「まぁた始まった」

 

隼斗は照れ隠しに頭を掻いた。

そのやり取りを見ながら、彩葉は小さく笑う。

 

──本当に変わった。

 

十年前。

この道を歩いた時は。

笑っていても。

胸の奥ではずっと怖かった。

かぐやが月へ帰る。

そう思うだけで、花火が始まるのが怖かった。

終わってしまうのが怖かった。

 

「……」

 

無意識に歩く速度が少しだけ落ちる。

その時だった。

隼斗が自然に歩幅を合わせた。

 

「疲れたか?」

「え?」

「歩くの、速かったか?」

 

彩葉は首を振る。

 

「違うの」

 

少しだけ笑って、少しだけ寂しそうに空を見上げた。

 

「思い出しちゃってさ。あの日も……ここ、歩いたなって」

 

隼斗は何も聞かなかった。

何を思い出したのか。

聞かなくても分かるから。

 

しばらく二人で歩く。

前では、かぐやとヤチヨが屋台を見つけるたびにはしゃいでいた。

 

「りんご飴!」

「まだ早いよ」

「え~!いつ食べても美味しいよぉ」

 

そんな声が風に乗って聞こえてくる。

彩葉はぽつりと呟いた。

 

「あの日も、こんな感じだったね」

「そうだな」

「……怖かった」

 

隼斗は静かに頷く。

 

「俺も」

 

彩葉は少し驚いたように隼斗を見る。

 

「隼斗も?」

「当たり前だろ」

 

少し笑う。

 

「平気そうにしてただけだわ」

「……」

「本当は俺も、花火を見る余裕なんかなかった」

 

彩葉は足を止めた。

隼斗がそんなことを口にするのは珍しい。

 

「あの日は、笑わせるしかないと思ってた」

「泣いたら終わる気がして、だからずっとバカやってた」

 

隼斗は苦笑する。

 

「全然余裕なんかなかった」

「まあ、余裕に見せようとはしてたから、成功はしてたみてえだな」

 

 

 

 

彩葉は静かに目を伏せる。

そうだったんだ。

自分だけじゃない。

 

隼斗も。

きっと。

ずっと怖かった。

 

「でもさ」

 

隼斗が前を向く。

 

「今日は違うだろ」

 

前では、かぐやが屋台の射的を見つけて騒いでいる。

 

「隼斗ーー!射的ーー!!」

「まだ始まってねぇよ!」

 

ヤチヨまで笑っている。

 

「本当に元気だね」

「毎年こうなるのかな」

「なりそうだな」

 

隼斗は笑った。

そして、少しだけ真面目な顔になる。

 

「彩葉」

「ん?」

「思い出ってさ、消えねえんだよ」

 

彩葉は静かに聞いていた。

 

「嫌な思い出も」

「楽しかった思い出も」

「全部残る」

「だからさ」

 

隼斗は優しく笑った。

 

「無理に消そうとしなくていい」

「その代わり、楽しい思い出を増やしていこう」

「十年前の花火大会も、今日の花火大会も」

「どっちも俺たちの思い出だから」

「……」

 

彩葉の目が少し潤む。

隼斗は続けた。

 

「次の十年後に思い出すのは、きっと今日の方だ。だろ?」

 

その言葉を聞いた瞬間、彩葉の胸の中で。

ずっと固く結ばれていた何かが、ふっとほどけた。

 

「……うん」

 

自然と笑えた。

今度は、無理をして作った笑顔じゃない。

心から笑えた。

 

その時、前方から大きな声が響く。

 

「二人ともーー!」

 

かぐやが大きく手を振っている。

 

「早くーー!たこ焼きなくなっちゃうーー!」

「無くなんねえって!!」

 

大声で返答した隼斗が思わず笑う。

 

「行くか、置いてかれちまうわ」

「うん」

 

彩葉は頷いた。

今度は自分から一歩踏み出す。

過去を忘れるためではない。

過去も抱えたまま、新しい思い出を重ねるために。

 

夕焼けの空の下。

四人は並んで歩き始めた。

 

夜空へ咲く大輪の花は、もうすぐそこまで来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試し打ちの花火が夜空へ小さく咲く。

その音を合図にしたように、屋台通りの賑わいは一段と増していった。

 

ソースの香ばしい匂い。

甘いりんご飴。

たこ焼きが焼ける音。

 

祭囃子と人々の笑い声が入り混じり、夏祭りらしい熱気が辺りを包んでいる。

 

「よぉーーし!」

 

かぐやが拳を突き上げた。

 

「屋台制覇するよぉ!」

「全部は無理だろ」

 

隼斗が即座に突っ込む。

 

「胃袋の容量ってもんがある」

「えぇ~~?屋台って全部食べる所じゃないの?」

「違わい」

 

彩葉が笑う。

 

「色々見て回るのも楽しいんだよ」

「なるほど!」

 

かぐやは素直に頷く。

 

「じゃあ全部見る!」

「それも全部は無理」

「えぇぇぇ!」

 

四人は笑いながら屋台通りを歩いていく。

 

「おっ!」

 

かぐやが足を止めた。

 

「射的!」

 

赤い提灯が並ぶ屋台。

木製の棚には、お菓子やぬいぐるみ、小さなフィギュアなどが所狭しと並んでいる。

 

「懐かしいね」

 

彩葉が微笑む。

 

「前も射的で遊んだ」

「そうだったな」

 

隼斗も思い出したように笑う。

 

「彩葉が全然取れなくて」

「煩いな、言わんでいい」

「結局、隼斗が全部取ってくれたよね」

「かぐやも取ってたろ、お菓子」

「お菓子はすーぐなくなっちゃったもん」

「かぐやはお守り取ってもらってたね」

 

彩葉が笑うと、かぐやも満面の笑みで頷いた。

 

「そうそう!これね!」

 

と、かぐやがスマホに付いた水琴鈴を見せびらかす。

しゃん、と綺麗な音が鳴った。

 

「彩葉のお面もだよね!」

「結局、勿体なくてあまり付けてないけどね」

「……そんなこともあったな」

 

隼斗は少し照れ臭そうに鼻を掻いた。

その横で、ヤチヨが少しだけ顔を曇らせる。

 

「いいなぁ」

 

ぽつりと漏れた一言。

 

「私は、貰えなかったから」

 

その声は寂しそうというより、少し羨ましそうだった。

 

「その思い出は無いんだ」

 

その言葉に、隼斗は一瞬だけ屋台の景品棚を見つめた。

景品棚へ向けられた隼斗の目が、すっと鋭くなる。

普段の皮肉気な笑みが消え、一瞬だけ『狙う者』の目になった。

そして、

 

「おっちゃん」

 

店主へ声を掛けて、500円玉を手渡した。

 

「一回」

「毎度」

 

空気銃を受け取る。

 

「隼斗?」

 

彩葉が首を傾げる。

隼斗は何も答えず、景品棚を静かに見渡した。

 

 

 

 

 

お菓子でもなく、大きなぬいぐるみでもない。

一番上の棚。

 

月を模した小さなガラス細工。

透明な球体の中へ、小さな金色の月が浮かんでいる。

 

「……あれがいいか」

 

店主が苦笑する。

 

「あれ狙うのか?難しいぞ?」

「知ってる」

 

コルクを詰め、エアコッキングのレバーを引いた。

少しだけ固い手応えと共にガチン、と鉄の音が鳴る。

 

 

 

そのまま、銃を構える。

 

 

 

屋台の喧騒が少しだけ遠くなった気がした。

呼吸を整え、銃身を僅かに上げる。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

引き金を引く。

ぱん、と乾いた音。

コルクの弾は一直線に飛び、ガラス細工の土台へ吸い込まれた。

 

 

結果も見ずに、手早く二発目の準備を終える。

 

 

もう一度銃を構えて、得物を見据える。

ゆらゆらと、小さく前後に揺れている。

 

 

もう一度ぱん、と軽い音。

 

 

 

二発目のコルクも狙いを過たず、吸い込まれていく。

 

コトン、と景品が奥へと倒れ、落ちて行った。

 

「「「「おぉーー!」」」」

 

周囲から歓声と拍手が起こった。

 

「上手ぇなあんちゃん!」

 

店主が笑う。

 

「ほれ、もってけ!」

 

ガラス細工を手渡す。

隼斗はそれを受け取り、そのままヤチヨへ差し出した。

 

「ほら」

「え?」

「前回の分」

 

ヤチヨは目を丸くする。

 

「でも……」

「前はお前の分だけ無かったんだろ。だから、これは前回の分」

 

一瞬、ヤチヨは何も言えなかった。

両手でそっとガラス細工を受け取る。

中で小さな月が光を反射していた。

 

「……ありがとう」

 

その声はとても優しかった。

 

「これで、私も思い出が一つ増えた」

 

隼斗は照れ臭そうに笑う。

 

「たかが射的だけどな」

「ううん」

 

ヤチヨは静かに首を振る。

 

「たぶん、ずっと忘れない」

 

その笑顔を見て、かぐやが両手を腰へ当てる。

 

「ずるい!」

「私ももう一個欲しい!」

「さっき『取ってもらった』って言ってただろ」

「それはそれ!これはこれ!」

「欲張りだなお前」

 

彩葉が吹き出す。

 

「ふふっ」

「じゃあ、かぐやは自分で挑戦してみる?」

「もちろん!今日のかぐやは一味違うよ!」

 

胸を張って空気銃を受け取るかぐや。

 

「見てて!」

 

勢いよく構え、狙いも付けずに引き金を引く。

 

パシュッ

 

コルクの弾は景品棚とは全然違う方向へ飛び、奥の壁へ当たって転がった。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

静まり返る屋台。

 

「えへ」

 

かぐやは照れ笑いを浮かべる。

 

「手が滑った!」

「滑ってねぇ」

 

隼斗が即座に突っ込む。

店主も堪えきれず大笑いした。

 

「嬢ちゃんは才能ねぇな!」

「ひどーい!」

 

かぐやは頬を膨らませる。

その様子に、

彩葉も、

ヤチヨも、

隼斗も、

そして周りの客まで笑い始めた。

笑い声が屋台通りへ広がる。

 

十年前と同じ場所。

けれど、隣にはヤチヨがいて、笑う人数も一人増えた。

 

それだけで、同じ景色は少し違って見えた。

 

「教えてやろうか?」

 

まだ弾が残っている隼斗が、銃を肩に担いでかぐやを煽る。

 

「んぐ、いい!まだ弾あるし!」

 

かぐやは頬を膨らませたまま、もう一度銃を構える。

 

「今度こそ!」

 

ぱんっ

「あだっ」

 

コルク弾は景品の少し手前を通り過ぎ、そのまま棚へ当たって跳ね返った。

その跳ね返った弾が、かぐやの額にポコッとヒット。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

今度は店主まで苦笑する。

 

「惜しくもねぇなぁ」

「うぅ……」

 

かぐやはしょんぼり肩を落とした。

隼斗が思わず笑う。

 

「前はお菓子くらいなら取れてたのになぁ」

「ぎ、義体だからかなぁ~?」

「なんで義体のせいなんだよ」

「まだ慣れてないとか!」

「もう結構経つだろ」

「うっ……」

「あと、なにか感覚に齟齬があるなら言いなさい。問題になるでしょ」

「~~~♪」

 

彩葉に注意されると、口笛を吹いて誤魔化すかぐや。

思わず彩葉が吹き出した。

 

「ふふっ」

「笑わないでぇ」

 

隼斗は苦笑しながら空気銃を受け取った。

 

「貸してみ」

「むぅ……」

「射的はな、こう構えるんだ」

 

そう言って隼斗は、かぐやの後ろへ回る。

二人羽織のように、かぐやの右手に自分の右手を添えて銃を構える。

 

「射的は肩につける必要ねぇから。腕を伸ばして、景品に近づいた方が当てやすい」

「なるほどぉ」

 

かぐやは真剣な顔で頷く。

 

「あと慌てんな。FPSと違って景品は動かねえんだから、しっかり狙え」

「うん」

 

その様子を少し離れた場所から見ていた彩葉が、小さく呟く。

 

「なんだか先生みたい」

 

ヤチヨも微笑む。

 

「……ちょっと羨ましい」

「え?」

「私も教えてもらいたいなって」

 

彩葉も小さく頷いた。

 

「そうだね」

 

 

 

 

「じゃあ撃ってみ」

「……うん!」

 

かぐやは息を止める。

狙いを定め、ゆっくり引き金を引いた。

 

ぱんっ

 

コルク玉は景品へ命中した。

 

カタン

 

景品が前後へ揺れる。

 

「当たった!」

「おぉ!」

 

店主も思わず声を上げる。

しかし、景品はそのまま元の位置へ戻ってしまった。

 

「うぇぇぇぇ!」

 

かぐやが頭を抱える。

 

「あとちょっとだったのにぃ!」

 

隼斗は笑う。

 

「今のは悪くなかった。最後もう一発あるから。焦るな」

 

かぐやは深呼吸した。

もう一度、

隼斗が教えてくれた構えを思い出す。

 

腕を伸ばし、

照準を合わせ、

しっかり狙う。

狙うのは、景品札の上の端っこ。

 

「…………」

 

ぱんっ

 

コルク玉が札を叩く。

 

ゆらゆら

ゆらゆら

 

 

 

 

 

コトン

 

景品の札が棚から落ちた。

 

「やったぁぁぁぁ!!」

 

かぐやは思わず飛び跳ねる。

 

「取れた!取れたぁ!」

 

店主も笑いながら景品を差し出した。

小さなウサギのぬいぐるみ。

 

「嬢ちゃん、最後は見事だった!」

 

かぐやは嬉しそうに景品を抱き締める。

 

「隼斗!取れた!」

「ああ」

 

隼斗も嬉しそうに笑った。

 

「ちゃんと自分で取ったな」

 

店主が指を差しながら笑う。

 

「あんちゃん。あんちゃんもまだ三発残ってるぞ」

「あ」

 

隼斗は手元を見る。

 

「そういやそうだ」

 

すると、三人の視線が一斉に隼斗へ集まった。

三人とも、無言で見つめる。

 

「なんだよ、その目」

 

かぐやが真っ先に口を開く。

 

「まだ三発あるよ?」

 

彩葉も苦笑する。

 

「人数もちょうど三人だね」

 

ヤチヨも悪戯っぽく笑った。

 

「公平に、ね」

「……お前ら絶対狙ってるだろ」

「もちろん!」

「ふふっ」

「異議なし」

 

三人の返事は見事に揃った。

隼斗は肩を竦める。

 

「はいはい。お前らなにが欲しいんだ?」

 

その一言で、三人の目が一斉に景品棚へ向いた。

 

 

 

 

彩葉は少し迷った末に、小さな狐のお面の根付を指差す。

 

「私はこれかな」

「かぐやはこれ!」

 

かぐやは迷うことなく、丸っこい鳥のぬいぐるみを抱える勢いで指差した。

ヤチヨは景品棚をしばらく見つめたあと、月とうさぎが描かれた和柄の風鈴を選ぶ。

 

「私は、あれがいい」

「はいはい」

 

隼斗は苦笑しながら店主へ向き直る。

 

「じゃあ、狙ってみるか」

「あんちゃん、頑張れよ」

 

店主が笑う。

周りで見ていた客たちも、「さっきの兄ちゃんだ」と興味津々に見守り始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

そこから先は、ほとんど流れ作業だった。

 

狙いを定める。

撃つ。

景品が落ちる。

その繰り返し。

 

一発ごとに景品が落ちる。

そのたび、店主が「お見事!」と声を上げ、周囲から小さな拍手と歓声が起こる。

 

「はい」

 

最初に彩葉へ。

狐のお面の根付。

 

「ありがとう」

 

嬉しそうに微笑む彩葉。

その場でスマホのケースに付けた。

 

 

 

 

 

二つ目は、かぐや。

 

「やったーー!」

 

まんまるの鳥のぬいぐるみを抱き締めて、その場で飛び跳ねる。

 

 

 

 

そして最後。

ヤチヨへ手渡されたのは、月とうさぎの風鈴だった。

風が吹く。

 

ちりん――

 

澄んだ音色が、小さく夜風へ溶けていく。

 

「……綺麗」

 

ヤチヨは大切そうに胸へ抱いた。

 

「これも、今日の思い出」

 

風鈴がもう一度、小さく鳴った。

隼斗は少し照れ臭そうに笑う。

 

「それなら取った甲斐があったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!」

 

かぐやは再び拳を握る。

 

「次はたこ焼き!」

「さっきからそれしか言ってねぇな」

「屋台と言ったらたこ焼きだもん!」

「りんご飴は?」

 

彩葉が尋ねると、

 

「それも!」

「焼きそば!」

「チョコバナナ!」

「全部!」

「だから胃袋の容量が足りねえって」

 

隼斗が苦笑すると、四人はまた笑いながら次の屋台へ歩き出した。

 

河川敷の照明が一つ、また一つと灯り始める。

夏の夜は、いよいよ本番を迎えようとしていた。

 




ROSOさん、感想いただきありがとうございます。

お気に入り登録、ここすきをしていただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。

活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
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