配信タイトルは【TCG】ツクヨミライバーズ1箱開けるまで終われません!【かぐや×ヤチヨ】
「かぐやっほー!かぐやだよー!」
「ヤオヨロ~♪ヤチヨだよ~」
机の上には、見慣れた面々のイラストが並ぶ段ボールが積まれていた。
「そう!今日は『ツクヨミライバーズ』を、ひと箱――」
「……じゃなくて、1カートン全部剥きます!」
「ちなみに、
「狙いは二つ。箔押しサイン入りのSER、『HeyBaby-いろP』と『黒翼の隼-JunY0u』!」
二本の指をびしっと立てたかぐやが、少し頬を膨らませて不満そうな顔をする。
「いろPとジュンヨウがSERなのに、なんでかぐやたちのは入ってないの!」
「入ってるよ。かぐやとヤッチョは
「SERの方が上でしょ!」
最初のパックを手に取ったかぐやが、勢いよく封を切る。
「いくよ~……お?
「おっ、誰?」
「……帝」
「帝さまかぁ」
次のパック。
「SR。……帝」
「また帝さま」
さらに次のパック。
「SR、帝さま」
「帝のバーゲンセールじゃん」
その後も帝のSRは続き、気づけば五枚になっていた。
「五枚って。もはや帝を引かせる箱じゃ~ん」
「雷くんと乃依ちゃんもそこそこ出るね。……出るだけなんだけど」
「かぐやは二枚だけ欲しいんだよォ~!」
「モモンガやめてね~」
何パックか開けたところで、かぐやが手を止めた。
「…………」
「かぐや?」
「……出た」
「え?」
「『星降る海-ヤチヨ』……SSR」
「おめでと~。……おっ、ヤッチョも出た~♪」
「えっ!?」
かぐやが目を丸くする。
ヤチヨが見せたカードにはスポットライトの光の中で歌う、かぐや自身の姿があった。
カード名は『瞬間、シンフォニー。-かぐや』。
「やった。やったけどさぁ……」
「うん。欲しいのはこれじゃないんだよね~」
一箱目は、あっという間に空になった。
帝のSRが五枚。
雷と乃依のSRも何枚か。
オタ公や乙事照、テレリリ・ティートテートの
けれど、狙いの二人の箔押しサイン入りURはもちろん、SRすら一枚もなかった。
「まだ24分の1だね」
「うん。カートンは長いね~」
二人は次々にパックを開けていった。
二箱目、三箱目。
箱を開けるたび、カードの山が増えていく。
「……SR」
「誰?」
「帝さま~」
「また帝!」
二人は笑っていた。
まだ。
そして、二時間と数十分後。
最後の一箱を前に、開封済みのパックが机の周りを埋め尽くしていた。
「これで、カートン最後のBOXだね」
「うん。ここに確定枠が入ってるのかなぁ」
「1カートンに1枚確定なんだよね」
「そう。だから、これを開ければ……!」
最後のBOXからパックを取り出し、一つずつ開けていく。
「……まだ出ないね」
「うん……」
残りのパックが少なくなっていく。
「次で最後だよ」
「いくよ~……!」
かぐやが最後のパックを開いた。
中から出てきたカードの光り方を見て、二人の目が見開かれる。
「UR……!」
「やった!ついに来た!」
「……ん?シクじゃなくて、ウルトラ?」
かぐやがカードを掲げる。
『OnyXXX-帝アキラ』。
黒を基調にした衣装の帝が、箔押しの光の中で不敵に笑っていた。
「…………帝」
「…………帝さまだね~」
二人はカードを見つめた。
「確定枠は出た。出たけど……」
「いろPとジュンヨウじゃないね~」
「くそぉ~!欲しいのはシクなんだよぉ~」
配信開始から、ずいぶん時間が経っていた。
「1カートン開けるまでだから、これで企画自体は達成だね。……どうする?」
「…………」
かぐやの視線が、部屋の隅に積まれたもう一つのカートンへ向く。
「予備、まだあったよね」
「あるね~」
「……もう1カートン、いこう」
「いっちゃう?」
「いく!」
2カートン目の開封は、1カートン目よりも静かに進んだ。
「……R」
「……R」
「……C」
最初の箱から、目当てのカードは出ない。
数箱を開けたところで、ヤチヨが一枚のカードを机に置いた。
「あ」
「どうしたの?」
「……SSR。『ツクヨミの夜明け・四人』」
かぐやが身を乗り出す。
カードには、かぐやといろPとJunY0uとヤチヨの四人が、朝日と鳥居を背に並んでいた。
鳥居の神額には普段の『月夜見』ではなく、『天照須』と箔押しの文字が光っている。
「あ……いろPもジュンヨウもいる」
「うん」
「集合だ。……集合だけど」
「でも、集合カードで、単体のURじゃないんだよね」
「よし、次いこっか」
「うん……」
二人は再びパックを開け始めた。
箱が減り、開封済みのパックが増えていく。
最初は剥くたびに弾んでいた声も、少しずつ小さくなった。
「……」
「……」
「R」
「……R」
「……UC」
2カートン目も、最後のBOXを残すところまで来ていた。
「これで最後の箱だね」
「……うん」
「UR以上は1枚確定。今度こそ……」
最後のパックを開けたのは、ヤチヨだった。
「……あ」
「出た?」
「シクだ!」
カードは、ホイル加工で輝いていた。
『竹取神戦-帝アキラ』。
長い髪をなびかせ、身体に赤い紋様を浮かび上がらせた帝が、武器を構えてこちらを見据えている。
迫力あるイラストの、赤い紋様の一本一本まで箔押しで煌めいていた。
「…………帝ぉ」
「…………また帝さまだね~」
2カートン目が、空になった。
「UR以上のカード、二枚出たね」
「うん。URとSER。どっちも帝」
「……いろPとジュンヨウは?」
「……出なかった」
「出なかったね~」
それから、二人は完全に黙り込んだ。
開封済みのパックの山。
机いっぱいに広がったカード。
その真ん中で、かぐやとヤチヨが並んで俯いている。
コメント欄だけが流れていた。
ドアが開く音がした。
「……何してんだお前ら。やけに静かだな」
「なにか事件でもあった?」
配信部屋に顔を出したのは、隼斗と彩葉だった。
足元には、開封済みのパックと空き箱の山。
机の上にはレアリティ別に整頓された大量のカード。
その真ん中で、かぐやとヤチヨが並んで俯いている。
「……いろはぁ」
「……はやとぉ」
「……なるほどね」
「だいたい分かった」
隼斗が机に近づき、積まれたカードをぱらぱらと眺める。
「レアなの帝ばっかじゃねえか」
「帝ばっか……」
「UR以上が二枚か。『OnyXXX』と『竹取神戦』」
「うん。どっちも帝……」
「いろPとJunY0uは?」
「出てない……」
「狙いのSERの二人、出てない……」
隼斗は、肩を落とすかぐやの頭をぽんと叩いた。
「箱でも出ねえときは出ねえよ」
「でも、欲しかったんだもん」
「そりゃ分かってる」
彩葉が机の端に積まれたカードの束から、一枚を抜き出した。
「あ、私たちのRだ」
『いろP(R)』。
『JunY0u(R)』。
ありふれたレアリティの、けれど本人の姿が描かれたカードだった。
「これは出たんだ」
「うん。これだけは、ちゃんと出てた……」
隼斗は少し考えてから、机の引き出しに手を伸ばした。
「……お、あったあった」
「え?」
取り出した油性ペンの片方を、彩葉に渡す。
キュッ、キュッ、と乾いた音が配信部屋に響いた。
隼斗は『JunY0u(R)』のカードに、イラストに少しかかるようにサインを書く。
その隣で、彩葉も『いろP(R)』のカードにペンを走らせた。
「……何してるの?」
かぐやが顔を上げる。
彩葉は書き終えたカードにふっと息を吹きかけてインクを乾かすと、かぐやの手のひらに置いた。
「はい。要らないかもしれないけど」
「今日はこれで勘弁しろ」
隼斗が、同じようにヤチヨの手に自分のカードを乗せる。
かぐやとヤチヨは、手のひらの上のカードをじっと見つめた。
Rのカード。
レアリティ的には何の変哲もないカード。
でも、そこには本人の手でサインが入っている。
「…………」
「…………」
「「やた!やたやたやったー!!」」
かぐやがカードを掲げ、その場でぴょんぴょん跳ねた。
ヤチヨまで両手でカードを胸に抱えて、珍しく声を上げている。
「一生大事にする!!」
「大げさだろ。Rだぞ」
「ヤッチョもする!家宝にする!!」
「家宝って、私とジュンヨウの家系でもあるのに」
「Rでもいい!!」
「子々孫々、代々伝えていく!」
「「重い
「……隼斗」
「ん」
「ありがとう」
「……別に。ただの落書きだ」
そう言いながら、隼斗は少しだけ口元を緩めた。
彩葉がかぐやの肩を軽く叩いた。
「でも、UR以上の確定枠は、ちゃんと2カートンとも出たんだよね。確率どおりじゃない?」
「でもでも!2枚とも帝だよ!?」
「しかも、2枚目はSERだよ。引けただけでも、運はいいんじゃないかな」
「それは……そうかもしれないけど……」
「じゃあ、今日はここまで!みんなおつかれ!」
「また、運が良かったら開けよっか」
「その時は、俺と彩葉は参加しねえからな」
「なんで!?」
かぐやの声が、配信の締めを賑やかにした。
翌日、ジュンヨウの雑談枠。
「よー、ジュンヨウだ。今日はあれだ」
「昨日の開封配信のあとで、デッキの話をしてくれってマロが来てた」
画面に、並べられたデッキリストが映る。
「レアリティは関係ねえ。使いたいカードを軸にシナジーあるやつを入れる。それだけだ」
「だからRとUCだらけになってる」
「効果にレアリティ関係ねえし。いやまぁ高レアしかねえカードもあるからそれは入れてるけど」
「フルレートはロマンではあるけどな、プレイ用じゃねえだろ」
「お気に入りのカード?」
少し考えてから、隼斗は答えた。
「あー。犬DOGEとFUSHIだな」
「こいつらがいれば、かぐいろPデッキとヤチヨデッキが雑に強くなるんだよ」
画面に、カードの効果が並ぶ。
「しかも、俺のカードとも噛み合う。よく分からんが、シナジーがある」
「……なんでだ?」
隼斗は首を傾げた。
「ジュンヨウカテゴリって、ピーピングハンデスとかいう性格悪いカテゴリなんだよ」
「相手の手札を覗いて、捨てさせるやつ」
「性格悪いだろ。相手の手札覗いて捨てさせんだぞ。俺だったらキレる。絶対相手にしたくねえ」
「うるせぇ。次のマロいくぞ」
三条フユキさん、感想いただきありがとうございます。
お気に入り登録、ここすきをしていただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。
活動報告の方でネタの募集、こちらも活動報告でマシュマロ雑談の質問募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
マシュマロ雑談の質問募集については期限を延長し10/25(日)とさせていただきます。