今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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クラウドファンディングに出資する(した)
Blu-rayオフィシャルストア限定スペシャルセットも予約する(した)

お金が無いのよ、貧乏なのよ……。
公式からの供給で心が満たされていくじゃないのよ……。

というわけで本日最終更新です。


15話

『激戦っす!櫓は各々取得し、かぐいろジュンチームの天守閣付近での攻防!』

『JunY0uが雷、乃依の二人を相手取り、かぐやいろPの二人はジャンプ台から櫓へ!』

『待ち受けるのは帝との正面対決!』

 

三戦目も終盤。

 

「ッ、クソ……っ!」

 

雷の隆起で跳ね上げられた勢いのまま、打刀を地面へ突き刺す。

だが勢いを殺しきれず、石畳に火花を散らしながら後退した。

ようやく止まったところで、足元の地面が爆ぜた。

 

雷が設置した地雷。

避け切れなかった爆風が脇腹を掠め、HPが削れる。

 

直後、紫電を纏った矢が三本。

頭、喉、右膝。

 

「チッ!」

 

長銃形態の大刀で二本を撃ち落とし、残った一本を打刀で弾く。

その隙を縫うように、地面が盛り上がった。

 

「っ、またかよ!」

 

雷の隆起スキル。

石畳が槍のように突き上がり、足場を奪ってくる。

 

まともに近付けねえ。

だが向こうも決定打に欠けている。

 

雷は防御と妨害。

乃依は狙撃特化。

噛み合えば厄介極まりねえが、逆に言えば『俺を止める』以上の火力は出せていない。

 

だからと言って俺が押し切れるわけでもねえ。

結局、このままジリ貧なら先に潰れるのは俺の方だ。

 

「……っ」

 

視界がぐらりと傾く。

汗が流れる。

目の奥を針で掻き回されるような頭痛。

 

長時間の酷使。

目も、頭も。

限界が近い。

 

『JunY0u、かなりキツそうだぁ!』

『ですが確かにここで足止め出来れば黒鬼側が圧倒的有利!

 雷と乃依は完全にJunY0uを『抑える』動きですね!』

 

言われなくても分かってる。

時間を掛ければ掛けるほど、不利になっていくのは俺の方だ。

なら───賭けるしかねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなコンディションで使いたくなかったのによォ!」

 

ゲージは十分。

持ち越し仕様のおかげで、一戦目から後生大事に溜め続けていた。

 

ウルトを発動。

背中から黒い粒子が噴き出す。

次の瞬間。

粒子は巨大な猛禽の翼へと変わった。

 

『出たァ!!JunY0uのウルト!!』

 

地面を蹴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界が、消えた。

 

いや、速すぎる。

 

風景が線になって流れる。

通信同期が追いつかず、残像が何重にも分裂した。

 

『分身!?いや違う、ラグだァ!!』

『速すぎて座標同期が崩壊してます!!』

 

視界が飛ぶ。

距離感が狂う。

壁が近いのか遠いのかも分からねえ。

 

だから誰も使わねえ。

使ったやつから、『二度と使うかこんなもん』と放り出していく。

 

制御なんざほぼ不可能。

 

フィールド外へ飛び出して強制離脱。

障害物へ激突して自滅。

枚挙に暇がない。

 

要するに、欠陥ウルトだ。

 

だが。

 

「捉えたァ!!」

 

一瞬だけ見えた。

乃依の肩。

 

見えた肩口へ、打刀を突き刺す。

 

手元から刀が離れる感覚。

同時に花弁が視界の端を散った。

 

乃依を貫いたままの打刀を置き去りにし、背の翼を振る。

次の瞬間には雷の眼前。

 

「なっ───」

 

驚愕の表情が見える。

雷が地面を隆起させる。

盛り上がる地面が、まるで止まっているみてえだ。

 

「遅ぇッ!!」

 

高速移動の勢いそのまま、大刀で斬り抜けた。

 

『乃依撃破!!さらに雷も!!』

『JunY0u、二人まとめて戦線離脱へ持ち込んだァ!!』

 

だが。

 

「───ッ!?」

 

視界がブレた。

 

頭痛。

いや、違う。

右脚の膝から下が無い。

 

雷の地雷。

高速移動中に踏み抜いていた。

 

爆散した右脚から花弁が零れ落ちる。

 

ウルトの発動時間が終了し、着地。

同時に、背中から地面へ倒れ込む。

 

 

 

 

 

 

「っ、あ゛ぁ~……!」

『だが、右足を喪失!JunY0u、動くことすらできないようです!』

『勝利の行方は、生き残った三人に委ねられた!』

 

HPは残っている。

だが、動けねえ。

打刀を取りに行くことすら。

 

視界の端で、乃依と雷のアイコンが消えた。

……最低限の仕事は出来たか。

 

「こっちはなんとかしたぞ。そっちも、頑張れ」

 

傷む頭を振りながら、ボイスチャットを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『だが、右足を喪失!JunY0u、動くことすらできないようです!』

『勝利の行方は、生き残った三人に委ねられた!』

 

高羽はやってくれたみたい。

でも、もう限界のはずだ。

だから次は、こっちが何とかする番。

 

振り被ったハンマーを避けられ、ゴロゴロと隣に転がってきたかぐや。

 

「ちっくしょ~。へへ、だが勝つ!」

 

避けられたというのにとても楽しそうに、瞳を輝かせて笑った。

……お兄ちゃんとゲームをしていた頃のことを、少しだけ思い出して、ちょっと笑った。

 

『こっちはなんとかしたぞ。そっちも、頑張れ』

 

高羽からのボイスチャット。

とても、心強かった。

武器を構えながら、立ち上がる。

 

「もしうちらが勝ったら、そっちもお願い聞いてくれんだよね?」

 

帝に問いかける。

一瞬だけ意外そうな顔をした帝は、不敵に笑って頷いた。

 

かぐやと顔を見合わせて、二手に分かれて帝を撹乱。

倒れた柱を駆け上がり、高台で再びかぐやと合流する。

合流した瞬間、互いの武器を投げ渡す。

高台から飛び降りて、帝に攻撃を仕掛ける。

私の手にはかぐやのハンマー。

振り下ろした一撃を、帝が金棒で受け止める。

気にせずブースターに点火。

 

「武器の入れ替え?ハッ!!」

 

勢いで弾かれた帝が、壁に着地して衝撃を殺しながら好戦的に笑う。

その帝に向かってハンマーをぶん投げる。

帝は当然のように躱す。

ハンマーが背後の壁を砕いた。

だがその先にはかぐやがいて、ハンマーをキャッチ。

代わりに回転するブーメランが弧を描いて飛んでくる。

慣れ親しんだ私の武器だ。

受け取る軌道は、もう分かっていた。

 

そして、今!

 

ブーメランを分割して双剣に。

ワイヤーを伸ばしたままの片割れを、帝に投擲。

体捌きだけで避けられたが、狙いは背後の柱。

狙い通りに深々と突き刺さった。

たわませたままのワイヤーのアンカーは、かぐやのハンマーに刺さっている。

 

もう片方の剣で帝の銃撃を弾く。

その帝をかぐやは大振りで攻撃する。

軽々避けられて空振りしたハンマーを瓦礫にめり込ませ、必死に抜こうとしている───ように見せかけて。

実際は逆。

さらに深くへ、押し込んでいる。

 

かぐやはわざと前に突出するような動きをしている。

この試合中でも、配信でも。

かぐやを知っている人なら、みんなこう思うだろう。

アタッカーはかぐやで、サポートが私だと。

そう思っていてくれないと困る。

 

蹴とばされ、ハンマーから距離を離されたかぐやにトドメを刺そうとした帝。

その時、柱に突き刺さっている剣のギミックを遠隔起動。

たわませていたワイヤーを一気に巻き取る。

 

その勢いで剣は抜けた。

ハンマーと柱の中心にいた帝をワイヤーがグルグルと締め上げ、拘束する。

 

「ハンマーにワイヤーっ……!?囮はかぐやちゃん!」

 

作戦はかなり大雑把。

戦いながら考えた部分が大半だった。

でも、こっちは高羽と一緒に、あんたのおしめだって替えてきたんだから!

 

「彩葉!」

「かぐやの考えることくらい、わかってるっつーの!!」

 

私の振りぬいた剣は、ワイヤーごと帝を一刀両断した。

 

『鬼アチ~~~!!』

「……やりゃできんじゃん」

 

桜の花弁に解けていくお兄ちゃんは、そう言いながら静かに笑っていた。

 

「彩葉~!うぇーい!」

 

と、じゃんけんのチョキを突き出した。

私も小さく笑って、チョキを返す。

指先をくっつけて、それから挟みあう。

最後に狐のハンドサインをくっつけあった。

かぐやが考えた、私とかぐやの「仲良しのヤツ」。

 

「かぐやたち、さいきょー!」

「ふふ、とーぜん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はオオタカ、かぐやはジェットハンマーに乗って天守閣を目指す。

高羽が雷と乃依を倒してくれたから、今生き残っているのは帝だけ。

その帝もリスポーンからの出発。

順当にいけば私たちの方がずっと速い。

 

「彩葉と隼斗が危なくなったら、かぐやが助ける!」

「かぐやがミスっても私は置いてくー」

「なんでぇ!?」

「高羽がミスったら気分で助けるー」

『おーい、今まさに身動きとれねえ状況なんですけどー?』

「今は助ける気分じゃなーい」

『覚えてろてめー』

「ぷっ、あははっははははっ」

「はっ、やった~~~!!」

『……なんだ、笑えんじゃん』

 

なんだかおかしくて、声をあげて笑ってしまった。

かぐやが泣きそうな顔で笑っている。

ボイスチャットの向こうで、高羽が安心したみたいに息を吐く。

……変な奴ら。

でも、この三人でならどこまでも行ける。

そんな気がした。

 

『帝もかぐいろジュンチーム側の天守閣に向かう!これは流石にかぐやが速いか!』

「こっからは見てて!かぐや大活躍!」

 

天守閣に向かう階段。

大量にはびこるミニオンを蹴散らしながら登っていくかぐや。

あとは大将落としを打ち込むだけ───

 

「うぇーい!勝確ぅ!……え゛っ

 

のハズだったが、かぐやが爆炎の中に消えた。

……は?爆発?

 

『あー!雷の地雷トラップーーー!!』

 

「あ、ああ……アホ!」

 

状況をようやく理解。

急いで天守閣を駆けあがろうとするも、

 

『帝急ぐ!もう大将落としは目の前だ!』

 

間に合わない───!

 

『ったく、詰めが甘ぇんだよ』

 

ボイスチャットからそんな声が聞こえた、次の瞬間。

銃声が響いた。

 

放たれた銃弾は、大将落としを弾き飛ばして。

黒鬼の天守閣へと押し込んだ。

 

『あーっとぉ!!黒鬼側の天守閣が落とされたー!!……えっ、誰が?』

 

「『こんな泥臭く勝ったのは初めてだ』」

 

ボイスチャットと、声が重なって聞こえた。

上。

 

顔を上げると、そこには。

 

右脚の膝から下を無くし、

いつもの刀も一本無くし、

ウルトの翼を背負い、

死ぬほど眉根を寄せた、頼もしい相棒の姿があった。

 

「高羽っ」

「あ?なんで来れたかって?

 そんなんミニオンチマチマ撃って、ゲージ溜めたに決まってんだろうが」

 

ゆっくり降下しながら、KASSENで伏せ撃ちなんて初めてやったぜマジ。とグチグチ言っている。

いや、それもだけどそうではなくて。

 

「そろそろウルト、切れるんじゃ……」

「あん?……あっ

 

勝敗が決まれば、流石にウルトも切れる。

地面へ降り立つ、その寸前。

翼が掻き消えた。

まだ右脚が戻っていない高羽が、バランスを崩す。

思わず抱き着いて、肩を貸した。

 

「っと、サンキュ」

「高羽、んっ」

 

左肩を貸しながら、右手をグーにして突き出す。

一瞬ハテナマークを浮かべた高羽だったが、あー、あれね。

と、納得いったように左手をグーにして突き出した。

コツン、と控えめなグータッチ。

私の考えた、私と高羽の「仲良しのヤツ」。

ちょっと照れくさくて、顔は見られなかった。

 

 




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